試験 2
「いい加減にしてくれない? 毎日毎日教室に入るたびにボクへ向かって頭を下げるの、気持ち悪いんだよ!」
薄幸の美少年、極貧騎士イサーク・マルコ。
彼は大家族の長男で両親は健在だが、弟妹のために生活を切り詰めなければならない。
寮に入っている間の食事は学園側が提供してくれている。
それ以外の休日は、バイトに費やして仕送りをしている。
そのため、彼の出会いはバイト先で共に働く女の子がメインになる。
訓練の時間も平日しか取れない。
彼の能力を上げる方法は、ダーク君と同じで試験によるランキング戦に勝って経験値を大量に獲得することになる。
初期ステータス
名前:イサーク・マルコ
年齢:十六歳
性別:男性
称号:騎士、貧乏
固有能力:ジャイアントキリング
状態:体力値:1000/3000、魔力量:100/300
育成可能能力
体力: B 1/100
魔力: E 1/100
魅力: A 1/100
人望: C 1/100
戦術: D 1/100
運力: E 1/100
得意訓練
・バイト訓練
・集中訓練
基本的に、イサークは、授業と放課後の訓練だけで能力を上げていく。
それ以外はバイトをすることで、人望や魅力の経験を積んでいくことになる。
貧乏騎士ルートなので、カイザー王太子よりも難易度が高くなる。
だが、ジャイアントキリングの能力は相手が自分より格上の相手だった場合。
自分がサポートしている《マギガンレディー》の能力を底上げしてくれるのだ。
それは初期の頃であれば、大物喰いと言われる強者を倒す力になる。
そのため初期値で大物を倒すことで大量の経験値を得られる。
「勘違いだ! 貴様になど挨拶はしていない」
人望がFに上がったことで、いきなり暴言を吐くことはないのですが。
ダーク君から相手を見下す態度で発せられるバージョンアップを遂げました。
いかに今までが幼稚な思考だったのか、これでダークくんが理解してくれればいいのですが。
「なっ! バカにしているのか?! 僕が貧乏騎士で、お前に次ぐ最下位の成績だからって」
被害妄想もいいところですね。
「ハァ、うるさい。貴様の相手などしていない」
「僕が眼中にないってことか! いいだろう。今度の試験、お前と戦ってやる!」
戦う相手は下位選手から上位選手に挑むことができる。
イサーク君の方がダーク君よりも上なんだけど、勝つためには一番やりやすい。
「まぁいいだろう。相手をしてやる」
「僕なら勝てると思っているんだろうけど、絶対に負けないから。バイト先の先輩が僕の《マギガンレディー》になってくれたんだ。お前みたいに誰も相手にされないやつなんか、簡単に倒してやる」
もしも、《マギガンレディー》が決まっていない場合は、練習用として用意されている《アンドロイドマギガンレディー》が提供される。
だが、ルビナのように側にいて成長させているわけではないので、性能が悪い。しかもAIも掲載されていないので、言うことは聞いてくれるが、勝てるのかはギリギリだ。
ルビナが協力してくれれば、絶対に勝てる。
「貴様がボクに勝つ? そんな無理なことを口にしても仕方ないぞ」
「ふざけるな! 僕はお前よりも強い!」
「いいだろう。ならば、二週間後の試験は貴様と戦ってやる」
「逃げるなよ」
「お前がな」
ダーク君になら、勝てると思っているのですが。
そもそも自分の能力を活かすという意味では格上に挑んだ方がいいのに、イーサン君はまだまだ未熟ですね。
戦術Dということは、知識があまり高くありません。
試験の相手が決まったことはいいのですが。
私は一番の難問を解決しなければいけません。
部屋に戻ったダーク君はルビナと向き合います。
「……」
あの日から、全く言葉を発しなくなったルビナ。
それでも訓練は続けてくれているので、
俊敏:E 1/100
命中:D 1/100
二ヶ月かけてワンランク上昇させてくれました。
彼女は約束を果たしてくれました。
ですから、このままお互いに険悪なままでは絶対にいけません。
「話がある」
「……」
人望:Fさん頑張ってください!
「この前は、ボクが悪かった。力を貸してほしい」
やりました!
ダーク君から謝罪の言葉を引き出しました。
頭を下げるほどには至っていませんが、ちゃんと謝罪しています。
「……謝罪を受け入れます。戦闘力100。やっと人並みになられたようですね」
二週間で魅力アップも続けている。
授業中の空いている時間で、魔力アップも継続した。
魔力:D 1/100
魅力:E 3/100
魔力は人並み、魅力は普通よりも少しだけブサイクという印象に変わったはずです。
「お前も、ちゃんとワンランク上げたみたいだな」
「ええ、命令ですから」
「残り二週間、作戦を詰めたい。だから一緒に訓練場に行くぞ」
「いいでしょう。戦略:Sの実力を見せていただきます」
まだ、歩み寄りとしてはかなり遠くにいるように感じます。
それでも大きな第一歩を進むことができました。
ダーク君が謝罪を口にできたことが私にとっては大きな一歩なのです。
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