第四幕 竜魔天王 シシルゼア・ローリンガル

北の地、紅の空が広がる山岳に構え立つ居城にて、作戦会議が開かれていた。


居城の一角にて、多くの魔族が一つの長机を取り囲む形で並び座っていた。

この間に座する魔族達は魔王軍でもトップレベルの英傑たちが首を揃えていた。


魔王軍は多種多様な種族が集い、大魔皇王の威光に惹かれたもの、意志に賛同するもの、勝てそうな方についたもの。様々な考え、そして思想を持った者たちがこの魔王軍に所属している。


本来こういった、思想の統制も弾圧もプロパガンダも強制や恐怖によらず、集い集め軍拡していけたのは何故か?それは力だ。古来より生物という概念がこの世界に存在したその瞬間から強者と弱者が決定づけられた。この生物界の輪を「弱肉強食」「食物連鎖」と表現されることが多い。


故にその力こそが上下関係を揺るがないものとし、悠久の秩序がもたらされる。

と、言うは易く行うは難しってわけで全てがそうとはならないのが現実である。

さて、それよりもこの会議の部屋の一番奥に鎮座する女性がいる。


その女性は鋭い眼光とその大物感漂う雰囲気と威圧感を放ち付け入る隙がないといった凄みをみせ、褐色の肌で赤黒い軍服と軍帽を着こなし、人から見て左側に髪を流した長髪の赤髪で目は紅い瞳。そして雄々しく立派な竜の角と太くて大きい尻尾が生えている。そして腰には世界でも最高峰の業物のサーベルを帯剣している。


そう彼女こそ!大魔王軍所属四大魔天王が一角!

竜魔天王 シシルゼア・ローリンガル その人である!


彼女が率いる軍隊は代表格はドラゴン族と種族的に格の高い系統の種族をメインに構成されている。そして彼女はロードドラゴラルニュートという種族で、段階的に人から竜の姿まで変身することが可能である。ここで全魔王軍四天王の紹介ができたところでおさらいしておこう


ボースが率いる軍隊は獣族や海魚類系が多く陸軍や海軍の2つを担い主に侵攻による領土拡大や占領が多い。


カーミットが率いる軍隊はアンデットやゴーストや悪魔族が多く、戦闘の他に事務処理や軍備運搬等が多い。


ミリシウスが率いる軍隊はゴーレム系統の物質系や精霊系や植物系が多い。各種殲滅等の任務が多い。


シシルゼアが率いる軍隊は飛行可能なドラゴン系の所属が多いため空軍であり、戦局の見定める司令系の中枢も担っている。


さておさらいも済んだところで、時を戻そう


「皆、規定通りの出席してくれた事...まずは礼を言う。さて、本会議の議題だが...東の大森林の一角のエルフの集落についてだ。」


と会議を始めるシシルゼアに手を挙げたものがいた。シシルゼアはそれに反応する


「ロイ=ゼクス、発言を許可しよう」


ロイ=ゼクス、アークノイドドラゴンである。


「シシルゼア様、エルフの集落は基本的にどの種族にも好意的ではなく、基本的に余所者を忌避する文化にあります。特にあの森の集落ともなると、あまり柔軟な考えが期待できるようには思えません。協定を結ぶにも、侵略するにもあまりリターンが少ないように思えます。ここは不可侵が定石かと」


「確かにあの森のエルフの多く特に年寄り共はそうだ。しかし、あの森の奥の先にある地域へと進出するにはあの森を抜ける必要がある。最も山を超え遠回りをするのも手だが、最短の道を行くにはこの森のルートが良い。その為には多少の面倒事も被るべきだ。それにあとにも先にも彼の地も含めて我が魔王軍の領地となる。先送りにしても良いがぁ...」


