第15話
「どっちから聞きたい?」
「解毒っ解毒一択!!!
早くっ早くっ
兄者!早う!!!」
「俺は知らない」
「何!?だってっ!?
それ以外のどの話も聞きたくねんだよ!!!
馬鹿なの!?
離して離してっ」
「どっちを」
「違う違うっ
馬鹿馬鹿馬鹿」
「自然門が施してくれないと打つ手がない」
「はぁー!?
何しに来たんだよ!!!
ここに!!!
阿保かっもう!
足っ離せって」
どったんばったんあちこちしてる.
呑気に眺める可愛い子と
何も出来ない兄と
泥んこ草な奴と
もっと何も出来ない俺と.
「やばい.
何か息苦しいかも.
動悸が…
死ぬかも…」
「俺ら死んでるから」
「いいんだよっ
今っ
そのっ
設定は!
いらんのっ!!!」
体震わせながら訴えてみても誰も動く様子が無いから.
はー…もう…
「じゃあ,そのぉ俺と関係ある方から話して.」
「どっちの足も関係あるよね」
「草は今しゃしゃんな.
いいから,お前はどっちも離せよ.
滅茶苦茶練り込んでるんだろ俺の足に」
ははっと笑って草が,するんと足首を解放した.
「逃げたら戻らん無いよ.」
優しく伝わる声に…
「逃げ込む場所なんてねーよ」
そう返事するしかなかった.
逃げた所で毒が回る.
ここで,最善を尽くすしかない.
どう辿れば良いのか分からない時は,
手元の1つを頼りにするしかない.
「本腰入れて聴くから,どうぞ.」
願わくば解毒法の解析ならいいな.
本当に腰を入れようと思ったけど,泥の残骸が止めておこうねと告げる.
「話すぞ」
可愛い子と草を交互に見る様子を視ると,
あいつらに関することか.
話は手身近にねとか言おうかと思ったけど,そんな様子じゃない.
黙って真面目な顔.
大体これで切り抜けられる.
「そっちの低いの.
尻から下が無い.」
「へっ!?」
黙って聴こうと思ったのに声が飛び出る.
視線が動く.俺の.無作法にも.
俺の足を放しても起き上がる様子が無かった.
尺がおかしい確かに.
どうして?
思ったけど…その言葉が出せなかった.
その後の返答が怖かった.
固まった空間に言葉が上がる.
「山で滑落.」
草が喋った.
「腐り落ちたんだよ.
移動も這ってく.
今接触面は鉄板で防御してるから強い.」
笑った.笑ってた.
「俺は主に,採集.
そっちの長が言うものを山から集める.」
視線が可愛い子にとぶ.
「山でよく言うことを訊く奴を拾った.」
と自然門の長が,ころころっと笑った.
「俺の足が欲しかったのか…
欲しかったのか!?」
恐怖心から止まらなかった.
「羨ましいから俺も同じように…
同じ様に!」
視線落としながら,取っ組み合いをするには…
もっと毒まみれになるしかないのかとか.
そこは冷静に考えて,向かってくのは止めた.
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