共同生活
毒舌メイドウルとの共同生活が始まりました。
「チッ」
口は物凄く悪いウルだけど、家事スキルに関しては凄まじい力量の持ち主でした。自動で野菜や家畜の世話をしてくれる農園プランをすぐさま理解して、必要な分を必要な量だけ採取して食卓に並べてくれるようになりました。
ただ、一緒に食事をすることなく。
「はっ? 一緒に食べるとかキモいです。クソご主人様の食べている姿など見たくありません」
辛辣な言葉を浴びせられますが、あの日に感じた感覚通り、嫌ではありません。むしろ、むず痒さを感じる幸福感が体の中へ流れ込んできて痺れのような感覚を覚えます。
食事だけでなく、掃除も完璧でした。
二人で汚れていないと思っていた屋敷はピカピカになり、農園と屋敷、トレーニング施設のスペースをキレイに掃除してくれました。
まだ松プランを残したままにしてあるので、その時のようスペースがウルによって確保されました。
全ての家事を完璧にこなすことができるウルの力が発揮できました。
毒舌な態度と汚物を見るような瞳さえなければ完璧です。
洗濯に関しては、着なくなった服はクローゼットに入れれば新しい服へ再構築してくれるので洗濯の必要はありません。これはかなり便利ですね。
生前のユ○○ロデザインをイメージしてきていますが、着心地にこだわっているので最高です。
「ウルは《マギガンレディー》になるでいいんだよね?」
「話しかけてくるなんて最悪です。ですが、そうですね。これも業務の一環ですから仕方なく答えますが、そうです」
物凄く嫌そうな顔をされながら、答えてもらう。
「うん。なら、指導を始めたいと思うんだけど、どうかな?」
ウルが我が屋敷にやってきて、一週間が経つ。
食事もしっかりと摂るようになり、顔色も落ち着いてきたところで、私から《マギガンレディー》の訓練にをしていこうと声をかけました。
「仕方ないですね。わかりました。何をすればいいんでしょうか? クソご主人様」
オレンジ髪の美女に蔑まれるのは、ご褒美ではないでしょうか?
はっ! 陶酔しかけておりました。
「まずは、ウルのステータスを確認しようと思います。君の情報を教えてください」
「嫌です。キモいです」
「まぁまぁそう言わずに」
ステータスは、トレーニング施設の入り口に設置されたモニターに魔力を流し込むことで表示される。
名前:ウル
年齢:16歳
性別:女性
称号:猫獣人メイド、孤児
能力:必中
状態:体力値150/300、魔力量300/300
育成可能能力
体力:E 1/100
魔力:E 1/100
俊敏:C 1/100
命中:A 1/100
知能:E 1/100
魅力:B 1/100
名前、年齢、能力は聞いていた通りの答えが返ってきました。
命中がかなり高いスナイパータイプです。
俊敏もあるので、動けるスナイパーといった感じですね。
スピードが遅いルビナよりも、走ることや動くのが得意だがスナイパーなので魔力は多くないので連射はできません。
マリア・シリウスのようなスピードタイプの早い相手に、近づかれてしまえば不利になる。
「動けるスナイパーだね。ウルは」
「スナイパー?」
どうやらウルは、《マギガン》についての知識がないようだ。
その辺は孤児院では教えてくれない。
本来、ギフトを授かった者たちは、十五歳までで義務教育を終えて、十六歳から、それぞれのスクールに通うことになる。
男性は、《マギガンサポータースクール》へ。
女性は、《マギガンレディースクール》へ。
だが、ウルはスクールに行っていないので、基礎的な知識がない。
「まずは、魔力を上げることが大切ですね。それでは魔力アップの訓練を」
「ハァ?! なんでクソご主人様の言うことを私が聞かないといけないんですか? 私は十分に強いんですけど?」
「うっ、それは私が……」
「コラっ! ウル姉ちゃん! ご主人様をイジメちゃダメでしょ!」
「そうだそうだ! ご主人様がいないとご飯食べられでしょ!」
「うっ!」
二人の小さなメイドたちがやってきて、ウルさん叱ってくれます。
どうして、初日にウルが働かないといって言っていたのに、働くようになったかと言えば彼女たちのおかげです。
私は孤児院に赴いて、彼女たちにマギガンレディーの才能があれば、私の元で《マギガンレディー》にならないかと言う誘いをしました。
検査をした結果、六人いた孤児たちは全員が《マギガンレディー》の才能があり、なんなら孤児院の院長にも才能はあった。
年齢的に《マギガンスクール》の試験には出れないが、一気に七人の《マギガンレディー》を見つけることができた。
そこで、彼女たちを《マギガンレディー》として育てながら、私が面倒を見ることを伝えました。
ありがたいことに竹ファイルのおかげで、施設や寮を作れたので全員で住んでも問題ない。
そして、彼女たちを守りたいと判断したウルは仲間を助けてくれたダーク君のために多少は働くようになってくれたのだ。
さらにありがたいのは、小さな子供たちに容姿は関係ないので、ダーク君をご主人様と慕ってくれている。
これはご飯を与えるからではあるが、ありがたいことだ。
「わかった。わかったよ」
子供たちには弱いウルが恨めしそうに私を見ますが、私は顔を背けます。
ルビナはやれやれとした顔でこちらを見ながらため息を吐きました。
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