第2話

「好きな子くれるってよ.」

聞いた.

「薬盛られて記憶も曖昧な中で…

何が楽しいんだよ.」

「外から入ってきた,あの子の事気にかけてたじゃないか.」

「気に掛ける事と襲う事は,また別問題だろ.」

「まぁまぁ.

俺らは,ここを守ってる.

それ位の報酬は頂いたって罰は当たらない.」

「当たるよ!

それは,あの子らが望んでいる事じゃないじゃないか!」

「よし分かった.

部屋入る.あの子が横たわってる.

お前は全く手を出さないんだな.

つーっと触る指先を横目に,お前は指くわえて見てろよ,ばーか.」

「獣め.くそ野郎.」

なんか豪勢な食事出ました.

飲み食いしました.

寝ました.それも深く。勝手に。

ちょっと経ったら腹に何か育ってますって…

そんな怖い目に遭わせんの?好きな子を?

「だーかーらー俺ら姿見せらんないじゃん.

うかうかしてると,その子も別な奴が掻っ攫っていく訳よ!?

しかも,劣った奴に.自分より.

盗られる前に捕るでしょ.」

「何でその一択なんだよ!」

握った武器に力が籠る。

「じゃあ,ここ壊滅さして,その子と逃げんの?

それこそ非現実的じゃない?

長をやる?」

「え!?お前守備範囲広いな.」

「馬鹿か.

なんかもうそれ色々駄目だよ.」

「違うのか。」

「はぁもうお子様とは話になんない.

早く一本取れよ.

俺も帰られないし,お前も帰れない.」

「変な話し始めるからだろ.」

「おーまーえーがー,ぬるいんだよっ!

暇すぎて話振んなきゃ退屈過ぎる.

技に変化もたせろ.

単調過ぎる.

挟んで来るかと思いきや挟んで来るだろ.

分かり易過ぎる.

おっ今のいい.

だけど,そればっかりは頂けないな.

連撃連撃.」

うるさいっ.

「本当に,あの人の血をひいてるのか.

お母ちゃまに僕ちゃんで育ったんだろ.

あははっ.」

何ぃ!?

「相手の調子に乗るな.

今,乗る様に誘導してる.

落ち着いて冷静に.

何が起きても湖畔のように.

何で真剣振り回してるのに,

たかだか木刀を折れない?

支点力点作用点.

このままじゃ日が暮れちまう.

晩飯ありつけなかったら,一生恨むからな.

早く見つけて折れ.

問題はお前の中にあるんじゃないのか.

研ぎすまして狙え.

ここを狙えって印付けるかー甘ちゃん.」

くっそ!水は…怖いんだよっ!

湖畔の気持ちって…

「舐めるのもいい加減にしろよ!!」

「おぉー

今の.

手が痺れた.

素質を素質のままで眠らせるかは,

お前と周囲にかかってくる.

早く引き出せ.

即戦力になれ.

お前は望まれてる.」

「急に褒めんな.」

「ははっこっちも手探りだ.

あんまり,これは向いて無いようだ.」

「おいっ!」

「出来ないなら死ねよ.

ほらっ反撃してみろ.

こっちは非力武器だ.

何で押されるんだっよっ.

1つ言わせて貰うと…

後ろから来る.

気が付かない振りしろ.」

え?

「観察で取るに足らない判断をした方から襲ってくる.

どっちか明白だな.」

あ…

「こっち気遣いながら,ずっとやってるから全身持久力切れるよって…

やるけどさ.

合図したら振り向け,いつもの構えでいい.」

どんな合図ですかとか,いつもの構えって?

なんて,もう言えない気迫に.

多分血走ってる眼で頷くしかない.



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