第七幕 勇者パーティーVS超魔天王ボース

侵攻作戦当日


超魔天王ボースは侵攻対象である「デリス公国」に攻めいった。この侵攻作戦は基本的に軍対軍の真っ向勝負で行われる。しかし、このような総力戦では時間がかかるのと、貴族等の重要人物に逃げられる可能性があるため、あまり有効とは言えない。


 故に彼は戦力を分けることにした。一つは敵軍を真っ向から叩く大隊と獅子王と牛角王を最前線に出す。もう一つは少数編成部隊にボース自身が指揮を取り大きく迂回して後ろに回り込む。これを持ってすれば板挟みとなり格好の餌食と成るわけだ。勿論のこと少数部隊では心もとないという考えはある。しかし彼は超魔天王である。ならば問題は何もないのだ。だが本侵攻作戦はデリス公国を目前にした戦場であるため、回り込むとなるとデリス公国を討ち取る必要がある。つまり、とても少数では時間がかかりすぎるのだが敵国に伏兵の可能性は無いため軽く城内一掃で済むのだ。


ところがこの日彼には一摘ひとつまみの誤算があった。部隊迂回中にデリス公国が呼んだ助っ人が待ち構えていたのだ。それが勇者一行である。


彼の名前はフェイン、熱の勇者である。そして彼に付き従う戦士、魔法使い、僧侶といった王道パーティーであった。ボースは勇者が待ち伏せているとは知らなかった。けれども熱の勇者などという無名雑兵勇者なぞ恐れるに足らず。四大魔天王の一角を担う者であるならばそう考えるだろう。だがボースは違った。


彼は己の真の実力をわきまえている。故にある程度の実力者との戦闘は極力避けたいのだ。けれども出会ってしまったのならもう遅い。戦うしか無いのだ。

故に彼は作戦遂行のため小隊を先に行かせて一人だけで応戦することを選択せざるを得なかった。


「魔族共!!此処ここから先へは行かせないぞ!!」


颯爽さっそうと現れた熱の勇者は啖呵を切る


「なんだぁアイツ?あんな奴公国にいるなんて聞いてたか?」


「いや俺はそんなの知らねぇよ」


目の前の人間に戸惑い足踏みする配下の魔族達。すると部隊後方からドシンッ!ドシンッ!と重厚な足音が聞こえる。


「貴様らぁ〜なぜ進行を止めた?....ん?誰だ貴様?」


部隊の進行を急に止まったのを不審に思ったボースがやってきた。


「あ!ボース様!突然この人間が現れまして、どうやら公国の味方だそうです」


「なに?...貴様ら何者だ」


(はぁ????なんだコイツら?聞いてねぇぞこんな奴らがいるなんて)


ボースも予想外の出来事に内心困惑していた。


「俺の名はフェイン!!熱の勇者だ!!覚悟しろ魔族共!!」


勇者は剣先をボースの顔に向ける


「ええええ!!!勇者!まずいですよボース様!!」


「勇者だって!なんでこんな所にいるんだよ!」


「熱の勇者って誰?聞いたことあるか?」


「いや~無いな。無名勇者か?ならば雑魚だろう」


勇者に初めて対面する者は恐怖する、猛者は熱の勇者という言葉に聞き馴染みがないため雑魚の可能性が高いとみる。

部隊は冷静さを崩しバラバラになりかけたその時!!!


「沈まれぇえええ!!貴様らァ!勇者なぞに臆するなァ!」


とボースが部隊に緊張感を走らせる。場は静まり返る


「忘れたか?貴様らにはこの大魔皇王軍が誇る四大魔天王が一角、超魔天王ボース・デンドロス様がついているのだと!」


(逃げたい....超逃げたい!!タスケテ....)


「うぉおおお!!さすがボース様!!」


「さすが我らが大将!!」


部下達の士気は一気に上がった。ボースの心は沈みっぱなしだが...


