第2話
「いてて……何だ今の?」
痛みに耐えながら起き上がると、そこには見たことのない景色が広がっていた。
空には月のような大きな球体が三つ浮いており、周りを見渡すと先程までいた街の面影は一切無くなっていた。
「ここは一体どこなんだ?」
見慣れた街並みは無くなっており、地球ではないみたいだった。
(まさかここって地球じゃないのか?)
そんな疑問を抱いていると後ろから声をかけられた。
「おい、大丈夫か?」
振り返ると、一人の女性がいた。年齢は自分と同じぐらいだろうか。
金髪碧眼で、身長は俺より少し高いくらい。服は中世ヨーロッパ風の格好をしている
「あ、はい。ありがとうございます」
俺は立ち上がり、お礼を言う。
「怪我は無いようだな。ところでお前、こんな所で何をしているんだ?」
「実は俺にも分からないんです。気づいたらここにいまして……」
「ふむ……記憶喪失というやつか?」
「いえ、、そういうわけではないんですが・・・」
少し困っていた。
「まあいいか。とりあえず名前を教えてくれないか?俺はアヴァリスだ」
「俺は藤原悠斗です」
お互いに自己紹介をする。
「フジワラユウトか。珍しい名だな」
「そうですかね?」
「ああ、少なくとも俺は聞いたことがないな」
「そうですか……」
自分の名前が珍しいと言われたのは初めてかもしれない。
「まあ良いだろう。それよりもお前は何をしていたんだ?」
「えっと、友達と一緒に帰ってました」
「そうか。だが、今はもういないな?」
「はい、そうなりますね。どうして分かったんですか?」
「勘だよ。それより友達の名前を聞いてもいいか?」
「鈴木亮太って言います。もしかしたらどこかにいるかもしれません!」
「なに、慌てるな。その様子だとまだ死んではいないと思うぞ?」
「そうですね……。でもどこにいるのか全然わからないんですよ。それにここは俺が住んでいた世界と違うんですよね。」
「そうだな。まずはその辺りから説明する必要がありそうだな。」
そして俺はアヴァリスさんからこの世界のことを聞いた。
どうやら俺が住んでいる世界とは別の世界に来てしまったらしい。
俺の住んでいた地球とは違う名前の惑星であり、魔法が存在する世界だという。
俺は運がいいのか悪いのか分からないな。
「それで藤原悠斗と言ったな?お前はこれからどうするつもりなんだ?」
「えっ? えーと……」
正直、何も考えていなかった。
亮太を探したいけど、どこに行けばいいのか全く分からない。
すると――
「なあ、良かったら俺たちの国に来てみるか?」
アヴァリスさんが提案してくれた。
「えっ、いいんですか?」
「構わないさ。どうせ俺たちは暇だしな」
「それじゃあお言葉に甘えてお願いします」
こうして俺はアヴァリスさんの国に行くことになった。
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