第14話 骨と骨と骨と骨
―どうやら神的な何かは、私に死んでほしくないようだ。
どうせここから出ることすら叶わないんだし、思惑に乗ってやるとしよう。
そう決めてから、もう既に1年が経過した。
まぁ、1年経っても私のステータスはほとんど変わりないんだが。
強いて言えば、【盤面指揮】【慕われしモノ】【導くモノ】などの称号が追加された程度。
そしてその理由は、12体のロイヤル・スケルトンからなる【
そしてそこに【
名前から分かる通り、チェスをモチーフとして作った軍団だ。
軽く確認すると、【
まぁ、スケルトン・クイーンだし。
そして、現状キングが居ないのでそっちも兼任している。
続いて【
全員が「ロイヤル・スケルトン」から進化を遂げた存在で、基本的には全員対等な関係性だが一応実力順に番号が振られている。
まずは第4席「ロイヤル・ビショップ」のビショップ。
唯一の回復役で、セイント・スケルトンが更に特殊進化した個体だ。
レベルは40だが、戦闘能力は【
とはいえスケルトン・ウォリアーくらいまでは倒せるので普通に強い。
それに、こいつの真価は戦闘ではなく回復で発揮される。
仮に私のHPが1でも、そこから最大値までいけるほどの回復量を誇るのだ。
ある意味で【
次は第3席「ロイヤル・ナイト」のナイト。
スケルトン・ナイトが特殊進化した個体だ。
レベルは40で、私と同じく魔法がほぼ使えず、剣での戦闘を得意としている。
普通のナイト相手なら5体同時でも普通に倒せるので、それこそちょっとしたダンジョンなら一人で攻略できそうなくらい。
続いて第2席「ロイヤル・ルーク」のルーク。
スケルトン・ウィザードが特殊進化した個体だ。
レベルは40で、肉弾戦の能力が異常に低い代わりに魔法に特化している。
魔法主体で戦い、その中でも魔力を砲弾として飛ばす「魔法弾」は驚異的だ。
まさしく「弾幕は威力」を体現しているような攻撃で、大抵の敵は1撃で死ぬ。
何発も連続して打てるため、非常に回避が難しい。
第1席「ロイヤル・ポーン」のポーン。
最初にロイヤル・スケルトンになったポーンが更に進化した姿だ。
チェスで言えば雑兵扱いのポーンだが、実は私と同等レベルの実力を持っている。
基本的には肉弾戦だが、使おうと思えば魔法も普通に使えるので、実力的には私でもやられそうになることがあるほど。
また、最初の配下ということもあり、正直まだ何かできそうな気もしている。
…よし、こんなところか。
【
最近はすることもほとんどなくて、【
そろそろ何か起きないだろうか…そう考えていると、
「ミナさま。そろそろ訓練のお時間かと」
と【念話】で声がかかる。ポーンだ。
「ああ、ありがとう。それじゃあ、行こうか」
返事をし、席を立つ。ちなみにこの椅子は、ルークが魔法で作ってくれた物だ。
そのまま【
「さぁ、今日は誰から来る?」
「…では、俺からよろしいでしょうか?」
ナイトだ。
「ああ、構わない。手加減なしで来なさい」
「はっ…では、行かせていただきます」
ナイトが剣を抜いて切りかかって来たので、こちらも応戦する。
因みに私の武器は「鉄の剣」から「不壊刀」になった。
どうやら2階の宝箱は時間が経つと中身が変わるようで、この「不壊刀」は名前の通り、どんな攻撃を与えてもビクともしないほど頑丈で、数日前に手に入れてから愛用している。
…と、ナイトが一度距離を取ろうとしたのでそのまま距離を詰め、一瞬しゃがみつつ顔の前に刀を突き出す。
「…参りました」
「ナイト、お前の下がる癖は相変わらずだな。気を付けた方が良い」
「はっ、更に精進してまいります」
といっても、私もステータスのゴリ押しでどうにかなっているだけなんだけどな。
「…さて、次は?」
「では、私が」
「ルークか。いいぞ。いつも通り行こうか」
「はい」
そういうと同時に、お互いに少し距離を取る。
その距離、およそ10m。
私は武器禁止で、ルークが打ってくる魔法弾を全て避けつつ、ルークに一撃入れたら勝ちというルールだ。
「…さて、このくらいか。行くぞ」
「はい」
その瞬間、ルークが魔法弾の弾幕を放ってきたので、とにかく避けつつ前進していく。
当然、私は一撃でも当たったらアウト…というか、ステータス的にもルークの弾の威力的にも1発K,Oなので、慎重に回避していく。
とはいえかなり単調な弾幕なので、このままなら回避するのは余裕だ。
そう考えていると、急激に弾幕の密度が上昇。
更に不規則な弾も増えてきたので、非常に回避が難しくなってきた。
しかし、そこは流石の【傲慢】で増えたステータス。
AGLに物を言わせて全力で回避していく。
当たらなければどうということはない、というやつだ。
そのまま徐々に近づき、ルークに軽く一撃を食らわせる。
「…また負けましたか…」
「とはいえ、かなり避けづらい弾幕だった。腕を上げたな」
「ありがとうございます」
「よし、では次は…」
「あ、私は辞めておきます」
「ビショップか。わかっているさ。というわけで次はポーンだな」
「かしこまりました」
「お前は私の最も信頼している【直属骨騎士(コマンダー)】だ。久しぶりに本気でやるとしようじゃないか」
「おおせのままに」
「皆、部屋の入口まで下がっていなさい…よし、始めよう」
その瞬間、二人の姿がかき消える。
何ということはない。「ただ走り出した」のだ。
二人の実力はかなり拮抗しており、二人が本気で試合をするとなると、周りの者に被害が及びかねない。
なので普段はかなり抑えているのだが1か月に1度だけ、お互い本気でやり合う時
間を設けているのだ。
部屋の中央で静かに見つめ合う二人。
しかし、その目はしっかりと相手の動きを捉えていた。
—そして、二人同時に動き出す。
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