ステータス
あの日から、私は完全にクラスメイト全員から無視されるようになりました。
転生始めの人間関係が、ハードモード過ぎます。
しかも先生たちも、カイザー王子に配慮して、私への接触は極力さけておられております。
結局は自主トレーニングで、己の能力を高めるしかないわけです。
そりゃ、ダーク君だけ夜間訓練という名の自主練の時間も増えるというものです。そうしなければ、他のキャラと違って効率が悪すぎるのですから。
幸い、私はダーク君以外を全て攻略したプレイヤーです。
他のキャラがどのようなトレーニングを得意としていて、逆に弱点はなんなのか理解しています。
単純な話ですがキャラクターの育成方法は心得ております。
現実だと言っても、ここはゲームの世界なわけで、ステータス表記が存在します。
なんでもありの魔法世界ではありませんが、人には魔力が存在して、科学の発展により能力を数値化して見せてくれるのです。
名前:ダーク・ネクスト
年齢:十六歳
性別:男性
称号:男爵子息、嫌われ者
固有能力:フルリフレッシュ
状態:体力値:50/100(体調不良)、魔力量:10/100(枯渇状態)
育成可能能力
体力: E 50/100
魔力: G 10/100
魅力: G 0/100
人望: G 0/100
戦術: S 1/100
運力: C 1/100
得意訓練
・夜間訓練
・過剰訓練
・不眠不休訓練
さて、以上が、ダーク君のステータスです。
名前、年齢、性別は見たままですね。
称号は、立場や他の人からの評価などを表すので、ため息は出ますが、そのままです。
固有能力は、これが発現しなければ《マギガンサポーター》になれないと言われる資格のようなものです。
ダーク君は、魔力が足りないので、現在は使えませんが、《フルリフレッシュ》という回復系能力を有しています。
体力や魔力は、現在の自分の状態を表しており、0になってしまうと一週間は寝込んで動けなくなるので、適度に休息が必要になります。
育成可能能力
体力:体力の絶対値を底上げする。
魔力:魔力量を増やす。
魅力:女性から見た際の魅力。
人望:人間関係に対しての信頼度
戦術:戦闘作戦立案する知識量
運力:己の運
それぞれのステータスの横に表記される数字。
1/100は、経験値を表している。
100に到達すると次のランクに上昇するので、現在の魅力値が、Gの0/100として、これを100/100にすると、Fの0/100へとランクアップできることになる。
これを繰り返して、効率よく経験値を稼ぐことでランクアップをさせていくんだ。
二年間の間に、能力を上げる訓練方法を考え、戦闘時の作戦を増やしていく。
その合間に、一緒に《マギガングランプリ》を目指してくれる女性を探さなければいけないんだ。
「さて、やはりダーク君のステータスは戦略以外は壊滅的です。普通は、Eランクが最低というぐらいです。G表記などダーク君以外では見たことがありません。しかもGの0は相当ひどいですね」
改めて、自分のステータスにハードモードを実感させられます。
どうしてここまでひどいことになってしまったのか? それもこれもダーク君は、自分で自分のことができません。
人前に出ると見栄を張ってしまう仕様なので口調は諦めます。
一人でいるときは私の思う通りに動いてくれる様なので、まだマシです。
そこで与えられた寮の個室へ戻ると魅力が最低な理由がわかります。
「最悪ですね」
ダーク君のお部屋はゴミ屋敷です。
片付けができなくて不摂生でした。
戦術の勉強をするために、全てを捧げたと言えば聞こえがいいですが、それ以外を捨てすぎています。
「うわ〜、食事は栄養ゼリーのみですか」
捨てられているゴミは、栄養ゼリーの袋と水だけ。
あとは戦術が書かれた紙と、戦略戦術が書かれた本ばかりです。
彼が熱心に、勝つことだけに努力してきたのはわかります。
ですが、他を疎かにしては、女性に嫌われ、学んだ戦術を発揮する場所もありません。
私は部屋の片付けをすることから始めました。
いるものといらないものを分別して、ほとんど捨てていきます。
自分の物ではないので、記憶を探っても判別が曖昧になっている物は捨てました。
資料として何を書いたのかわからない真っ黒な紙や、大量の栄養ゼリーの食べ残し。
一ヶ月間でどれだけの時間をここで過ごしたのでしょうね。
私はゴミを全てダストボックスに持って行き、部屋の中を掃除しました。
トイレや簡易キッチンも全てキレイにして、残すはお風呂場だけです。
お風呂に入ろうとしたところで最悪なものを見つけてしまいました。
「ヒッ! 人? なんでこんなところに女の子の遺体が!」
私は浴槽に寝かされた女の子の遺体を見つけてしまいました。
もう、これはゲームを楽しむとかそういう話ではありません。
ダーク君、あなたは犯罪に手を染めていたのですか? それは私も擁護できません。くっ、各なる上は自首して罪を私が償うしかないでしょう。
いきなり人生詰み過ぎではないでしょうか?
その前に死亡を確認しなくてはいけません。
私はお風呂場の電気をつけて、顔を確認しました。
「真っ白な顔をしています。ダーク君。あなたはとんでもないことをしてしまったのですね」
真っ白で綺麗な顔をした美少女です。
肌に触れると冷たくはありましたが、柔らかく……、柔らかい? 死んでいるのに? 私は一旦落ち着くために息を吐きます。
冷静になって、もう一度考えてみます。
ダーク君は女性にモテません。だから、女性を誘拐してきたのだと思いました。そして、無理やりいうことを聞かせようとしたのだと思ったのです。
ですが、この世界は《マギガンレディー》と呼ばれる女性の方が強い世界です。
ザコザコなダーク君が女性を誘拐して、言うことを聴かせるなど、無理な気がしてきました。
そう思って考えてみると、一人だけダーク君に最初から関わりのある女性がいたはずです。
「もしかして、アンドロイド少女?」
私は自分が課金したアイテムを思い出しました。
追加パックアンドロイド真心美少女パート 五万。
もしかして、私が転生したことで、課金アイテムも一緒に転生されたのでしょうか?
「せっ、説明書は? 説明書はどこですか?」
私は片付けが終わった部屋の中を探し始めました。
「あっ! ありました!」
Aー0556と書かれたデータを見つけてダウンロードしました。
『アンドロイドAー0556を購入ありがとうございます。《アンドロイドマギガンレディー》として開発されたプロトタイプから、すでに数百年が経ちました。現在の《アンドロイドマギガンレディー》は、天然の《マギガンレディー》を凌駕する領域に達しております。ですが、それも《マギガンサポーター》の力量次第です。あなたと共に成長する《アンドロイドマギガンレディー》をどうぞ強く育ててあげてください』
説明書の口上で、私は転生してからでも美少女育成ができる喜びを感じました。
順番に説明書を読んでいき、起動スイッチを押して、名前を入力します。
最後に魔力を流し込むと、専用の《アンドロイドマギガンレディー》が誕生するのです。
「いざ!」
私はおへそにあるスイッチを押して、名前を入力しました。
説明書の通りに魔力を流し込みます。
エネルギーは太陽光発電と魔力だそうです。
しばらく待っていると、
「あっ、あの」
「あなたがマスターですか?」
電子音のような声が発せられて、問いかけられた。
「そっ、そうだ。ボクがお前のマスターだ!」
「承知しました。ステータスを確認します」
目が光って、私を解析しているようです。
「戦闘力2。ゴミですね」
「えっ!」
私は驚きの言葉に固まってしまいました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます