第16モフリ 悪逆非道! 尻尾の涙を取り戻せッ!!
「七十五匹ィッ! なぜ七十五匹なんですか?」
「なぜって……あーお前は知らねぇのか。
「……ほぉ、そいうわけなんですねぇ。中々どうして
「そういう変なのはいいんだよ。にしても鬼か、一体どこのどいつだ? アタシら神使に喧嘩ふっかけれるほどの強者か、ただのバカの二択だな」
その言葉を聞いた俺は青ざめる。そんな大妖術バトルに巻き込まれでもしたら身が持たない。低級の悪霊くらいなら陰陽師的な感じでいけると思っていたのだが、天下布武の大戦争クラスともなればたまったものではないと。
「……あの、もう帰って良いんじゃないんです? 様子見でしょ? ならさっさと報連相したほうがいいですよね?」
「……あぁ、いやそれは無理そうだな。空を見ろ、もう結界が降りてる。どうやらただじゃ帰してはくれ無さそうだ」
「え、ええええ!!! じゃあここに犯人が来るんですか!」
まさかの事態に慌てる俺。だが犯人はそのようなことなぞ関係なくやってきた。
「ここにいたなぁ
「そのようだな
次に
二人の鬼に
「お前たち何者だ。なぜ
「そんなのテメェには関係ねぇだろ! 引っ込んでろ三下神使ィ!」
その言葉にカチンときた彼女は言い返す。
「んだとォ……? 雑兵ごときがぁ……アタシを舐めやがって。塵にしてくれるわ」
「あ? 雑兵だぁ? ハッ! 笑わせるぜ! その目玉ほじくり出して鍋に詰めてやるよぉ!!!」
その時、その
「伍番、『
彼女がそう唱えると、呪符から現れた
そして
「おっとぉ……あぶねぇあぶねぇ、識神使いだったか。しかも強力な」
「熊よ、そいつは預けるぞ。
「……え、俺ェ! 嘘でしょ……おわったぁ」
「ハッ! 楽な方選びやがって! しゃーない、わーはこいつの相手しとるからはよ来いよ」
取り敢えず俺は彼女から預けられている呪符を取り出す。
「えーっと、確かぁ……『
と俺が唱えると呪符から現れたのは紅蓮の炎を身にまとった白き鳥である
(お、おぉ……かっけぇ! なるほど恐らく一から四番は
四神に四霊……中国に伝わる神獣として有名過ぎる存在たち。
俺は彼女の実力が思っていた以上に凄すぎて、呆気に取られた。
「何を湧き立った顔をしているのだ
「……すみませんね。俺には刺激が強すぎたみたいです。
俺がそう言うと
だが奴からの追撃は来なかった。様子見だろうか?
「チッ……
(あ、やっぱそうなんですね。一回突進させようかと思いました。すみません……って俺は何に謝ってんだ! とにかく、やつを近づけさせないように常に距離を取らなければならない。俺に必要とされるのは時間稼ぎだ。必ず
「なるほどな……その様子、時間稼ぎといったところか。どうやら己が身の丈を弁えてる
「へっ、もっと褒めてくれていいですよ?」
◆
――その一方で
「はぁ…はぁ…やるなぁお前!
「ふん、これで格の違いがわかったか? この
「へっ、
(わーは剛力による徒手格闘を得意としちょるというに、こいつんの
◆
――だが
(なんだコイツ? 人間のガキの癖して妙に逃げ上手。識神は恐らくあの女のものだろう。いくら
「どうしたよ! そんなものかよ! 俺一人攻撃出来ないんじゃあ、到底
(おまけに少しハイになっているな。先程までの冴えない様子とはまるで別物、一体コイツは何者なんだ? 熊のやつも限界の様子、仕方ないここは武器を解禁しよう)
すると
「ここからは本気で行かせてもらうぞ、
「でっデカすぎやしませんか? ……まぁ落ち着きましょう? 何も本気になることはないさ、ただーー!!」
そう俺が文言を垂れているとその鬼は急速してこちらに近づき、刀を振るいやがった。俺は急いで避けた。
「ウワッア、ププ! ……くそぉ良くもやりやがったなァ!」
(大振りな分、隙が大きいようだな。ある意味避けやすいが、罠かもしれない。何が罠か全く分からんが!!)
「ほう……小生の
(やはりおかしい。アレを避ける人間なんぞ、それこそ太古の連中くらいだ。だがこの
――
「!! そうか、なるほどな。可能性は高いと言える。……熊ァッ! ここは一旦引くぞ!」
「アァ!? 何でだ! ……だがこれ以上、わーも耐えきれぬ。さらばだ、赤髪の神使! 次あった時は必ず倒す! だが、勝負に負けた以上! そいつの残りの分体は返してやるよ!」
「あ? 逃がすわけねぇだろッ!! オイコラァ!!」
彼女は追いかけるが、あの二人の鬼はとっとと行ってしまった。
「……チッ! だがまぁいい。
「あーはいダイジョブです。
「そうかならいい。にしても良く怪我しなくて済んだな、少しはやれるようだな。さてと、このまま
「でも一体、何の集団だったんだ? でも可愛かったな……なんてのは?」
「……殺されかけててそれが言えるお前はもう立派な英雄だよ」
と呆れ混じりに
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*未だ忙しいのは終わってないです。
次回予告 帰還! 尻尾天道へと行く
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