第3話
「此奴なかなか筋がいいっす。」
構えて振り下げると、真剣が飛んでった。
何を見て?今それ言った?
やっべ合図貰ってないのに切り込んじゃった。
して自分の飛んでくという…
あっあぁぁぁぁ!
もうこれ完璧駄目な奴じゃね。だりぃ。
後ろで先輩?が、おべんちゃらを使ってたのに。
さらっさら恥ずかしいな。
「下っ端に下が出来ると、こうなるんだな的な良い例だ。」
黒い肌に白い歯が見えた口から出て来た。
「遅過ぎる。」
「ですよねー笑いながら言いたかったんすけど笑えねーっす。」
目を閉じて頷きたくない。
なんの騙しー!?
俺、上もそらぁもう上の奴、切っちゃうとこだったじゃん。
なんか自分の派手に飛ばしただけになっちゃってるけど。
「早く拾ってこい。
構え。」
「え!?」
飼い犬かよ…
あたふたしながら拾うモーションに入ると、
腰に蹴りが入った。
「背中を見せるな。」
どうやって!!!
「もう此奴2度死んでる。」
うるせぇ!!!
「貸せ」
「どぞっ」
目の前で木刀が投げられる。
あれ、鋼の木刀なんじゃ…
もう言ってる事意味不明だ。
「何でぼさっと見てんだ。
奪い取ってヤル意気込み見せんか。」
「あー…
えーはい…」
こうゆっの奪ったら奪ったでブツブツ言われるのかと思ってた。
卑怯だのなんだの笑止千万っ。
へいへい何気に真剣拾えばー
拾えっばいいんだなっ。
「ぶへっ此奴砂投げてきた」
あぁわりぃあいつにも。失礼先輩にも振り掛かったらしい。
「無駄ぞ」
へ?
「元々のハンデだ」
何?
「二度目は無い。」
あーぁ掴もうとした手は木刀の先が刺さってる。
甲に…甲に…
「いってぇーーーー!!!」
あーもー
嫌んなる。
「それっ」
「おぉ?」
「そっれ
除けろよっ」
身体捻じりながら背後に飛ぶ。
木刀付いてきてないから穴は開いてない。
と思う。
「口の利き方が」
先輩風吹かせんな!
おーもーそれどころじゃねぇっ
「なって無いな」
なって無くて結構。
後ろから首を腕にかけようとすれば、
しゃがまれて腹に肘を喰らう。
おぅ…
腹は減ってるけど
肘はいらねぇなぁっ!
「俺さぁ
お前らが水辺で消えた時
本当に泣いて泣いて…
飯食べらんなくなって…
どうしようもなかったんだっ
それなのに、こうして寄ってたかって
何なんだよ!!!もう!!!まじでなんなんだよ!!!」
はちゃめちゃに叫んだら
眼からも爆垂れで前見えなくなったら
また例にもよって、みぞおちに食らってた。
好きだなーこの部位撃つの。
崩れてく視界の中で、
あいつも一緒に泣いてたように見えて、
父さんは焦点合って無いとこいて分かんなかった。
父さんは魚釣りに一緒に行って…
水に呑まれた。
川に落とされた気がした俺は、
父さんが救出してくれて、父さんはその足で沈んだ。
あれ、父さんが落として父さんが拾ったんじゃないかと思う。
今考えたら。
俺は自分を責めたし、母さんはあなただけでも助かって良かったと言った。
思い出したくもない。
想い出。
楽しくもない。全く。
水辺は、それからだいぶ苦手で。
近寄らなかった。
なのに。
しつこく隣家の兄ちゃんが誘ってきた。
海に。
俺あれ以来水が苦手でって、こいつもそれ知ってんのに。
おかしいなって…
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