第2話
その日も、仲良し三人組の彼女たちは小学校に登校してからHRが始まるまでずっと、今日の放課後は何を占おうか、「こっきゅりさん」に何を聞こうか、って話をして盛り上がっていたんだって。
でも……。
「昨夜……みんなのお友だちの白峰さんが、自動車にはねられて、亡くなったそうです」
教室にやってきた先生のそんな言葉で、その気持ちは一変してしまった。
それは、そうだよね。
だってその三人は、クラスも部活も別だったその子……
だけど実は、その日の彼女たちが一番心を揺さぶられたのは……。
その三人の中の一人……いつも率先して「こっきゅりさん」をやっていた陽鞠が言った、こんな一言だった。
「もしかして美玖ちゃん……私たちが『こっきゅりさん』やってたせいで、死んじゃったのかな……」
「え、えぇ……?」
「ちょっと陽鞠……何言ってるの? そんなわけないでしょ?」
「だ、だって……」
いつも明るくてバカみたいなことを言って周囲を笑わせていた陽鞠が、そのときは別人みたいに、不安そうに体を震わせていた。
「だって……私たちがこの前、美玖ちゃんのこと占ったとき……。アイドルのコジシュリと付き合うとかいってさ……よく考えてたら、やっぱりそんなことあるわけないもんね? ホントはあのとき、私たちの中の誰かが適当にコインを動かして、適当な答えを作っちゃってたんじゃないの? それで、『こっきゅりさん』が怒っちゃって……。美玖ちゃんのことを、呪って……」
「ふん、バカバカしい! そんなワケないでしょ!」
「た、確かにぃ……。こ、『こっきゅり』さんは、百合が大好きなんだもんねぇ? そ、それなのにぃ、百合な答えを勝手に作られたから、その人を呪い殺すとかぁ……。お、おかしいよぉ?」
「……そ、そう、かな?」
「そ、そうだよぉ」
「当たり前でしょ!」
「……そ、そっか。そう、だよね……」
結局その日は、それで陽鞠は納得してくれたみたい。
まあ、さすがにいつもみたいに「こっきゅりさん」をする気分にはなれなかったから、そのままその日は解散になったけど。
でも……。
陽鞠の心配は、ある意味で、的中しちゃうことになる。
だって……その次の日に、また彼女たちは知ってしまったから。
自分たちが「こっきゅりさん」で占った別の人……
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