第7話 復讐

その原因というのがあいつなんだけど、そいつというのは実は俺の幼馴染なのだ、

と言っても腐れ縁のようなものだから別に恋愛感情とかそういうものはないんだが、

何故かあいつはやたらと迫ってくるんだよなぁ、今日もまたデートに誘われて断ろうとしたんだけど、

強引に連れていかれそうになってたところだったんで本当に助かったよ、危うくキスされそうになる所だったんだからな。

そんなわけで慌てて逃げた先にあいつがいて、追いかけてきたのだが俺の姿を見るなり嬉しそうな表情を浮かべていたんだ。

正直言って不気味でしかなかったんだけどさ、そんなことお構いなしとばかりに話しかけてくるんだよ。

その内容がまた凄いものでさ、何と俺のことが好きだって言うんだよ。

信じられないだろう?

俺だって未だに信じられていないくらいなんだからな。

何でこいつのことが好きだったのかさっぱりわからないんだけどさ、一応見た目だけはいいみたいだから騙されてるんじゃないかと思うんだわ。

その証拠に俺以外の男と一緒にいる所とか見たことないしな、まあでも仮にそうだとしても俺には関係ない話だけど、

ただ単に暇潰しの為に絡んできているだけなのかもしれないしどうでもいいんだけどね。

そんなことより今はこの状況をなんとかしないと不味いことになってきているんだよな。

だってこいつがいる限り落ち着いて生活することができないわけだし、だからといって追い出すわけにもいかないだろ。

こいつは王女様なんだぜ、下手に手を出すわけにはいかないからな。

そもそもこんな場所で王女様を攫ったら指名手配されそうだし

それだけは絶対に避けなければ、かといって他に方法がないとなるとどうすれば良いのか悩んでしまうよな。

「ねえ、聞いてるの?」

考え事をしているといつの間にか目の前にいた彼女が顔を覗き込みながら聞いてきたので、思わずドキッとしてしまったよ。

(こいつ顔は良いんだよな)

そう思いながら彼女の顔を見つめていると突然キスされたと思ったら舌まで入れられてしまったんだ。

突然のことで頭が真っ白になってしまったんだが、暫くして我に返った俺は慌てて彼女を突き飛ばして距離を取ったんだ。

そうすると彼女は悲しそうな顔をしていたが、そんなの知ったこっちゃないね。

とにかく今はこの場を離れることが最優先だと思った俺は、急いでその場を離れる事にしたんだよ。

そしてそのまま住処に帰ることにしたんだが、途中であいつが追いかけてくるかもしれないと思って

ビクビクしていたんだけど、結局何事もなく住処に帰れたから安心したよ。

「ただいまー」

そう言いながら中に入ると、そこには誰もいなかったんだが、机の上に手紙が置いてあったんだ。

何だろうと思って読んでみると、どうやら俺宛の手紙のようだったので読んでみることにしたんだけど、

そこに書かれていた内容というのがとんでもないものだったんだよ。

何と俺の両親が死んだという報せだったんだ!

しかもその原因があいつにあるらしいということが書かれていてさ、何でもあいつが両親を暗殺したとか言ってるんだよ。

信じられないだろ?

でも実際に証拠もあるらしくてさ、それがこれなんだよ。

その手紙を読み終えた後俺は暫く呆然としていたんだが、やがて怒りが込み上げてきたんだ。

(許さない)

そう思った瞬間には家を飛び出していたね。

とにかく、今は復讐を果たす為に行動することが何よりも大事だと思ったんだ。

それでまず最初に行ったのは武器を買うことだった。

剣とかがあれば良かったんだけど持っていなかったからな、とりあえずナイフでも良いかと思ったんだが、

やっぱり不安なのでもっと強力な物を探そうと思っているんだ。

そんなわけで街の裏路地を歩いていた所にある店を見つけたんだが、看板にはこう書かれていたよ。

そこには剣の絵が描かれているんだが、その下に小さく文字が書かれていることに気がついたんだ。

その文字を見てみると、

(これはもしかして魔法道具店ってやつじゃないだろうか、それならきっと強力な武器があるに違いない)

そう思い中に入ることにしたんだ。

すると中は真っ暗で何も見えなかったのだが、奥の方から人の声が聞こえて来たので

行ってみることにすると一人の男性が出迎えてくれることになったんだよ。

その人は、ドワーフと呼ばれる種族の男性でこの店の店主だと名乗るのだ。

そして、俺に一枚の紙を見せてこう告げたのである。

俺はそれを読み終わった後、静かに涙を流していたが決して悲しい訳ではなかったんだ。

何故ならそれは、俺がずっと探していた物であり遂に見つけたと思ったからだったんだ。

だから、俺は迷わず購入することにしたんだが、問題は値段だよな。

いくら何でも高すぎるだろうと思っていたのだが、店主の奴めけろっとしてやがるんだよ。

どうやらこの程度は端金ということらしい、ならば遠慮なく買ってやることにしようと決心したね。

そうして購入し終えた後、俺の心は晴れやかだったね。

もう、何も恐れることはなかったのだから、これから復讐が始まるのだと考えるとゾクゾクするものがあり興奮してきてしまったのだよ。

そして、その日の夜のこと。

遂に俺は、行動に移したのだ。

両親を殺害した張本人であるあいつ、王女マリーナの元へ向かったのである。

「マリーナ、話があるんだ」

俺が声をかけると彼女は驚いたような表情を浮かべた後、嬉しそうに微笑んでいた。

その笑顔を見ると胸が締め付けられるような思いになったが、ここで挫ける訳にはいかないと思い言葉を続ける事にした。

「実はお前に復讐したいと思ってるんだよ」

そう言うと彼女の顔色が一瞬にして変わったのがわかったのだが、構わず続けたのだ。

そして、懐からナイフを取り出すと彼女に見せつけた後にこう言ってやったのである。

「お前を殺す為に俺はここまで来たんだからな覚悟しろよ!」

と言ってやると彼女は、怯えているようだったが俺には関係なかったね。

そのまま一気に距離を詰めると彼女の心臓目掛けて突き刺したのだよ!

そうすると彼女が悲鳴を上げたので慌てて逃げ出したんだが、

「待って、行かないで!」

と叫びながら追いかけてくるので必死に逃げ回った結果、何とか撒くことができたんだ。

それから数日後のことなんだが、俺はある噂を耳にしたんだよ。

それはマリーナが行方不明になったという話だったのだが、俺のせいではないと思いたかったんだが現実は残酷だったね。

何故なら彼女の死体が発見されたという知らせが入ったからだ!

しかも、それが俺の仕業だということになっていたらしく指名手配されてしまったらしいのだ。

これには流石に参ったなと思っていたのだが、今更後悔しても遅いよなと思い諦めることにしたんだ。

そして、これからどうするか考えていた時にあることを思い出したんだよね。

そう俺が買ったあの魔法道具のことだよ!

「そういえば、まだ使ってなかったな」

そう思った俺は早速試してみることにしたんだが、使い方がよくわからないんだよな。

とりあえず適当にいじっていたら光り出したので驚いて手を離してしまったんだ。

そしたら光が消えたと思ったら次の瞬間には消えていたんだよ!

(何だったんだ今のは)

と思いながらも気を取り直して再び使おうとしたんだが、何度やっても同じ結果になってしまったため諦めたよ。

それからというものの、暫くの間は平穏に過ごしていたのだがある日のこと突然事件が起きたのだった。

なんと俺が住んでいる家が襲撃されたのだ。

しかも相手は盗賊団だったらしくかなりの人数がいたようだったから、流石にまずいと思い逃げ出そうとした時のことだった。

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