「貴様らは先に行くが良い...この愚鈍な人間にはこのオレ様手ずから相手をしてやる!」


「皆の者!ボース様にここは任せるぞ!!」


「!?、そうはさせるかッ!!」


そう言い放った勇者は部下の魔族を止めようとするがボースが大技を繰り出し行く手を阻む


「このオレ様を前にしておめおめと手を出せれると思うなよッ!!!」


(手を出されたら一番まずいのはオレなんだけどな....トホホ)


「さすがは超魔天王...お前北星の勇者を知っているか?」


「北星...?」


ボースはその言葉に聞き馴染みがある気がした。深く記憶の中を洗い出すことでやっと思い出した。


(あぁ...そういえば居たな。確か人間の行商人に扮した部下の魔族を使って毒の入った酒樽を呑ませて殺したんだっけか?助けてくれたお礼にという口述で...至ってただのバカな男だったがそれがどうしたんだ?)


「あぁそういえば居たなそんなやつも....死んだと言ったら?」


「そうか、お前が殺したんだな....!!!」


怒りをあらわにした形相で勇者は剣をより強く握った。


(別に直接殺したわけじゃないんだけどな...こいつからすればそう見えるのか?)


「お前のような卑劣で極悪な魔族共をオレは許さないッ!!でりゃあああああ!!!」


「!?、待って勇者!あなた一人でツッコむのは危険よ!!」


そう啖呵を切って向かってくる勇者は仲間の静止を聞かずやって来る。


(あ、こいつバカだぁ。戦闘経験が乏しいのか?取り敢えず分断させとこうか...)


「レールウォーターッ!!」


ボースが魔法の呪文を唱えると彼の胸甲部分の像の鼻が動き出し、勇者目掛けて大量の放水を行いそのまま水圧で勇者を持ち上げて遠くへ吹っ飛ばした。


「うああああああ!!!!」


遠のいていく勇者の叫び声が聞こえる


(まぁ後ろの方へ飛ばしたから部下は狙われないし、飛ばしたとしてもそこまで遠くはない直に戻ってくるはずだろうな)


「さぁ...どうする?かの勇者は飛んでいったぞ。勝ち目のない戦いは今すぐやめることだなぁ...」


(お願いッ!!諦めてください!!!)


「たとえ勇者が居なくとも!俺等がここで来るまで耐え忍ぶ!!」


「そうよ!アイツはそう簡単に死ぬ玉じゃないわ!」


「皆で頑張りましょう!!」


(えぇぇぇえぇえええ!!嘘だろぉおおおお!!!諦めろよぉーーー!!)


未だ戦意を失わない勇者一行に対して絶望するのだった。


「そうか...そこまで死に急ぎたいのなら、もう...何も言うまい...」


(オレが死ぬことになるかもな...ハハハ)


「・・・・あ」


その時!ボースは気づく!!


(そうだ!もうこいつら全員まとめてふっ飛ばせばいいんじゃね!!)


そう思い立ったボースは早速行動に出たのだった


「ブラストファイアーッ!!」


右手から火炎放射魔法を放って炎の壁を作り牽制する。


「くッ!なんだ!」


「気をつけて!!これはただの目眩ましよ!」


「ウィンドアウェイッ!!」


そうしてすかさず彼らの横に回り込み足を蹴り上げる感じで強力な突風魔法で3人まとめてふっ飛ばした。


「うわーーー!!!」


「きゃーーー!」


そうして勇者一行はどこかへ行った。すると戻ってきた熱の勇者が現る。


「!?仲間たちをどこへーーーー」


「ウィンドアウェイッ!!!!」


「グワー〜〜〜!!!!またかーーーーー!!!!!」


こうしてボースは極力戦うことなく先制攻撃のみで勇者達を撃退したのであった。


(もうこないで欲しい....ほんとに優秀なパーティメンバーだったからもう嫌だ)


その後無事作戦は成功しデリス公国は大魔皇王軍の支配下に加わった。



よろしければ感想やレビューお待ちしてますぜ!!!!

励みになるぜ!!!!!とっても!!!!


次回予告 四大魔天王祝勝会

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

こじらせコンプレックス大魔皇王軍‼️ 覚醒冷やしトマト @TomatoMan_TheCool

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