第21話
七月一日 四神学園大学中庭 揚げタコ屋台前 九時四十分
「お兄さん、もう一皿ね」
「あいよ……って、姉さん、大丈夫っすか? もう五皿目ですよ」
「気にしない気にしない!」
龍斗の様子を伺いに――というわけでもなく、物見遊山のピクニック気分でトーナメントを観に来た紗蘭だったが、たまたま立ち寄った屋台で、揚げタコの魔力に取り憑かれていた。
「久我山くんもやるわねぇ~。龍斗くんが勝ち残れば決勝で……観られるかしら?」
紗蘭も久我山の実力は充分買っているところだ。紗蘭の見立てでは、久我山は順当に勝つ進んで決勝に……ということらしい。
「はい、姉さん、揚げタコおまち!」
「ありがとね!」
一瞬真面目な顔になった紗蘭だったが、揚げタコの魔力恐るべし。すぐに紗蘭の心は皿の上でダンスをはじめてしまった。
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