第10話

アヴァリスさんは一緒じゃないんですか?



「いえ、アヴァリス様は今は外出中です。しばらくは戻ってこないと思います」



そうですか……それは残念ですね。でも仕方ないですよね……きっと忙しいだろうし、俺たちもやるべきことがあるからな!


さてと、まずは状況の整理をしないとな─俺はこれまでの出来事を思い出しながら考えることにしたのだった─


(それにしても鈴木亮太か…どう考えても偽物だよなあ~)


俺は目の前の人物を疑っていた─何故なら俺の知る鈴木亮太とは似ても似つかない姿をしていたからだ。


そもそもコイツは本当に俺と同級生なのか?明らかに年齢が合わないだろ!!どう見ても二十代後半くらいにしか見えないんだよなあ……。それによく見たら筋肉ムキムキだし、肌とかめちゃくちゃ綺麗なんだけど……!なんでここまで若返ることができるんだよ!!もう色々とおかしいだろ!?俺はそんなことを考えながら目の前の人物を眺めていた─ すると、その男性は俺に向かって話しかけてくる。



「何か考え事ですか?もしよろしければ私が相談に乗りますよ?」



おお、なんて良い奴なんだ!流石は鈴木亮太だな……って違うか!!この男は鈴木亮太じゃないんだった!!はあ……やっぱり偽物だったかあ。まあ、なんとなく分かってたけどさあ~とりあえずコイツの話を聞いてみるとするか─

***

ふむふむ……なるほどなあ。つまりこの男は、俺をパーティーに誘おうとしているんだな?しかし、この男の正体がよくわからないんだよな……一体誰なんだ??


それに、なんで俺のことを知っているのか気になるところだな─ うーん……やっぱりこの男について色々と調べる必要があるな!よし!ここはひとつ、思い切って聞いてみるしかないだろう!!


というわけで早速行動開始だ─まずは手始めにこの偽物野郎の正体を暴くことから始めるぞおおぉぉおおお!!俺は意気込んでいた。


すると、突然目の前にいる男が笑い出した─え?一体何がおかしいんだよ??意味がわからないぞ??


と思っていると彼は話し始めた。



「ははは!まさか気づかれるとは思いませんでしたよ……流石ですね!」



いや、別に褒められても嬉しくないんだけどなあ~っていうかなんでバレたのにそんなに落ち着いてるんだよ?!普通はもっと驚くだろ?



「単刀直入に聞きます。あなたは一体誰なんですか?」



俺は意を決して問いかけた─すると、男は不敵な笑みを浮かべて答える。



「私は鈴木亮太です」



なっ……!?なんだって?!まさかこんな形で回答が返ってくるとは思ってもいなかったよ!!っていうかやっぱりコイツは偽物だったらしいな……!!じゃあ倒すしかないよなぁ~。



「ははっ、何を言っているんですか?私は本物の鈴木亮太ですよ?」



偽物はそう反論してくるが、それを俺が信じるはずがない。っていうかコイツは本当にムカつく奴だな!!ぶん殴ってやりたい気分だぜ……!!俺を騙しやがって許さんぞゴルァアア!!俺は拳に力を込める─すると何かに気づいたのか、突然慌てた



「あれ?ちょっと待ってください!!本当に本物ですって!!」



いやいや、そんな演技しても無駄だからさっさと化けの皮を剝がせやオラァアアア!!するとその時、俺は何かに引き寄せられていく感覚に襲われた─この感覚は一体……!?俺を取り囲むように霧が立ち込める。俺はその空間に恐怖し動揺した



「お、おい!なんだよこれ?一体どうなってんだ!?」



俺が叫ぶと、突然目の前には見覚えのある人物が現れた。その女性は落ち着いた様子で俺に語り掛けてきた



「ごめんね悠斗くん……騙すつもりはなかったの……」



そう言ってきたのはレイナさんだった様だったが、その姿はいつもの彼女ではなかった……。

「ふ、ふざけるな!さっさと元に戻せよ!!」



俺がそう言うとレイナさんは悲しそうな表情を浮かべていた。そして、彼女は俺に告げる─



「ごめんね悠斗くん……騙すつもりはなかったの……」



そう言ってきたのはレイナさんだった様だったが、その姿はいつもの彼女ではなかった……。


彼女は金髪の美しい女性であり、俺の好きな人でもあったが、今の彼女はなんだか別人のように見えた。



俺はレイナさんを見て戸惑っていた

─ **


(どうしてこんなことになってしまったんだ……)

俺はレイナさんの変わり果てた姿を見て、思わず絶句してしまった。

まさか彼女がこんな姿になるとは思わなかったからだ。正直言ってかなりショックだ─しかし、今は落ち込んでいても仕方がないので、気を取り直して彼女に話しかけた。



「あ、あなたは誰なのでしょうか……?それにその姿は一体……」



俺がそう尋ねると、彼女は答えた。



「私はレイナです」



(いやいや!そんなことはわかってるんだよ!!そうじゃなくてだな……)


と心の中でツッコミつつも、俺は再び問いかける。


「えっとですね……あなたはどうしてその姿になっているのでしょうか?」



「ああ、それはですね。実は私は今、魔法の力でこの姿になっているんです」



「え……?魔法で?どうしてそんなことをするんですか?」



俺がそう聞くと、彼女は答えた。



「実はね、私の記憶も一部消えてしまっているみたいなんですよ……」



(おいおいマジかよ……冗談だろ……?記憶喪失みたいになってるなんて)



「あの、ちょっといいですか?」



俺が声を掛けると彼女はすぐに反応してくれた。俺は彼女に質問を投げかける。



「あなたたちは一体何者で、どうしてここにいるんですか?アヴァリスはどこにいるんですか?」



「はい、わかりました。一つずつお答えします」



彼女はそう前置きすると、説明を始める。



「まず、私たちはこの世界の人間ではありません。そして、ここにはアヴァリス様もいらっしゃいます」



それを聞いて俺は安心する─よかった……ひとまずは安心だな─しかし、まだ問題は残っているんだよなあ……この人たちの正体がわからない以上油断はできないからな!



「あなたたちは何者なんですか?」



俺がそう聞くと、彼女は答える



「私は、ここの管理者みたいな存在です。そしてここはヴェルノワール帝国の奥地なのです。」



ヴェルノワール帝国?それって確か、この異世界の大国の一つだったはず……ってちょっと待て!!まさかこの国に俺以外にも転生者が他にもいるってことなのか?!一体彼女は何者なんだ……?!彼女が続けた



「そしてもう一方は本物のアヴァリス様です。現在はお取り込み中なのですが……」



(お取り込み中ってどういう意味だろう?何かトラブルでもあったのだろうか……?)



俺がそんなことを考えていると、レイナさんは答えた。



「あの、もしよろしければ一度アヴァリス様とお会いになりませんか?」



(え?いいのかな……?)


そう思ったものの断る理由はなかったので、俺は彼女にお願いすることにした─

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