第3話


「ビッグ!どうしたの?」

「 何があったの?」


たぶん僕は今 顔面蒼白なんだと思う。そしてずっと 身体中の震えが止まらない。どうやって帰ってきたのかさえ、よく覚えていない。


さっきからドラゴンが心配そうに僕を見ている。だけれど言えない。

昼間 僕とティームに起こった出来事は 誰にも言ってはいけないんだ。そんな気がする。



「おいで」

「オフロに入るよ」


黙って震えているだけの僕をひょいと抱き上げ、バスルームまで運んでくれた。こんな時 自分より身体の大きな彼氏がいると助かるな。


彼はバスタブに熱いお湯を溜め、僕をそっと座らせてくれた。まるで宝物みたいにやさしく髪を洗ってくれるから僕は、心臓がじんわりして ちょっと泣いてしまった。



ビッグが泣いている。

お湯に浸かりながら泣いている。


こんなに震えるなんて どうしたの?ティームと何があったんだろう。なんでボクに話してくれないの? 身体を洗ってやらなきゃ。夕飯は食べたのか?


「大丈夫?」

「うん… ありがと…大丈夫じゃないけど…」


小さな声で何かぶつぶつ言うビッグの横顔は いつもと同じように美しくて思わず、両方の手のひらで髪を後ろへ撫でつけ 洗いたてのツルツルのおでこに唇を這わせた。


Pink-Kiwi🥝

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る