第8話 初めての友達

 昨日の教訓から重い体を叩き起こして、目を擦りながら、朝7時50分に玄関の前に立っていた。


「.......おはよう」

「眠そうだね」

「おかげさまで」


 .........ドス、


 金髪ギャルのストレートで歯磨き、コーヒー以上の目覚めを感じて学校に行く事にした。


「.......雪奈さんは、機嫌が良いですね」

「そうかな」

「はい」


 横で軽くスキップしているギャルは、今日から始まる高校生活を楽しみにしている以外想像がつかないぐらいには、体が正直だった。


「その.......涼はどう?」

「そうだな、楽しみだよ」

「そうよね。涼は友達作れるように頑張りなさいよ」


 雪奈には言われたくないと思ったが、これ以上の腹痛は授業に響くので、


「そうだな......雪奈と中学みたいにならないように友達作りますか」



 .........ドス、


「ふん」


 回避したはずの腹痛、先を行く加害者、僕は何も言えずゆっくり歩いて行く事にした。




「「「おはようございます」」」


「......」

「おはようございます」


 校門で挨拶をしている生徒に、僕の後ろに行って迷子状態になる雪奈、さっきの勢いはとうに消えており、いつも通りになっていたので、


「雪奈教室行くよ」

「.....うん」


 僕の背中に雪奈、周りの生徒からしたらパシリにされている男子に見えるが、雪奈は外見と内面が物凄く反比例しているので、それが雪奈のチャームポイントだと僕は思っていた。



「その......ありがとう」

「どういたしまして」

「行くよ」

「へいへい」


 この時間は生徒があまり居ないので雪奈は通常に戻っていた。しかし僕達のクラスに入ると、


「このゲーム面白いらしいぞ」

「それ持ってる」

「俺も」


「今日凄いイケメン見たよ」

「どれどれ」

「これ」

「「「「すご」」」」

「....待って、女子じゃん」

「「「「本当だ」」」」



 クラスは集団をもう形成しており、僕達は各々の席に着いた。雪奈は中央の席で、僕は勿論窓際、雪奈には女子友を作って欲しいと心の底から願っていたが、



「西条さん?.....おはよう」

「おはよう」

「綺麗な髪だね」

「ありがとう」

「......」


 雪奈の様子を見ていたら案の定中学時代と変わらなかった。当然雪奈が悪いが、雪奈説明書として、


1.折れずに話しかける

2.強めに話しかけるのはNG

3.話す時は個人で行う


 この雪奈説明書は僕が中学時代に築き上げた物であり、現在では必要ないが、後でさっき雪奈に話しかけた女子に伝授しようと、考えていた時に、



「おはよう一ノ瀬君」


 呼ばれたので後ろを見ると、


「おはよう......」

「江藤一だよ」

「ごめん江藤君」

「大丈夫だよ。昨日はその.......アレだったし」

「アレ?」

「一ノ瀬君帰りたそうだったから」

「あぁ......ごめん」

「謝ってほしくて言ったんじゃないから、こちらこそごめんね」


 昨日少し話したが、今日話して江藤君の印象がカンストしていた。雪奈と違い低姿勢で、話しやすく聞き上手とは江藤君の事を言うと改めて理解した。


「その.....改めて今後とも宜しくね」

「こちらこそ宜しく」

「嬉しいな。僕中学時代は友達居なかったから......あ、ごめんまだ友達じゃあなかったよね」

「江藤君が良かったら.....友達になりたいな」

「ももも勿論だよ。ありがとう」


 江藤君は雪奈とは正反対で雪奈が大型犬だったら、江藤君は小型犬くらいに感じた。







「......涼もう友達作ったのかな。私は....アイツが居ないと........バカ」













 

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