第9話
兄は外務中.
って聞いた.漸く何とか要約.
言えないのか知らないのか興味無いのか.
無い事づくしなのか,行動を共有し合わないようだ.
知らない奴らに訊きまくって,
あぁ俺が知らない奴らね.
居ないなら外だって.なんとまぁてっきとうな.
盆に,御飯と魚と漬物と吸い物のせて.
ちょっとバランス取るのが難しい.
手が利かないから.
近しい開いてる席に着く.
「頂きます.」
喋ると顔痛いなって思う.
なんかもう手も腕もおかしな感じで,頭だけ
言いながらちょって下げた.
死んでんのに腹が空くとは,これ如何に.
ふん.
利き手で箸構えようとしても出来なかった.
利き手ぼろぼろ.
ぎっちょで吸い物ぐるぐる回して,
既に木の盆の上に零れてて,もう汁面が揺れても零れなかった.
こういうの嫌いなんだよな.
余すことなく腹に入れたい派.
かと言って盆を啜るなんて行為は更に見っとも無い.
「しんっ」
あれは新入りは皆あれで呼ばれるんだって.
そういう風に聞いた.
俺は,これから飯を食う.
何処の新入りが怒られるんだろうなー.
あんの感じは怒られるぞ.
えっ?!
声が…
こっち向かって…
近付いて…
「お前呼ばれてんぞ」
斜め向かいの知らない奴が言うのより,
ちっとばかり早く気が付いた.
もう知らない振りして何か一口.
口に入れるか.
魚を咥えた時点で,
一緒に構えた.
「いっ!」
ごくっと呑み込んで,
「てぇー」
構えても痛いもんは痛い.
ばっかの一つ覚えみたいに…
拳骨落っことしてりゃいいなんて.
それこそ馬鹿だろう.
「魚は鮮度が命で」
「そんな事は聞いてない」
「ですがっ,ちっ」
父上とか…
こんな面前で言わなくていい.
この人は門長だ.
食事班らしきが,おどおど出て来ては,
「もっもう駆けつけた時は命が無く」
訊かれても無い弁明をし,そりゃそうだろう俺が生きるか死ぬかの時に,
雷魚の生死へ構ってはいられなかった.
「そこは」
と手だけ出して門長が理解を示すような動きをしたので,
だったらと.
「俺の話も聞いて」
「聞けない」
「何でっ」
俺っ生物門から雷魚の試しにされた…んだ.
何で!
俺が!
俺だけが!
一方的に!
悪いんだよっ!
ほらっ腫れた顔見ろよ!
右手こんなだし,左前腕歯の跡酷いだろーよ!
見えてないけど,腰部巻き付くように,臀部,大腿部,
打ち付けられた跡が,まじで凄いんだって!!!
って思うんだけど,言いたいんだけど.
歯を食いしばって,
悔しさを耐える.
向こうが更に追う.
俺を追い込む.
「一体完成させるのに」
あーぁあああ!
「知ってるよっ
俺だって完成するのに時間かかってる!!!
弱い奴が死ぬんだ.
あいつは俺より弱い完成だったから死んだんだ.」
「生物門がどれだけ」
「そんな事は知らないっ
何であいつらの肩持って,
俺は…
俺には…」
鼻から息を吸ったら,引っかかりながら.
「来い」
行きたくない.
拳を握り込んだ.
もう周りの様子なんて関係無かったけど,
うわぁ言っちゃったよな位は思った.
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