第5話


ララと歩いてたらね。

ブランコが揺れてて、ぼく ビックリして しばらくそれを見てたんだ。


ララはね、その辺に生えてる草の匂いを嗅ぐのに夢中で 別に気にしている様子はなくって、ぜんぜん普通にしてたよ。


だけど…ぼくは


ぼくは普通じゃいられなかった。



覚えてる?

ぼく 最初に言ったよね。


公園にいたのは ぼくとララの2人だけ。

他には誰もいなかったんだよ。


だけど ブランコは揺れてた。

まるで誰かがこいでいるみたいに。


風で動いたのかもしれないって、思ったでしょ?

でもね、違うんだ。だってブランコは2台あって 向かって左側だけが動いてたんだ。


ぼく 身体が固まったみたいにコチコチになって、でもララを守らなきゃと思って、抱きあげて… そのあとはよく覚えていない。


気づいたら家に着いてて、でも震えが止まらなかった。


あれはいったい、何だったんだろう…。




それで…そのあと 少ししてから 指輪がないことに気づいたんだ。


誕生日にウィンからもらった大切な指輪を…たぶん あの公園へ落としてきた。


…すべり台の近くかもしれない。


取りに行かなきゃと思って、でも どうしても 1人では行けなくて…。


ビッグを誘ったんだ。



何も言わなくてごめん。


でもね、ぼくはララと何度もあの公園へ行っていて今まで あんなことは1度もなかった。

本当に普通の公園なんだ。


だから…

一緒についてきてくれるだけでよかったから、わざわざ 話して怖がらせることはないと思ったんだ。



Pink-Kiwi🥝

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