第7話
そして俺たちはギルドから出て近くのレストランにやってきた。
店内に入ると、そこは落ち着いた雰囲気の店だった。どうやらこのお店は食事だけでなくお酒も飲めるみたいだ。俺はメニューに目を通してから注文することにした。
注文したのはハンバーグセットだ。アヴァリスさんはパスタを頼んでいたようだ……それにしても、この世界の食べ物は本当に美味しいものばかりだ!
俺は思わず感動してしまう。そんな俺を見たアヴァリスさんは笑いながら言った。
「ふふ、そんなに喜んでくれると嬉しいよ」
アヴァリスさんの笑顔につられて俺も笑顔になる……本当にいい人だなこの人……そう思っていると料理が運ばれてきたので早速食べ始めることにする。
うん、やっぱり美味しい! 俺は夢中になって食べていると、アヴァリスさんが話しかけてきた。
「ユウトくん、どうだい?このお店の味は?」
俺は頷いて答える。すると彼は嬉しそうに微笑んだ後、自分も料理を食べ始めた……それにしても本当によく食べる人だ……一体その細い身体のどこに入っていくんだろう?不思議に思いながらも俺は自分の料理を食べ進める……気づけばあっという間に完食してしまっていた。
俺が満足してお腹をさすっていると、アヴァリスさんはニコニコしていた……本当に優しい人だなと思うと同時に胸が高鳴るような感覚を覚える。何だろうと思い首を傾げていると、彼女は立ち上がって言った。
「よし、それじゃあ会計を済ませて店を出ようか」
俺は頷き、席を立つとアヴァリスさんと一緒に店を出る。そしてしばらく歩くと一軒の建物が見えてきた。どうやらここが目的地のようだ……中に入るとそこは冒険者たちが集まって情報交換をしたり交流を深めるための酒場だった。
(おお〜っ!)
俺は思わず目を輝かせてしまう……異世界の酒場にテンションが上がってしまう。アヴァリスさんは、そんな俺の様子を微笑ましそうに見ていたが、すぐに真剣な表情になると口を開いた。
「それでユウトくん、今日呼び止めたのは君に話したいことがあったからなんだが……」
すると彼女は俺に一枚の紙を渡してきた。俺はそれを受け取り、内容を確認する。そこにはこう書かれていた。
『藤原悠斗様へ
あなたは特別な力を持ち、世界を揺るがす運命を左右する存在として選ばれました。あなたの使命はこの世界に暮らす人々を救うことです。この世界を守るために尽力してくださいね! アリアナより。』
ん?なんだこれ……?書かれている内容があまりにも現実離れしていて、俺は思わず首を傾げてしまう。
だがアヴァリスさんは真剣な表情を浮かべていた。どうやら冗談ではなさそうだ。俺はとりあえず続きを読むことにした。
『あなたが選ばれた理由を詳しく説明しますね!まず、あなたは別世界から転生してきた存在です……しかもなんと、《異界からの漂流者》と呼ばれる特別な存在なんです! 《異界からの漂流者》は、この世界には存在しない新しい知識や能力を持っていることが多いため、多くの人々から注目を集めます。また、《異界からの漂流者》自身もこの世界の運命を変えることが出来る力があると言われています……。つまり、あなたは異世界に転生してきたという設定でありながらも同時にこの世界この世界を救うことができる存在でもあるのです! ちなみに、あなたのステータスはこんな感じになっていますよ。』
(【悠斗】)
種族:人間族(転生者)/異界の星芒(転移者)
性別:男性
年齢:15歳
魔法属性:全属性が使用可能ですが、主に光属性が突出しています。
ステータス:全ての能力値が非常に高い値であり、特に魔力と敏捷性が高い傾向があります。また、固有スキルや通常スキルなどは全てレベル5までの技が全て使えます。さらに、彼の持つ《天賦の才》により新たな技を習得する場合に限り一瞬で覚えることができます。
武器:なし
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「ユウトくん、どうかしたのかい?」
俺が紙の内容を読み終えた後、アヴァリスさんが心配そうに声をかけてきた。
俺は彼女にその内容を伝えたのだが……彼女はどこか納得したような表情を浮かべているだけだった。そして俺に優しい笑みを浮かべながら言った。
「なるほど……そういうことだったのか」
え?どういうことなんだろう……?俺が首を傾げていると、彼女は微笑みながら説明してくれた。
「実は、君のステータス画面を見たときに、一部おかしい点があったんだ……でも、君が何も言っていないから気にしない方がいいのかなと思って黙っていたんだよ」
アヴァリスさんが言うには俺のステータスは『異界の星芒』である上に珍しい能力をいくつも持っているそうだ。しかしそれだけでは無く、俺が異世界で手に入れたスキルや魔法も自動的に習得可能になっていたらしい……
さらに、俺の固有スキルの中に超強力かつ便利な能力があるみたいだ……一体どんな効果なのか気になった俺はアヴァリスさんに聞いてみることにした。すると彼女は教えてくれた。
「君の《天賦の才》によって他の冒険者たちよりも明らかに強いスキルや魔法が使えるんだ。例えば、【光属性】の技は全てレベル5まで使えるし、固有スキルに至っては一度使うとすぐに使いたい放題さ!……いやはやすごいとしか言いようがないよ」
その言葉を聞いた俺は思わず唖然としてしまう……マジか!こんなにチートな能力を持っているとは思わなかった。でも、これは俺にとっては嬉しい誤算だ!これならきっと俺にも活躍できるチャンスがあるかもしれない……!
俺が期待に胸を膨らませていると、アヴァリスさんは続けて言った。
「それでユウトくん、君さえ良ければ私たちと一緒に依頼を受けて冒険してみないか?君がこの能力を最大限に活かせるように、私たちもサポートするからさ!」
その言葉を聞いた俺は目を輝かせながら大きく頷いた。すると彼女は微笑みながら言った。
「よし!それじゃあ決まりだな!これからよろしくな!」
こうして、俺とアヴァリスさんの冒険が始まるのだった……
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