第9話
そして目が覚めるとそこは……
なんだここ?真っ白でだだっ広い空間だなぁ〜、ここはどこなんだ?
「ここは神界です」
不意に後ろから声をかけられて驚いてしまった……誰だ?
そう思って振り返ると、そこには白い羽衣を着た美しい女性が佇んでいた。彼女は微笑みながら俺に語りかけてくる。
「あなたは選ばれました」
え?何それどういう意味……?そう思っていると彼女は言葉を続けた。それは驚くべき事だった!何だって!?いやなんで
「あなた、死んでいますよ」
……は?いやいや何言っているんだよこの人。俺はちゃんと生きているじゃないか!そう思って自分の体を確かめるが特に異常は無いように見えるし、それに普通に会話だってできてるじゃないか!!俺が抗議しようとすると彼女は冷たい眼差しを向けてきた。そしてこう言ったのだ
「貴方は既に死んでいるのです」
……いや、いやいやマジで意味分からんぞこれ?なんだよ死んでるって!?一体どういう冗談なんだ?!俺が困惑していると彼女は説明してくれる。
……えっとつまり、本来俺という存在はこの世界には存在しないはずなんだってさ!じゃあ今の俺って一体何なのって話だよね!アヴァリスにはもう会えないのかよ⁉
「本来、貴方はこの世界に召喚され得るはずではなかった人物なのです」
と彼女は言った。どういう事だ一体……そんな事を言われるなんて全く身に覚えが無いぞ!それにそもそもなぜ俺はここにいるんだ?!そして神様は俺に何を期待しているんだよ!教えてくださいお願いします!!
「貴方の運命は、この世界に生まれた人間たちに大きな影響を与える可能性があるのです。なので貴方を生き返らせることに決めました」
彼女は真剣な表情でそう言った後、不意に微笑んで言葉を続けた……え?てか、あの手紙はなんだったんだよ?
「あれは、貴方が異世界へ転生することをあなたに知らせるためのものです。あの手紙は私が送ったものですよ」
マジか……あと、さっきから口調が変わってるのは気のせいかな……?いや、そんな事よりもっと大事なことを聞き出さねば……!それはなんだったのか、と。
「貴方の運命をより良い方向へ導くためです」
……なるほど、さっぱり分からんな。もっと分かりやすく説明してください!お願いします!!俺が懇願するように言うと彼女は少し困ったような表情で答えてくれた
……ふむふむ、つまりこういうことか?要するに俺が転生したことでこの世界の運命に影響が出る可能性があるので彼女の力で生き返らせたと……え、それってマズくないですか?だって俺って星芒の力を持つ存在なんだろ?
「いいえ、大丈夫です。この世界はあなたがいた世界の類似や異世界なので運命に影響が出るということはありませんよ」
ああ良かった……!それなら安心だな──じゃなくて!いやなに笑顔で返答してるんだよ!?あ、貴方って神様ですよね?なんでこんなに親切なんですか!? 俺が尋ねると彼女は笑って答えた。
「それはあなたが特別だからです!」
と自信満々な顔で言ってくる……いやいや!流石に俺でもあなたの考えていることは分からないし理解ができないですよお!!もっと詳しく教えてくださ──
《個体名:藤原悠斗が死亡しました。蘇生しますか?》
ーー突然、頭の中に声が響き渡り、俺は驚くと同時に意識が薄れていくのを感じた……これは一体!?
《個体名:藤原悠斗の遺体を肉体へ再生させますか?》 ……え!? ……はい、お願いします。よろしくお願いします!! そう答えると、俺の意識が戻ってくる感覚があり目を覚ますことが出来たのだった……ふう、危なかったぜ!もう少しでゲームオーバーになるところだったよ……!
マジで死ぬかと思ったわ……
そう思いながら立ち上がると、自分の体が元に戻っていることに気がつく。
おお!すげえなこれ!!本当に生き返ったのか?!信じられないけど、もうそういう次元の話じゃないよなあ……ていうか俺は死んでからどれぐらいの時間が経っていたんだ?時計を見ると二日後の日付になっているじゃないか!!
俺に襲ってきた敵はどこ行ったんだ?とりあえず、アヴァリスたちに合わないと…。
だが、外に出てみるとそこには死体の山しかなかった。
何だこの光景は?一体全体どうなっているんだ……?
俺が唖然としていると、ふと声が聞こえたような気がした。それは俺の大好きな人の声だった─そう、アヴァリスの声だ……まさか!そう思った瞬間俺は駆け出した!!どこだアヴァリス?!どこにいるんだよ!?くそっ!どこもかしこも死体だらけじゃないか!! 俺が叫び声を上げると、突然目の前に光り輝く扉が現れた。そして中からアヴァリスが飛び出してくる─
***
俺は思わず彼女を抱きしめる……良かった!無事だったんだな……!!本当に良かった!!これでようやく安心できた気がするよ……!
彼女は涙を流しながら俺に語り掛けてきた
「君が無事で本当に良かったよ。実は私も、あの後、敵に捕まってしまってね……なんとか逃げ出すことができたんだが……」
そうか、君も大変だったんだな……!でも、無事でいてくれて本当に良かった……!俺はそう思いながら彼女を強く抱きしめた。すると彼女は照れ臭そうにしながら俺の胸に顔を埋めてきたのだ……可愛い!! それにしてもあの野郎どもめ……!!絶対に許さんぞ!!見つけたら必ずぶち殺してやるからな……!!
「ああ、君が来てくれなかったら危なかったよ。全く情けない限りだ……情けない。」
彼女は少し落ち込んだ様子でそう言った。そんなことないさ、君は十分強いよ!俺なんかよりもずっと強いじゃないか!だから、落ち込む必要なんてないんだよ!!そう言って励ますと彼女も笑顔を取り戻したようだ……!よかった……!! 俺は改めて彼女を抱きしめてお互いに再会出来た幸せを噛み締めていたのだった……
***
《個体名:藤原悠斗の新たな運命が選択されました。》 ……ん?なんだ今の声??また、あの変な声が聞こえてくるぞ……?一体なんなんだよ!それに新しい運命ってどういう意味だ?!まさか俺、このまま死んでしまうのか!?嫌だ!!そんなの絶対にお断りだぞ!!俺はまだこの世界を楽しみたいんだ!!どうにかしてくれ!!
《個体名:藤原悠斗の運命を最適化します。》 すると、俺の体が光を放ち始めた……!!一体何が起こるんだ?!あ!アヴァリス!ちょっと離れろって!?何か来そうなんだって!!ああもうだめだぁぁあああ……!俺は意識を失ってしまった─
***
目が覚めるとそこは、再び見知らぬ天井だった……ここは一体どこだ?また変な場所に来てしまったのか……?
《個体名:藤原悠斗の新たな運命が確定しました》
おわっ!?なんだ急に!?びっくりしたなあもう!しかし、一体どういうことなんだ?これはさっきの続きなのか?? あ!そういえばアヴァリスはどうなったんだ?!無事なのか!?早く行かなくちゃ! 俺は急いで立ち上がると、部屋から飛び出した─
***
《個体名:藤原悠斗の新たな運命が選択されました。》
あ?またあの声だ……一体何なんだよ一体!!そんなことよりもアヴァリスを探さないと……!!一刻も早く助けに行かなければ!!
《個体名:藤原悠斗の新たな運命が確定しました。》
あ~もう、うるせえなあ……こっちは今忙しいんだよっ!?後にしてくれ!!今はアヴァリスのことが最優先なんだ!!
***
《以後、この物語は彼の視点で進行されることになります》 はえ?突然、何だこの声……っていうか俺の言葉通じてるのかな?まあいいや!とりあえず今はアヴァリスを探すことに集中しよう!!
***
《個体名:藤原悠斗の新たな運命が選択されました。》 おわっと……危ないなあまたかよ……!一体何なんだってばよ!?とりあえず、今はアヴァリスを探すことが最優先だ!早く助けないと……。
それにしてもここはどこなんだ?森の中にいるみたいだけど……?それに、なんかさっきから周りがやけに静かだよな……こんなに木が生い茂ってるのに鳥の鳴き声すら聞こえないぞ。一体どうなってるんだと思っていたその時だった─
《個体名:藤原悠斗の新たな運命が確定しました。》
またかよ!!今度は一体何なんだよ?!さっきから俺の脳内に響き渡る声といい、この変なループ状態は一体なんなんだ??何か手がかりとかないのか?俺はそう考えていた瞬間、意識が薄れていくのを感じた……くそっ!まだ何も終わってないのに……!!あともう少しでアヴァリスを見つけられるところだったのに……!
***
《個体名:藤原悠斗の新たな運命が確定しました。》 あ、またこの声だ……あーもう駄目だ!眠ってしまう……!!
***
ん?なんで俺は寝てるんだ??確かさっきまで何かがあったような……?思い出せねぇや。まあいいか、とりあえず起きよう。
俺は目を開けて起き上がると、周囲を見渡した……あれ?ここは一体どこだ?森の中にいるみたいだけど……周りを見ても特に変わったようなものはないが……?よし!とりあえず前へ進んでみよう!!もしかしたら何かあるかもしれないからな。
アヴァリスさんと合流しないと。それにしても、やけに静かだな……鳥の声も聞こえないし。まるで誰も住んでいないかのような感じだ……いや、そんなことはない!ちゃんと生き物はいるだろう!!それにこの森だってただの森じゃないぞこれはきっと……! 俺はとにかく前へ進んでみることにした─すると突然辺りが曇り始めたではないか?!なんだこれは!?
そして、俺の目の前には巨大な洋館が現れる。まるで中世のヨーロッパにでもありそうなデザインのものだった……!これが俺に見せたかったものなのか……?でもなんで急に?それにここは何処なんだ??俺は混乱していた─
すると、背後から声が聞こえてきた。
「ようこそお越しくださいました」
俺が振り向くとそこには一人の男が立っていた─彼は俺に向かってお辞儀をした後、自己紹介を始めたのだった─
「初めまして、私の名前は鈴木亮太と申します。以後よろしくお願い致します」
ふーん……なるほどなあ!!よし!それじゃあ中に入れてもらおうかな……!俺は彼についていき、建物の中に入ることにしたのだった。
「ここが、私の家です。どうぞ中に入ってください」
俺は彼に言われるがままに家の中に入ると、そこには高級そうな家具や装飾品が置かれていた─そして奥の方に進むと、大きなベッドがあり、そこに一人の女性が横になっていた─彼女は俺の存在に気づくとゆっくりと起き上がりこちらを見てくる……おお!この人はもしかして!?もしかしても
「まさか、レイナさんですか?」
俺がそう聞くと彼女は笑顔で答えてくれた─
「ええ、そうですよ。久しぶりですね」
ああ!!やっぱりそうだったのか!この人は俺の知り合いのレイナさんだ!!相変わらず綺麗な人だなあ……それに巨乳だし……っていかんいかん!そんなことに気を取られてる場合じゃないよな?それにしても懐かしい
「久しぶりです。まさかこんな形で再会できるなんて思ってもいませんでした」
俺がそう言うと彼女も嬉しそうにしていた─
「ええ、そうですね……私も驚いています。ですが、こうして再び会えたことを嬉しく思いますよ」
ああ……本当に良かった……!!俺も嬉しいぞ……!またこうして彼女と再会することができたからな!もう会えないかと思ったしなあ
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