落ちた花はいずれ消えると、私は信じていた。


夏の日差しがまだ私を照りつける。

暑いと感じる。

だけど体は不思議と冷えきっていた。


縁側に座るとアリ達が列をなして動いている。

その先には花が枯れて落ちている。


ふと気づくと、涙が落ちている。

頬をつたい、私の赤い手を濡らしている。

やがて土を湿らせ、赤いシミを残し消えていく。


私はなんで泣いたのだろう、後ろにはいつもあの人がいた。

だけどもういない。


鼻に残るツンとした匂い。


手を震わせ体を抱き寒さから身を守った。

だけどこの寒さは消えない。


私の前で落ちている花は私のことを見ているかのよう。


早く消えてほしい。

早く消えてしまいたい。

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無題 快快 @pnku

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