気分の悪くなる嘘1

 午後、病室で各々ぼんやりしていると。

 中原さんが何を思ったか大げさに身振り手振りを交えて唐突に言う。

「靴屋で靴が盗まれないようにねぇ。

私が靴を片方だけ店頭に出すようにしたの!

靴が両方とも展示されていると盗まれちゃうからね。」

 病室のみんなはあきれて何も言わなかった。

「画期的でしょ!」

 中原さんは言い募ったが誰も相手にしなかった。

 兎に角こういう事されると本当に気分悪い。

 そして反論なんかも無駄なのは、もう分かっていた。

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