第17モフり 帰還! 尻尾天道へと行く
俺たちが悪鬼の魔の手から救い出した
「ほうか、ほうかそれは災難じゃったのう……
「全くよ、
あの後、75匹の白狐たちが次々と融合を始めていき金色の輝きを放つやいなや出てきたのは軽装の武者姿をした白髪で鬼の角も生えている狐娘だった。
「だが……そこな小僧は先程から何をしておるのだ?」
彼女は俺を変なものでも見てるかのような目で言う。そう今現在の俺、
「人目も
本当は別にそういう訳ではないが取り敢えず俺はそう言った。
「まぁなんじゃ……妾の不手際もあり、こやつを危険な目に遭わせてしまったからのう。その埋め合わせじゃ。
「あ、あぁ……
「……ほれ主よ、もういいじゃろ? さっさと退くと良い」
「それもそうですね、すみません。そしてありがとうございました!」
そう言い残し俺は部屋から出ていった。
「……それにしても、
「あぁ……奴ら一派はその昔、
「はてな。妾じゃて計りしれぬ。じゃが、もし二千年前と同じ事を起こすにしてはちと波風が涼しすぎるのも妙。かつての奴らならば大胆に行動しておったはずじゃ。……一体今度は何を企んでおるのじゃろうな。あの悪鬼は」
「……
「……神界にでも行く必要が出てきたのかものぉ」
部屋から出ていった俺は食堂へと向かっていた。理由は何となく腹が減ったためだ。それにあそこはどうやら何時でも開いてるみたいだし、何でも食い放題というわけで美味しいスイーツでも食おうというわけだよ。そして俺は食堂へと着いた。
「お邪魔しまーす。……うーんやっぱりここは物静かだなぁ。広い割に人が居ないというのは中々寂しさを感じるな……あ」
(あ、しまったぁ。ここ
「さてと、どこに座ろうかなーってそういえばどこの机にも呼び鈴とかがねぇな。あぁ、普通に呼ぶ系かな? ……まぁ取り敢えず座るか」
俺はすぐ近くの席に座った。どうということもないほぼ真ん中に位置する席だった。ここですぐ注文すべきなのだろうが、俺は先日の出来事について深く考えてしまう。
「にしても鬼か。俺の守備範囲は無論人外だから良いのだけど、もう既にトップランクの狐娘たちがおられますからね。わざわざどうたらこうたらと言う気はないけど……何か引っかかるんだよなぁ。」
「それにあの時の俺は何か変だった。生き死にを賭けた戦いに身を投じられたせいか気分が高揚して、まるで自分じゃないみたいな雰囲気だった気がする」
「それにあんなに動けたの初めてだよな? このヒョロガリの肉体でよくもまぁあんなに……」
「……何時からだろう。ここでの生活が始まったのは。よく頭をこねくり回して考えればわかるが、まだ三日程度の日数しか経ってない。なのにまるでとうの昔からいるような気がしてくる」
「それに、どうして俺は帰ろうと思えないんだ?」
――カチッ。
そう考える刹那に奥から人が出てくる。その足音を聞いた俺は振り返る。そこにいたのは
「あ、そうだ……そういえばデザート食いに来たんだった」
そう思っていたのも束の間、彼女はもう既にデザートを俺に届けに来ていた。
「え!? あ、そういえば……ありがとうございます!」
(前に確か、
因みに届けられたデザートはベイクド、ニューヨーク、レアの豪華三種チーズケーキセットだった。なぜこれらのデザートかは恐らくケーキの中で俺が一番好きなケーキがチーズケーキだからだろう。
「頂きます。……ん?」
手を合わせた俺は気づく、以前ならばさっさと厨房の方へ戻っているはずの
「……あのぉ? どうかしましたか?」
「……あまり、いい音が聞こえませんでしたので」
仮面越しのせいか彼女の声がどもって聞こえる。どうやら音とやらが良くなかったらしい。全くもって何を言っているのかが分からなかった。
「音、ですか? ……音?」
「……心の音です」
「え? あー……そういうこと」
(つまり
「んーと、そのですね。まぁそのーー……何かよく分からなくて。というか自分は一人でいると余計なことを色々考えちゃうんですよね。誰かと居たり、誰かと話している分には明るいんですけど、いざ自分一人だけってなるとネガティブなことばかり考えて勝手に気分が落ち込んじゃうんですよ」
彼女は黙って俺の話を聞き続ける。俺は目の前にあるケーキを眺めながら話す。
「……それで、俺は一体どうしてここにいるのか? とか、どうして一定の好意を受け取れているのだろうかみたいな……俺の親はとか」
俺が思っていた事を色々ポツリポツリと話してみた。すると彼女は何か意味深な事を言い始めた。
「……あなたはまだその時ではない。……私から言える事はそれだけですし……それしか知りません。……あなたを遥か以前から知っているのはあの方くらいなものです。……失礼いたしました。……あなたからすれば、まだ先のことでした」
「え? それってどういう……あ」
俺が瞬きする頃には、もうそこに
「……一体なんだったんだろうか。まぁもういないから、食べちまうか。……!! う、ウメェーーーッ!!」
俺は目の前のチーズケーキを幸福そうに平らげた。
――彼には聞こえないところで
「……そう私が聞いた 『アノ事』 はまだ先であり過去のこと。……ですが、どうか早く思い出してあげてくださいね」
◆
時や場は変わり、鬼の根城にて二人の鬼が御前に出る。
「
「同じく、
二人が
彼女の容貌は、長身にて
「おぉ……帰ってきたか。それでどうだった? アイツの妖力は集められたか?」
「それが……失敗に終わりました。偶然駆けつけた神使共によって阻止されしまいました。申し訳ありません」
「……何? ングッ……プハァ、それで? まさかそれだけか? 俺様の四天王の二角を担うものがぁ……それだけ言いに来たのか?」
急速に浴びせられる重圧により二人は
「ですがその代わりに、それに見合う情報を入手いたした次第であります。あの忌み物の依代らしき人物と遭遇いたしました」
「忌み物? ……あぁ、あれか……なるほどなあれの依代がいたというわけか。あの
「はい、人間の
その返答に
「人間だと? 人間がか……まぁそういうこともあるか。あれは元々は鬼の秘宝であったが飛鳥の時の陰陽師共が我ら同族より奪いし巻伝を元に造らせたもの。だが鬼も人も扱えぬことから忌み物とされたのだが確か奈良か平安の時に扱えたものが一人だけ現れて以降、全くもって新たな適合者が現れなかったようだが……二千年程の時を経てようやく現れたのか」
彼女は他所を見し、顎に手を添えながら深く考えた後に配下の二人に向けて告げる。
「まぁいいだろう。この情報の価値に気づき持ち帰ったその機転の良さに免じ、今回の失敗は不問とする。さがるがよい」
「「ハッ! 失礼いたします!」」
そうして二人は去っていった。その後、
「さて、どうしたものか……親父殿や
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感想とか待ってるぜ!! 励みになり摩虎羅!!
*まだだッ! まだ終わらんよ!!(多忙)
作者小言:最近シリアス寄りになっているのが本題にそれ過ぎててまずいと感じてます。モッフモフで最高な癒しを中々出せずごめんなさい。
次回予告 サマーな尻尾フレンズッ!!
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