第5話 終章
便利屋の倉庫兼自宅に呼ばれて屋上に行く。先日の舞台のなった市営住宅近くの海沿いに有るそこは、屋上から海が一望できるSHヨウコもお気に入りの場所だ。
「よう、来たか。」
「師匠、また屋上リニューアルしたんすか?」
「夏用にな、日本ってのは四季が有るんだよ!四季折々に変えないとどこで生きてるかわかんなくなるだろ。」
「そんなもんすかねー。あれっ、誰かいる、先客さんいたんですかー。」
夏用にアレンジされた屋上スペース、多分どっかから拾ってきたパラソルにリクライニングチェア、観葉植物など、、、安い昔のリゾートホテルみたいな、、
そのリクライニングチェアにアロハと短パン麦わら帽子を着た、これまた安い恰好をした男が寝そべっている。
「ていうかあんたキーパー?やめてよその恰好!」少し格好いいと思ってたのに
「どうしてここにいんのよ!」
「休暇をもらいました。正確に言うと停職14日間です。」
「えっ、私たちとの関係がばれたの?」
「いいえ、この間の侵入者を発見した際に、本来であれば、住宅の警備会社と同時に警察への通報も必要だったのですが、その通報を怠った事が警備隊条例の職務怠慢に当たりますので、自ら申し出て罰則を頂きました。」
「真面目…。さすが、『キーパー』ね。今まで休んだことなんてほとんどないんじゃない。」
「はい、そうなんです。だから休み方がわかりません。便利屋に相談したら、とりあえずぼおーっとしろって言われましてね。ここはいいですね。とてもリラックスできる。」
波の音が聞こえる。遠くでヒバリの鳴き声が聞こえたようだ。
キーパー:本名・寺田浩人(てらだ・ひろと)・1996年生まれ、人材派遣会社の営業として勤務、2032年高岡大火災にて家族を失う。その際、本人も頭を強く打ち、脳障害を負い、言語障害、記憶障害が発生するが、スマートグラスの記憶、言語補完機能を使いこなすことにより克服。以降、人間脳による状況判断とAIデータと演算機能をスムーズに融合できるようになり、高岡シティの外部委託警備隊として活躍。
市民からは護る者『キーパー』の愛称で知られる。
高岡シティ異聞~SHヨウコの活躍 @rogisu
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