試験 12
スタジアムから実況の声が響いて、ダーク君が戦う前の試合が終わりを告げる。
次は、本日の最終戦だ。
「さぁ〜てやって参りました! 《マギガンスクール》第一回ランキング戦は、下位選手が上位選手への下剋上ができる最終戦だ。ここまでの成績を先に発表しておくぜ」
第一位:カイザー・フォルクス・ド・マルセウス選手
第二位:セバスチャン・フォン・アルセーヌ選手
第三位:ダーク・ネクスト選手
「ここまでは、無敗の二勝をキープしている上位グループだ。カイザー選手やセバスチャン選手は名門貴族であり、名を見ても驚くことはないが、ここに異常な選手が紛れ込んでいる。ダーク・ネクスト選手は下剋上を二度も成功させて第三位をキープしているぞ!」
第四位:アルトゥール・ド・ローゼンベルク選手
第五位:ラファエル・ジ・シュタインブルク選手
第六位:オリバー・ソルメル選手
第七位:レオナルド・ハイン選手
第八位:ケイン・バンデット選手
第九位:ラジャン・パテル選手
「ここまでが一勝一敗で横並びではあるが、元々の成績によって順位がつけられた者たちだ。最後は下位グループになる」
第十位:リー・ミン選手
第十一位:カツヤ・トウゴウ選手
第十二位:イサーク・マルコ選手
「ここまでが昨日までの成績だ。本日で全ての決着がつくぞ! 一年次、第一回ランキング戦最終戦を行うのはこの二人だ!」
スタジアムのスポットライトが両サイドの入場ゲートへ向けられる。
「全ての試合で圧倒的な強さを見せつけ、実力No.1! 誰もが認める強さを此度も見せてくれるのか?! カイザー・フォルクス・ド・マルセウス選手! そして、今日のパートナーは二回戦目で活躍を見せたマリア・シリウス嬢!」
スポットライトに照らされたカイザー王太子とパートナーとして選ばれたマリア・シリウスがスタジアム内へと現れる。
「対抗は、ランキング第三位にいることがすでに奇跡。相手の弱点をついて卑怯な手口で勝ち上がってきた嫌われ者! ダーク・ネクスト選手とパートナーのルビナ嬢!」
ダーク君は静かにスタジアムに入っていく。
スタジアム内は大勢の観客で埋め尽くされ、モニター越しにも王都中に観戦者によって注目を集めている。
その全ての視線は、ダークを倒し、カイザーの勝利を見にきている。
あとはどうやってカイザーが勝利するのか? ただそれだけの答えを見にきているのだ。
「マスター、大丈夫ですか?」
「ああ。問題ない。むしろ、ここまで来れたことに感謝している。ルビナ、ありがとう」
「スペックが劣る私でも《マギガンレディー》たちに勝利できているのは、マスターの指示があったからこそです。この試合がどのような結果になるのかわかりませんが、最後まで諦めません。見ていてくださいね」
「一緒に戦うさ」
「はい!」
ルビナがスタジアムの中へと入っていく。
ダーク君は、密かに口角をあげてカイザー王太子を見た。
「なぜ、マリア・シリウスを選んだんだ?」
「……彼女が望んだからだ」
「そうですわ! あなた方を倒すのは私の役目。どんな汚い手を使っても私は負けませんの!」
「そうか、最も勝率が低い《マギガンレディー》を選んでくれてありがとう。多少なりとも勝ち筋が見えたよ」
「なっ! なんですって!」
キャンキャンと吠えるマリア・シリウスを見ていないダーク君は真っ直ぐにカイザー王太子をみる。
「やれるものならばやってみろ。私を愛しているマリアならば、お前がどんなことをしても必ず打ち勝ってくれるだろう」
「カイザー様! もちろんですの! 私があなたのような最低な卑怯者を成敗してくれますの!」
低出力のマギガンと、中出力のマギガンを持って構えるマリア。
回避能力が高く、俊敏:Sは伊達ではない。
簡単に勝てる相手ではないことはもちろんだが、他の二人に比べれば一番戦いやすい相手であることは間違いない。
「ルビナ。マリア・シリウスに対抗する手段は話した通りだ」
「はい。マスターの戦術は一級品です。任せてください」
ルビナが中出力マギガンを構えてフィールドへと進んでいく。
今回のステージは、リアルな草原が用意されて、土と草。
さらに、小さな岩と木々が見える。
「さて、今宵最後の一戦が始まろうとしています。《マギガンスクール》今期第1回試験ランキング戦最終戦! 決着がついた先には、今年最初の強いやつは誰だ!」
ーーーーーーーープア〜!!!
「いよいよ開始だ!」
実況の声が響き、開始のブザーが鳴り響く。
次の瞬間、予想よりも早い動きをする、マリア・シリウスが視界から消える。
「なっ!」
「あなた程度で私の姿が捉えられると思わないことですの!」
「ルビナ!」
「はい!」
近接戦闘を得意とするマリア・シリウスが近づいてくる気配を見極め、地面に向かって中出力マギガンを放った。
「なっ!」
地面の土が巻き上がり、接近したマリアの体を土まみれに汚した。
「自らも巻き込む自爆技ですの! なんて卑怯な」
当たらないやつを狙っても意味はない。
なら、ダメージ蓄積させてやればいい。
「あなたの接近は許しません」
「小癪な!」
どうやら第一段階の作戦は上手く行ったようだ。
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