「シシルゼア様。その件について私からご提案がございます。よろしいでしょうか?」


と挙手をしながら彼女の配下のドラゴンズフリートが話し出す。


「いいだろう。話せ」


「ありがとうございます。それでは資料をお配りさせていただきます。」


「お配りした資料にお目を通して頂くとわかりますがーーーーーーーーーーー」


ーーーーーーーーーー割愛ーーーーーーーーーーー


「ふむ、ではこれにて会議を終了する。皆ご苦労であった。」


そうして彼女はその部屋から去っていった。

彼女の配下たちの話し声が聞こえる。


「いやぁ今日のシシルゼア様は何時にもましてオーラがすごいですなぁ」


「んだんだ。おらもあの御方にはちょっとやそっとで近づけれるもんじゃねぇ」


「俺はよぉ!思うんだがよぉ!あの御方こそ四大魔天王最強だとねぇ!」


「いやいや、そう単純でもねぇぞ?陽魔天王のミリシウス様はデミゴットって話だからなぁ。」


「俺は死魔天王のカーミット様かなぁ?あの人の部隊やあの人自体あまり戦ったとこは見たこと無いが、約束されたあの血筋だ。イレギュラー的に強えぇって!」


「イレギュラーなら、超魔天王のボース様だろ?あの人はパワーもあれば強力な魔法を沢山連発できるって話だ。そのおびただしい魔力と頭のキレを考えれば、正しく最強だ!それに何の種族かわからんらしいしな。」


「なんかの邪神とかっていう噂も聞いたな!」


「頭だけならグレイトアイとか言う雑魚モンスターに一番似てるらしいな」


「バッカお前!そんなわけねぇだろ!あいつらはそもそもが一頭身だろ!そんなデタラメを言ってたのがバレたら殺されるぞ!」


どうやら四大魔天王の強さの序列についての話題が盛り上がっているようだ。しかし四大魔天王の実力は拮抗していると考えるのが無難であり、そもそもの得意分野が違うがゆえに比べようもないのである。


すると廊下の奥から異様な圧を感じる。そうこの城の主である彼女が近づいているのだ。一斉にその場にいたものは慌てて、その場から去る者、その場にとどまり、迎えようとするもので別れた。


そうして彼女はそのままその場を通り過ぎて自室へ入っていった。。


「ふぅ...びっくりしたぜ。さぁ解散解散」


そうして魔物たちはその場をあとにした。


ーーーーシシルゼアの自室ーーーーー

部屋に入り、そのまま彼女は机の上の魔導具を手に取った。


「エフェクト・パージ」


と言うやいなや、厳格な部屋の様相がガラリと変わり随分と可愛らしい部屋になった

そうして彼女はもう一つの魔導具を手にする。


「チェンジ・アーマー」


と言いうと、彼女の軍服はふわふわとした淡いピンク色の寝間着に変化した。

そして彼女は部屋にあるふわッふわのパンケーキの形をした大きなクッションにもたれかかる。


「ふわっふわで...幸せがいっぱいだぁ」


と幸福な声が漏れ出る。

そう!彼女は普段は毅然とした態度を取り、誰もが恐れ慕う完全無欠の四天王の姿をとっているのは竜族としての誇り故であり、本当の心は純粋で可愛らしい性格で乙女チックなのである!それ故、そのような本当の己の心と誇りを守りたいという心のギャップに悩んでいる。


「はぁ...会議疲れたよぉ。ね♪ポニーちゃん♪」


とお気に入りの子馬の人形に話しかけるのであった。すると、扉の方から足音が聞こえる。それに気づいた彼女の動きは凄まじく早かった!

一瞬で魔導具の2つを発動し元の部屋と服装に戻した。


彼女の部下が扉にノックしようとしたその瞬間!扉がガバッ!と開いた。


「ウオッ!あ、いえすみません。少し驚いてしまいました。」


「何かようか?」


「大魔皇王様の使者様より令状を預かりました。どうぞお受け取りください。」


「すまんな。では去るがよい。」


「ハッ!それでは失礼いたしました。」


そう言いそのまま向こうへと去っていった。


「令状か...ふむ、なるほどな。定年の報告会か...久しいな他の連中と会うのは」


(ボース殿のあの猛々しい姿と、カーミット殿のあの麗しい姿をまた見れるのか。楽しみだな。あぁそういえばミリシウス殿も来るのか....奴は寡黙すぎて扱いにくい)


シシルゼアは男としてはボースのような男らしさに少しに憧れており、女としてはカーミットのような大人な雰囲気に憧れているのだ。つまり見本として彼らを見て尊敬しているのだ。ミリシウスは寡黙ゆえに必要最低限しか話さないため、距離を感じている。


「さて、もう流石に人は来ないだろうな。さっさとふわふわに包まれながら寝るとしよう。」


そうして彼女は眠りについた。



感想をお待ちしておりますぜ!よかったら、レビューお願いいたしますよ!


次回予告 次章:集結!四大魔天王!

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