院庭光景2

 塔の上から。

「やめてーやぁめてーやめてーやめてー。」

とずーっと叫び声が聞こえる。

 気分が悪くなる。

 いつもの人だ。

 塔の上の人の、不幸とその状況と境遇を心配すまいとする。

 しかし、闇の霧の様な気配が塔の上から覆い被さってくる。

「私には何も出来ない。」

 分かっている。

 だから、気分が悪い。


 鮮烈な、血飛沫上げる、曼珠沙華。

 咲き乱れて私を誘い、呼び寄せる。

 ぼうっと魅了されていたら今日の院庭時間は終わっていた。

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