試験 10

 カイザー王太子の戦いを調べれば調べるほど、絶望しか感じません。


 彼の能力であるパーフェクトラブは、女性側の好感度が高ければ高いほど能力を向上させるというものだ。

 好感度マックスになれば、どれだけの上昇率になるのかもわからない。


 美少女育成シミュレーションゲームに存在する好感度がここまで利用できるキャラは珍しいだろう。

 そのためカイザー王太子だけ、好感度ゲージというものが存在して、どの女性がどれだけカイザーを愛しているのか判別できるようになっている。

 

 まぁ、あれだけのカリスマ性とイケメンの魅力:Sを持っていて女性から嫌われることはまずない。

 ゲームをしている際には、一人と幸せになるトゥルーエンドがヒロイン全員分。

 

 ハーレムエンドや、他の男性キャラたちとの友情エンドまで用意されているから、どれだけ人気なのかが理解できる存在だ。

 

 そして、そんなカイザーのメインヒロインたちもチートキャラが揃っている。


 初期ステータス


 名前:マリア・シリウス(姉)

 年齢:十六歳

 性別:女性

 称号:スピードスター、公爵令嬢

 能力:近距離回避

 状態:体力値3000/3000、魔力量300/300


 育成可能能力


 体力:B 1/100

 魔力:C 1/100

 俊敏:S 1/100

 命中:C 1/100

 知能:D 1/100

 魅力:A 1/100


 好感度ゲージ 50%


 マリア・シリウスは、俊敏:Sを持つ脅威のキャラで、近接戦闘においてはトップと言ってもいいほどの能力を発揮する。

 

 魔力、命中、知能は低くは思うが、それでも一途にカイザー王太子を幼い頃から思ってきただけあり、好感度ゲージが初期にもかかわらず50%に達している。

 

 性格は勝気で、公爵令嬢のお嬢様といった強さを感じさせる。

 見た目はロリ体型の巻き髪美少女だ。


 名前:アンナ・シリウス(妹)

 年齢:十六歳

 性別:女性

 称号:スナイパー、公爵令嬢

 能力:一撃必中

 状態:体力値500/500、魔力量200/200


 育成可能能力


 体力:E 1/100

 魔力:D 1/100

 俊敏:E 1/100

 命中:S 1/100

 知能:C 1/100

 魅力:A 1/100


 好感度ゲージ:30%


 妹の方は、命中:Sに曲振りした遠距離スナイパーだ。

 

 体力と俊敏が低いため、動くことを極端に嫌う。

 男性たちには強い《マギガンレディー》の中で、儚い印象を与えてくれる病弱キャラとして定着していた。

 

 性格はおっとりとしてめんどくさがり。

 

 見た目は、小柄ではあるが、巨乳で姉とは正反対なプロポーションをしている。


 あまりカイザー王太子に興味は示していないが、それでも見た目の良さで30%の好感度を持っている。

 

 これがダーク君だったら、0パーセントが確定ですね。


 名前:アーデル

 年齢:二十歳

 性別:女性

 称号:万能、王太子の専属メイド

 能力:オールラウンダー

 状態:体力値3000/5000、魔力量3000/3000


 育成可能能力


 体力:B 1/100

 魔力:B 1/100

 俊敏:B 1/100

 命中:B 1/100

 知能:B 1/100

 魅力:B 1/100


 好感度ゲージ:75%


 カイザー王太子のメイドを務める黒髪メガネのメイドさんアーデルは、突出する能力がないが、全ての項目が平均以上で高くどんな場面でも活躍できるオールラウンダーだ。

 

 しかも、カイザー王太子を五歳の頃からお世話していた姉のような存在であり、好感度は誰よりも高い。

 

 オールラウンダーで全ての能力を底上げした時の脅威度は、誰よりも一番高く。

 

 彼女が対戦に出てきた場合は100%勝てないと今の段階では言える。

 

 性格は、カイザー王太子には献身的で従順だが、それ以外の人間には冷酷で冷たい。

 

 見た目は、黒髪メガネの巨乳メイドさんで、キャロラインに負けないプロポーションをしている。


「ふぅ、疲れた」

 

 作戦を考えるためにもデータをまとめることは大事ですが、膨大なデータを思い返して文字に起こす作業は入力といっても大変です。


「マスター。お疲れですか?」

「うん? 戻ってきていたのか?」


 久しぶりに二、三日、眠る時間を削っていたので、体力が減少しています。


 フルリフレッシュを使えるようになってからは、疲れを感じると回復させていたので、自分でも疲れていることに気づかなかった。


「一つ提案があります」

「提案?」


 毎日、ルビナとは会話をするようになったので、ダークくんの人望はEにまで成長を遂げました。

 これも、清掃活動を付き合ってくれたお掃除ロボのおかげですね。


「はい。本日は週末です。気分転換をされてはいかがでしょうか?」


 おっと? これは女性側からデートに誘ってくれるイベントではないかな? ただ休めと言われるより、気分転換で一緒に過ごすことで、心の回復が行える。


 ルビナの好感度が高くなってきている証拠ですね。

 当初のダーク君なら、勝つために必要ないとか言いそうですが、今はどうでしょうか?


「……そうだな。ルビナのいう通りだ。気分転換に付き合ってくれるか?」

「もちろんです」


 いいですね。


 青春です。アオハルです。


 私、こういうの大好きですよ。


 二人は休日を過ごすために、外へと出かけました。


 寮からの外出禁止などという規則はないのですが、ダーク君の行動理念は、常に戦闘で勝つことです。

 ですからこのような変化は喜ばしいですね。


「カイザー様、見てください! 綺麗ですよ」


 ダーク君……、あなたは変わらないのですね。

 ルビナと公園にやってくると、そこにはカイザー王太子と三人のヒロインたちが優雅にアウトドアランチを楽しんでいた。


 メイドのアーデルさんがバーベキューを焼き、アンナ・シリウスが寝転んで本を読み。マリア・シリウスがカイザーに甘えている。


 いや〜、私もね。


 プレイヤーですから、この光景は知っていますよ。


 ですが、わざわざ見にくるとは思いませんよね? だって、相手の幸せな光景って、あれです。


 リア充爆発しろー! と言いたくなります。

 

 気分転換のお出かけに偵察を混ぜるダーク君は、徹底してますね。

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