第13話 クラン登録
極一突のメンバーとギルドに来ていたんだが、ちょっと申し訳ない事態になっている。
「このマセラを俺のクラン、極一突に入れたいんだが」
「はい! かしこまりました! ここに手を載せて頂いていいですか?」
「はいよ。マセラも手ぇ出せ!」
そう言われた俺はキョロキョロして挙動不審になってしまった。
「…………せん」
「おい? どうした?」
「すみません! 登録してません!」
バカラさんは目をキョトンとさせて目をパチパチさせている。
「はぁ? あれ? ドロップしたアイテムどうしてたんだ? おめぇ?」
「全部、ネムさんに買い取ってもらってました!」
俺は頭を下げながら白状する。
「ワイが言ってたやろ? ネムちゃんに貢いでるって!」
「ギャハハハハ! 言ってわ! すまん! こいつの攻略者登録を頼むわ」
キンドさんのツッコミに笑いながら受付に俺の登録を頼むバカラさん。
「それでは、登録しましょう! このパネルに手を置いてください!」
受付嬢に指定されたパネルに手を置く。
すると、名前やら武器やら職業やら色々な情報が出てきた。
「はいっ! 登録完了しました! あっ、もう第二までクリアしてるじゃないですか! 凄いです! 報酬が二十万ゴールド出ますよ?」
「えぇ!? そんなに? ありがとうございます!」
「「クックックックッ」」
俺が驚いていると後ろで誰かが笑っている。
振り返るとバカラさんとキンドさんが口を抑えて笑いをこらえていた。
「なんですか?」
「この子には惚れないんか? お前、好みがNPCなんやろ? プッ!」
「ギャハハハハ! お前! そこら中でそう言われてんだぞ! ギャハハハ! 好みがNPCって!」
キンドさんとバカラさんがいうには、噂が俺の好みはNPCだという噂が流れているんだとか。
普通の女の人は好きになれないけど、NPCは誰でもいいってことだ。
「それは違います! ネムさんは俺の運命の人なんです! 今までリアルでは運命の人に出会えなかったけど、このゲームで出会えた。それだけです!」
俺が真面目な顔でいうとバツが悪そうに頭を掻きながら笑った。
「悪かったよ。そうだよな。ネムちゃんがいいんだもんな」
「そりゃなんか一筋みたいな感じでいいやん。好感度高いんとちがうか?」
二人とも俺のフォローに回った。
「まぁ、イカれてることに変わりはねぇがなぁ! ギャハハハ!」
「結局、NPCやからな。プッ」
「もう。良いですよぉ。でも俺はおかしいとは思ってませんから!」
俺が不貞腐れたように言うと、目の前に金髪が現れた。
「バカラとキンド! マセラ様の純愛をバカにしてはダメですわよ!? ワタクシが許しませんわ!」
「お、おう。すまん」
「冗談やってぇ」
バカラさんとキンドさんは後退りしてシルドさんに隠れる。
「ワレは、マセラを尊敬さえしてるからな。馬鹿になどせんよ」
シルドは暗にそっち側の人間だと宣言している。
自信ありげにすました顔だ。
「な、なんかすみません! 俺の事で、なんかすみません!」
「マセラ様が謝ることないですわ! バカラ! 早くクラン登録済ませてくださいません!」
仁王立ちして腰に手を当てたシルフィが怒鳴り散らしている。
「お、おう。そうだな」
バカラさんが圧倒されて、そそくさと受付に向かう。
「アイツのクラン登録頼むわ」
「かしこまりました!」
少しするとピロンッとお知らせのアイコンに新着マークがついた。
メニューにクランっていうのが追加されていた。
タップするとメンバーリストとグループチャットなるものが表示されている。
「よぉしっ! これで、マセラも俺達の仲間入りだな! 宜しく!」
「まぁ、ワイは一緒に行動しとるから今更やけど、よろしく頼むわ」
「僕も、宜しく」
「ワレはな、パン屋のルルちゃん可愛いとおもってるのだ」
俺はサムズアップする。
シルドさんもサムズアップを返してくれた。
「ワタクシは、あまり関わっておりませんが、よろしくお願い致します。マセラ様、何か困った事があったら、
「あっ、は、はい」
シルフィさんのあまりの剣幕に俺も少し押され気味だ。
「でだ、何時にする?」
「ワレは、今週末ならいつでもいいである」
「僕は、何時でも合わせられる」
「ワイもいつでも合わせるで」
「ワタクシは一応週末なら何時でも大丈夫ですわ」
次々に予定を話始める極一突の面々。
「あれ? なんのお話ですか?」
「あぁ、言ってなかったっけ? オフ会やってんだよ。俺達。リアルで。みんな成人してっからよぉ、飲み会だな!」
流石に驚いて声が出なかった。
リアルで会うことを考えていなかったのだ。
それだと俺の素性がバレる。
顔が知ってる人もいるかと思ったから、こう言っちゃなんだが、少し顔を崩しているんだ。
「あれ? まずかったか? もしかして成人してない?」
「いや、違います! おっさんです! どこで、集まるんです?」
「みんなだいたい中心部の第一都心部だからよ。俺だけ第五外部だから、一時間くらいかかっけど、大丈夫! マセラは?」
「俺は……第一都心部です」
「じゃあ、ちょうどいいじゃねぇか! ダメか?」
凄いしんみり聞いてくるバカラさん。
そんな悲しそうな目で見られたら断れないじゃないか。
みんなも疑問そうに見てくるし。
おっさんはオフ会とか普通なんだろうか。
まぁ、いいか。
「そうですね。いつでもいいですよ。後で、店を教えてください」
「おう! じゃあ、後でな!」
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