エキシビジョンマッチ

 《マギガンスクール》を卒業すると、その際に仲間になった《マギガンレディー》と共に《マギガングランプリ》に参加して、《マギガングクイーン》を目指していく。


 それは本来女性側のプレイを選んだ際のゲームプランだ。


 《マギガングランプリ》運営へ登録を行って挑戦する。

 運営は、国の管轄下になっており、《マギガンスクール》の卒業と同時に得られたライセンスによって出場できるランクも変わってくる。


 つまり、《マギガングランプリ》に参加するためには、《マギガンスクール》を卒業しなければならない。


「すみません。エキシビジョンマッチを依頼したいのですが?」

「はい。まだ学生さんですか? 大丈夫ですよ。それでは参加される《マギガンレディー》の情報と《マギガンサポーター》情報をご記入ください」


 私は事前にステータスとして得ていた三人の情報と、自分の情報を記入していく。まだ一年次を終えたばかりのステータスでは、ハッキリ言って《マギガングランプリ》に挑むに足る実力には到達していない。


 エキシビジョンは、下位ランクに登録された《マギガンチーム》が微量の報酬で受けてくれるのだ。

 《マギガングランプリ》は上位で活躍できるほどにファイトマネーが得られる。だが、下位ランクではファイトマネーが少ないので、このようなバイトを受けるのだ。


 受付をしてくれた方は新人さんだったようです。

 ダーク君の顔を知らなかったようですね。

 マニュアル通りの受け答えをしてくださいましたので良い方です。


「はい。できました。はい。三名の《マギガンレディー》のチーム戦を希望ですね。ほう、三人の評価はBとは優秀ですね。サポーターがダーク様でよろしいでしょうか?」

「はい」


 私が受け答えをすると、運営に着ていた数名がヒソヒソ話でこちらを見ている。《マギガンスクール》の試験を見ていた人は知っているのかもしれませんね。


「えっ? ダーク?」

「まさか死神?」


 あまり気分がいいものではありませんが、気にしても仕方ないですね。


「はい。以上です」

「ありがとうございます」

「いえ、エキシビジョンは明日の午前中に行われます。時間は10時で第二シミュレーションで行われます。遅れないようにお願いします」

「はい。大丈夫です」


 改めて私は受付さんに頭を下げました。


「ご丁寧にありがとうございます。凄くわかりやすかったです」

「あっ、ありがとうございます! 私、新人のアイシャって言います。これからお願いしますね。ダークさん」

「はい。よろしくお願いします」


 私は受付のアイシャさんに別れを告げて、マギガングランプリ本部を後にしました。


 アイシャさんの後に控えておられた先輩から、私のことを聞くでしょう。

 王国一の嫌われ者は、知らない人には優しくしてもらえますが、二度目は汚物を見るような目で蔑まれます。


 どこでもいつでもハードモードな扱いを受けるのがダーク君の宿命です。


 ただ、最初の印象が良かったので、今後もアイシャさんの元で色々と受付をしてほしいので、先輩には私の陰口はほどほどにしていただきたいと思います。



 私がエキシビジョンを決めて、日付が変わって訪れた場所にいたのは、いかにも柄の悪そうな《マギガンサポーター》でした。


「へへへ、おいおいまだガキじゃねぇか」

「今日はよろしくお願いします。先輩」

「へへへ、いいぜ。金はすでに受け取った。後は好きにしろ」


 どうやら《マギガンレディー》に指示を飛ばす気はないようだ。


 三人の《マギガンレディー》は明らかに鍛えていない、太っていたり、包帯を巻いていたり、やる気なさそうにしている。いかにもやられ役だが、舐めて勝てるほど《マギガングランプリ》は甘くない。


「まだチームを組んで十日ほどです。勝てなくても良いですが、それでいいと思っていますか?」

「バカなことを言わないでくださいませ!」

「ああ、負けるのなんてクソ喰らえだ!」

「負けたくありません」


 各々考え方を持っていたのに、負けることが嫌いなのは同じですね。


「なら、負けないための作戦を伝える」


 ボクは三人をどうやって育てるのか考えた。

 ダーク君なら、そしてプレイヤーとして何周もこのゲームをプレイしていたものとしで、全ての戦いは負けない。


「それではエキシビジョンマッチを開始します」


 機械的な音声が響いて、開始を告げました。

 

 三対三の試合はこれが初めてではあるが、特性が分かれている彼女たちの能力をどうやって生かすのか? それがボクの役目だ。


「ルビナ! 前に出ろ!」

「はい。マスター!」


 向こうは太った《マギガンレディー》が飛び出してくる。


「はっ!《アンドロイドマギガンレディー》ごときが私に勝てると思うなよ! 私の能力はパワー! お前のようなガキには負けないよ!」

「そうですか! ですが、近距離で高出力を打つなら、全方位にうってください!」


 ルビナが全方位にマギガンを放った。


「なっ!」


 ルビナの全方位撃ちが相手を襲う。


「え〜と、弱すぎないか?」


 ルビナが全方位弾を打った瞬間に三人とも倒せてしまった。


「なっ! おいおい! 学生って話じゃないのかよ!」

「すまないが弱すぎて相手にならない」

「カァー言ってくれるねぇ。まぁこの有様じゃな。悪かったな兄ちゃん。だが、お前らの強さはエキシビジョンでも、中級に頼むんだな」


 謝られながら、初めてのエキシビジョンは終わってしまった。


「拍子抜けですわ」

「なんだよ。雑魚じゃん」


 活躍がなかった二人は不満そうだ。

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