第四章「極限/覇王(OⅤERLORD)」
第四章【1】 幕間
これは、〝彼〟が知ることのない少女たちの対話。
〝帯〟から〝杖〟が放たれ、意識を失った〝彼〟が目覚めるまでのあいだに交わされた会話だ。
「それでー、名前がなかった村の名前をラルゴが考えて〈ロック村〉になったんだってー」
「ほう」
「そのあとも
「そうなのかい?」
「うん。でもお母さんのお腹のなかにあたしがいたから、ロック村の住民になれるようにラルゴが頑張ってくれたんだってー」
「なるほど。彼は君たちの恩人というわけか」
「そうそう。それで、あたしの名前もラルゴがつけてくれたんだってー」
「……へえ」
「うん? なんかジェラってる? アリムラックちゃん」
「いや、そんなことはないよ。ただ他人に名前をつけてもらうという特別感に対して非常に興味があるだけさ。わたしは、自分の名前も含めて同胞たちにも名前をつけてしまったからね」
「どーほー?」
「あー、兄弟姉妹みたいなものさ。血が繋がっているわけではないけれど、同じ目的、同じ理由で生み出された相手だからね。だから、どーほー」
「あ、じゃあエンヴァーちゃんもアリムラックちゃんのどーほーなんだー」
「そのとおり。まあ、実際に名前を使ってくれているのはエンヴァーだけだからあまり意味はなかったかな。同じでなくなったときに、自分と他人を区別すべきだと思って名づけたのだけど」
「ふーん? でも、ほかの
「一応はね。割と考えてつけた名前だから、本当は使ってくれると嬉しいのだけれど。みんな合理主義な連中で困ったものさ。特にアルカルドのヤツは融通が利かなくて──」
これは、〝彼〟らが知ることのない少女たちの秘密の会話。
けれど、知るべきではある〝記録〟の物語である。
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