第7モフり 尻尾もドキドキ!初のマッサージ体験!?!?
(マッサージか、考えてみれば初めての経験。しかしなぜこのような場所に店やこの娘がいるんだ?)
店自体はそこまで広くはない。店の扉を開けてすぐに新品同然の待合椅子と受付カウンターがあるくらいでその奥は間仕切りカーテンで分からないが、ほのかにアロマの香りがする。その匂いは甘く嗅いでいるだけで思わずリラックスしてしまうほど心地の良いものだった。
それにどうやらここはこの小さき店主の
(う~ん。マッサージ痛くないと良いなぁ。痛い系は耐えれる気がしない!)
「それじゃお兄さん。これに着替えてください!」
と、透明なビニールに包まれた白い服を渡された。
「ん? これってなんの服ですか?」
「はい! そちらは施術服になります! お兄さんから見て右の方に着替え室がありますのでそちらでお着替えください!」
「主よ。今のお主の格好を今一度見るが良い。」
「え、……あ!」
(あーそうだったぁ。オレ、タオルを腰に巻いているままだったぁ)
と自らの格好に今更ながら恥ずかしく思い赤面する。
温泉ではそこまでであったが、店の中ということもあるのだろう羞恥心が倍プッシュだ。
「あ、それじゃあ着替えてきますねぇ」
カシャーッと着替え室のカーテンをめくって中に入りカーテンを閉じる。
俺はビニールから施術服を取り出す。それを身につけると室内にある大きな鏡でその姿を見る。
(うーん。施術服とはいえ少し薄地だな。指圧とかをやりやすくするためか?)
施術服の着心地を感じるながら、俺は着替え室から出る。
「着替えましたよーっと」
「それではお兄さんこちらへどうぞ!」
と、言い少女は施術室のカーテンを開ける。
その先に写った部屋の内装は真ん中に施術台があり、枕の隣に小道具が置いてある台がある。部屋の隅の方には観葉植物が2つほど置かれてあり、移動式の洗面台が置いてあった。それと便利台があった。恐らく彼女の身長を補うためのものだろう。
「あちらの施術台に仰向けで寝てください!」
「はーい」
彼女の言われるがままに俺は仰向けになった。すると彼女は「んしょッんしょッ」と移動式の洗面台を動かして俺の足元まで持ってきた。
「それじゃあ、足を洗いますねぇ」
そう言い、洗面台についてあるシャワーヘッドから温水を出して俺の足を洗ってくれた。
(へーまずは足を洗うのかぁ。足のマッサージのためのお清めかな?)
そうして濡れた足をタオルで拭き取ってもらった後、足を元の位置に戻した彼女は俺の頭の近くまで移動してきた。優しい口調で彼女は言う。
「お次はお顔にホットタオルをのせて軽くマッサージします!」
そして彼女はホットタオルを取り出し、私の顔の上から下へと軽く指圧していく感じで、のせて移動させていった。ホットタオルの温もりが心地良い。
「それではお顔をオイルでマッサージします!」
すると彼女はオイルを両手につけ、俺の顔を広げるようにして塗っていく。その最中に顔をシェイプアップするような形でほぐしていく。頬を撫で、鼻の溝を撫で、顎の下を撫でていく。
「ではオイルを拭き取ってヘッドマッサージをいたします!」
官女はタオルを手に取り、俺の顔からオイルを優しく拭き取る。そうして頭の周りを良く揉み、そして伸ばす。首の周りも良く揉んでいく。
(あぁ。首周り疲れているのかなぁ。とてもきもちいぃ)
「頭少し浮かせますねぇ」
そうして彼女は俺の頭を少し持ち上げ、後ろの首といった所をマッサージする。
「お顔にパックのせますねぇ」
そして俺の顔にフェイスパックがつけられ、タオルを目の上にのせられる。
「それじゃあお足のマッサージします!」
「んしょっんしょ」という彼女の漏れ出る声が耳に聞こえる。
(あぁ、いいねぇ。とても心地が良い。疲れた体に染み渡るぅぅうう)
彼女は俺のふともも、ふくらはぎ、足首、足裏をもみ、のばし、ほぐしていく
このちょうど良さが痛さを伴わず心地よいの臨界点に触れている。
しばらく両足の施術を終えた後に彼女は言う。
「それじゃあ今度はお腕のマッサージします!」
と、言い彼女は俺の手を持ちツボを押し、伸ばし繊細に指圧していく。
二の腕や方あたりは大胆にそして正確に揉んでいく。
「それではお背中のマッサージしますのでタオルとパックを外します!」
そうしてタオルとパックが消えた俺の顔は新鮮な空気をその肌に感じる。
今まで目を閉じていたからか、特に五感の触覚が冴えわたっていたのかもしれない。
「それでは体をごろ〜んとして寝返ってください!」
そうして俺はうつ伏せの体勢になった。すると何やら彼女は先程の便利台ではないもっと階段状のものを持ってきた。
「さてとっと……」
「あの、一体何をなさるつもりですか?」
「あ! えっと今からお兄さんの上に乗る準備です!」
「あーーー! なるほど私の上に……てッ!! なんで!?」
(えっど、ど、どういうこと?!)
「大丈夫だよ、お兄さん!
「えっいやー……そのぉ」
(ムリムリムリッ! 重くて苦しいとかじゃなくて! 乗るってつまりそれ踏むんでしょ! 体を踏むやつでしょ! ちょっとなんかこう恥ずかしさというか! 犯罪臭漂うというか!)
「うぅでも、のせてくれないと
うるうるとした顔で言ってくる
(ウグッ!! それはずるいぞぉ! くっ! こうなったら腹をくくるしか!!!)
「はい……おねがいしましゅ」
俺の顔は羞恥心故に顔がリンゴのように赤くなっていた。湯気が頭から立ち込める。おまけに最後に噛んでしまうのも合わさって。
「はい! それじゃあ踏んでいきますね!」
(やっっぱりぃぃいいいいい!!!)
そうして俺の背中にのった彼女は両手を広げてバランスを取りながら、俺の背中を足で押していく。
(おっおぉぉーー……なるほど悔しいかな気持ちいいな)
「どうですかぁ? お兄さん」
「いやー確かに痛くないし、とっても良いですね。特に腰とかが、あははは」
そうして背中の施術が終わると、起き上がって座るように言われた。
「それでは最後の仕上げに肩もみします!」
後ろから肩を揉まれる。心地が良い。リンパが促される感覚がする。体の血行が良くなった気もする。その小さき手からは想像もできない熟練の妙技を感じる。
「はい! これで施術は終わりです! お兄さん、お疲れ様です!」
「あ、はい。ありがとうございました!」
そういう施術台から腰を上げると、体の変化に気づいた。
「うお! すげぇ! 羽毛のように軽くなったみたいだ!!」
「それはよかったです! お兄さんの体かなり疲れてたみたいだったのでよかったです!」
そうしてカーテンを開けると
「ほれ主のかわりの服の浴衣じゃ。脱衣所にあったのはもう洗濯へと回しておいたからの」
「あ、どうもすみません! ありがとうございます!」
「
「いえ!
「そうかそれは良かったのじゃ、では主よもう行くぞ」
「はい!
「お兄さん、お姉ちゃん気をつけてね! バイバーイ!」
そうして俺はこの世の極楽と言える施術を存分に味わったのである。
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次回予告 寝る間も尻尾/起きぬけも尻尾
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