第5話 一石三鳥
今まで、スケルトンを倒しても全くレベルが上がらなかった理由もわかった。
そしてそれをどうにかする方法は、少なくとも現状は「ない」ということも。
であれば、とりあえずスケルトン・ウォリアーたちを倒しまくってレベルを上げるしかなさそうだ。
というわけで、再度上の階へ。
これまで、この階では何度も辛酸を舐めさせられた。
だが、さっき手に入れたスキル【傲慢】のお陰でステータスの差はもうない。
というか、前回のレベルアップも含めれば私の方が上回っている。
つまり、この階でも安全に狩りが出来るようになったというわけだ。
…と、ここまで考えてふと思う。
「上の階には一体何が居るんだ?」
少なくとも格上が居るというのは確定だろう。
そして、格上と戦う場合、私のステータスは3倍に跳ね上がる。
もしかすればこのまま上の階まで行ける…というか、その方が効率的なのでは?
この階には格下のスケルトンと|進化したら格下になる相手《《スケルトン・ウォリアー》しか居ない。
そもそも次の進化が何レベルなのかもわからない訳だし、であれば突然進化してもすぐ経験値を得られるにした方が良いのでは?
…よし、上の階を目指すとしよう。
もし次の階に居る奴に負けそうであれば逃げるということで…いや、そうか。
そういえば、逃げたり敗北したりすると暴走状態になるとあったな。
となると様子見というのは厳しいか?
というか、そうだ…進化した後は眠りにつくんだった。
さすがに格上の居る場所で寝る訳にはいかないか。
まぁ、つまりは2階…この階で進化するしかないな。
…と、そこまで考えているうちにどうやら階段をのぼりきったらしい。
気づけば数m先で大量の魔物が歩いている。
それと、どうやら2階は1階に比べて随分広いうえに複雑なようだ。
流石にここで階段を見つけるまで戦闘を避けるなんて言うのは現実的じゃない。
それに、もしかしたら宝箱とかあるんじゃないか?
そうとなれば、このぼろい剣ともおさらばできる可能性が…よし、決めた。
取り敢えず、この階を隅から隅まで調べるとしよう。
ついでに道中の敵も
そう考え、
そして30分後。
私の目の前には木製の宝箱がある。
先ほどの場所を抜けて少し行った先の小道を入ってみたら案の定だ。
スケルトンが大量に居たが、あのスキルを手にいれた私からすれば所詮は骨。
油断は敵だと分かっているが、どうしてもこう簡単だとな…
それはそうと、早速宝箱を開けてみるとしよう。
罠という線も考え、とりあえず周りに転がっている石ころを投げてみる。
しかし特に反応はないようだ。
開けてどうなるか見てみないことにはなんとも言いづらいな。
1,現状より良い装備があれば交代。
2,装備以外で良い物が入っていればアイテムボックス行き。
3,
基本的にはこの3択で十分だろう。
そう考えつつ、宝箱に手をかける。
とはいえいつ襲われても良いように、剣も向けておく。
その瞬間。
宝箱が勝手に開こうとする。
次の瞬間、その宝箱の中に牙が大量に並んでいるのを視界が捉える。
生理的に受け付けない光景で一瞬吐き気を
蓋を開けようとしていた左手を離し、右手で剣を振るう。
流石に反応しきれなかったのか、その魔物…ミミックはあっけなく切られ、
《レベルが12に上がりました》
《称号【見破りし者】の称号を獲得しました》
という声。急いでステータスを確認しよう。
名前:なし
種族:スケルトン・ウォリアー
Lv:12
HP:190/190
MP:0/0
STR:40
VIT:40
INT:0
MIN:1
AGL:30
LUK:28
ユニークスキル:【傲慢】
スキル:【アイテムボックス】【鑑定】【言語理解】【成長加速】【思考加速】【剣術】【看破】
称号:【元異世界人】【幸運者】【同族殺し】【見破りし者】
称号【見破りし者】
擬態しているミミックに気づき撃破したモノ。
効果:スキル【看破】を獲得
スキル【看破】
常時、視界に入った「隠れている・隠しているモノ」を赤く表示する。
…なるほど。まだ開き切る前だったから称号がもらえたんだろうか?
それに、スキルも有用そうだ。
敵を倒すときはもちろん、隠れた宝を探すような時にも使えるかもしれん。
というか、経験値が入るということはミミックって一度進化しているんだな。
なんというか、勝手に無進化な魔物だとばかり思っていた。
予想だが、無進化ということは言い換えれば「1段階目」ということ。
スケルトンと同じく経験値が得られないとばかり。
それはそうと、何か落としていないだろうか?
ミミックが居たところに目線を戻すと、そこには1本の剣が。
…マジか。一石二鳥どころか一石三鳥じゃないか。
それもどうやら「普通の鉄の剣」らしい。
今持っている
というか、あれだけ錆びていてよくもったな?
そこそこ雑に扱っていた自覚はあるんだが…
まぁいい。強い装備が手に入ったのだし、喜ぶとしよう。
それと、折角だから元の剣はアイテムボックスにしまっておくとする。
まぁ、「思い出の品」というやつだな。
さてさて、この階には宝箱があることが分かった。
ここ以外の宝箱も全て貰っていくとしようじゃないか。
表情など本来ないはずの私の顔が、笑っているような気がした。
翌日。
1日この階を漁ってみたが、はっきり言って宝の山だった。
まぁ、ウォリアーはそこまで多くなかったのであまり経験値は稼げなかったが。
それでも、ミミックを倒すことでレベルは15まで上がった。
それに加えて鉄の剣も3本ほどあるし、ポーションやアイテムなんかも。
とはいえ、ポーションはスケルトンの私には使えないもののようだが。
そして本題はここからだ。
「スキルオーブ」なんてものが手に入ったのだが、これが凄い。
手に持った瞬間、スキルを覚えたのだ。その名も【体術】。
最悪剣がなくても戦えるというのは、現状一人の私にとって非常にありがたい。
周りの魔物を相手に、早速使ってみるとしよう。
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