第12話 初イベ

 クラン白雷の空とあった後は第一エリアへとイベントの為に向かった。


『それでは、これよりイベントを行います! このイベントは実は討伐数によってアイテムを配るイベントとなっております! それでは、存分に討伐してください!』


 そうなってくると第一の方が敵が弱いから絶対有利。俺の勘が冴え渡っていたことに胸が踊る。知らない間に口角が上がってしまっていたようだ。


「ギャハハハハ! マセラの勘が当たったなぁ! やっぱりもってるぜ! あの邪悪な笑みがいいねぇ!」


 俺の微笑みを邪悪な笑みと言われてしまった。


(えっ。ちょっとショックなんだけど)


 イベントは既に始まっており、第一の魔物はホーンラビットだったようだ。

 死角の斜め横から迫り来るホーンラビット。


「マセラ!」


 今の声はきっとキンドさんだろう。

 俺がぼうっとしているから心配して声を上げてくれたのだと思う。

 けど、心配ないです。見えてますから。


 ────ザンッ


 マセラは居合を放ち、迫って来ていたホーンラビットを一刀で斬り捨てた。

 目の前にはウジャウジャとホーンラビットが飛び回っている。


「ハハハハッ! 大量の肉じゃぁぁぁ! こんだけ肉があればネムさんの料理食べ放題じゃぁぁぁ!」


 大声を上げてホーンラビットに向かっていく。

 

 それを見ていた極一突の面々はというと。


「僕、よく知らないけど、あそこの定食って親父さんが作ってるよね?」


「そうやないか? そんな事実はマセラに関係ないねん。妄想の世界やから」


 アルトの真面目なツッコミにマセラは頭がおかしいから放っておけというキンド。


「ギャハハハ! ありゃ、戦い方もイカれてるな! 一撃も当たらないのにこちらの攻撃は全部クリティカルときた。これはヤバいな。やっぱりメンバーに入れよう」


「ワレも、メンバーに入れるのは賛成であるな。あのホーンラビットの速さに余裕でついていってるし、クリティカルを当てる技量。文句がない」


 バカラとシルドは真面目にメンバーに入れるかどうかを検討していたようだ。この二人が文句がないなら決定ではないだろうか。


「ワタクシはあの戦っている姿、ちょっとカッコイイと思ってしまいましたわぁ。マセラ様、ちょっとお近付きになりたい……」


 シルフィがちょっと異常なことをいいだす。


「はぁ!? シルフィ、アイツはヤバいって!?やめとき!?」


「ギャハハハ! まぁた始まった。シルフィはダメ男を好きになる傾向があるからなぁ。前もクズみたいなやつに金つぎ込んでたよなぁ」


 キンドが止めに入る。それを見たバカラがシルフィの昔の事を暴露してしまった。


「あれは、昔のことですわよ!? マセラ様はそんな人達とは違いますわ!」


「まぁ、いいんじゃねぇの? ライバルは定食屋のネムちゃんだけど、勝てる?」


 シルフィが放った言葉を肯定しつつも煽りを入れるバカラ。


「リアルで会ってこっちに目を向かせますわ!」


 そんな極一突のやり取りがされている事は露知らず、一心不乱に刀を振り続けるマセラ。


「はい! ここ二枚抜き!」


 直線上にいたホーンラビット二体の首を飛ばす。どっちもクリティカル判定になっている。

 こんな芸当が出来るプレイヤーが他にいるだろうか。


「おっと危ない!」


 見学していた極一突のシルフィに向かって飛んで行ったホーンラビットを見つけ、全速力でシルフィの目の前に躍り出た。


 ────スバッ


 これも居合いで始末する。


「あっ、シルフィさん大丈夫でした?」


「えっ? えぇ。大丈夫ですわ!」


「よかった」


 また再びホーンラビットの群れに飛び込んでいくマセラ。


 この出来事を切っ掛けにシルフィはマセラの沼にハマってしまったらしい。

 他のメンバー曰く、目がハートマークになっていたとか。




『皆さんお疲れ様でしたぁ! これよりイベントの結果発表とさせて頂きます! 楽しんでもらえましたでしょうか!?』


「「「おぉぉぉぉぉ!」」」


『よかったです! それでは討伐数ランキングの発表です!』


 空いっぱいにウインドウが表示されて結果が発表される。


 1位 シン

 2位 ヒデオ

 3位 アブラカタブラ

 4位 ヒデヨシ

 5位 シャチク

 6位 ナナミ

 7位 マセラ

 8位 ソラ

 9位 ゴリラダタケシ

10位 ナンジャモンジャ


『トップテンに入った方々、おめでとうごさいます! 1位にはUR確定の武器ガチャ箱、2位にはUR確定の防具ガチャ箱、3位から5位まではSR以上確定の武器ガチャ箱、6位から8位まではSR以上確定の防具ガチャ箱、9位がR以上確定の武器ガチャ箱、10位がR以上確定の防具ガチャ箱が送られます! はぁ。喋るの疲れた。では、またねぇー!』


 アナウンスが終わると俺のメニューのお知らせの欄には新着が来ていた。開くと防具ガチャ箱が届いているという。


「ギャハハハハ! まさかランキングにのるとはな! まじヤバい!」


「マセラ、ホントになにもんなん?」


「僕、ちょっと恐いかも」


「ワレは、羨ましい」


「マセラ様……素敵ですわ」


 極一突メンバーがそれぞれの反応を示す中、早速ガチャを開ける。


「これは……」


【漆黒の着流し ランクC SR⠀光属性攻撃30%減少 5%の確率で攻撃を吸収し回復】


「ギャハハハハ! やっぱすげぇよ! マセラ! お前が救世主だ! 早く現世エリア攻略しろ。天国エリアではお前の独壇場だ! おぉ、そうだ。ギルドでマセラを俺たちのクランに登録するぞ」


 俺は何がなにやらわからないが、天国エリアで活躍できるらしい。

 クランへの加入が正式に決まったみたいだ。

 あっ、俺ギルドに登録してないや。

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