第30話 柚餅子さん、食べる
然したる時間もかからずに、
にしても、魔物が居なくなってみて初めて実感されるが、何故にここまで広い空間が形成されたのだろうか。通常の
広大な地下空間ってだけでテンション上がるよね。秘密基地感があって。ここまで広いと周囲の目を気にせずに色々できそうだし、柚餅子と思う存分戯れたくなったらここに来るとか…………。今は森の中で走り回っていることが殆どだが、木々が多くて邪魔なのも事実。更に言えば、この森に誰か
ちなみに、
上層、下層などという言葉を使ってしまうのも基本的にはネット文化が基であり、
現在では、ネットと言えばもっぱら現実逃避の道具だ。最早新規参戦のゲームやコンテンツが存在しない中で、過去の事物に縋り付くだけの場所。何なら
だからこそ、
閑話休題。
血だらけで飛びついて来た柚餅子を受け止め、バッグの中から食事を取り出す。時刻は既に十一時を回っており、そろそろ昼食を食べる時間だ。今日は柚餅子もいるので、少し早めに帰るつもりでいる。したがって、それに応じて昼食の時間もいつもより少し早めだった。
柚餅子は地面に転がっている魔物の死体を一体引き摺って来て、隣で牙を立て始める。こうしてみると、本当にただ大きいだけの犬にしか見えない。
特に野生の犬だったら、餌を食べるときは似たような姿になるだろう。口の周りが血だらけで、前脚で死体を抑えつけて、腹ばいになって食事を貪っているあの姿だ。
犬。非常に犬。
そう言えば、叩き潰して回った魔物の死体だが、実は
何なら死体が基となって、朽ち果て砂のようになり、それのお陰で岩場が歩きやすくなることもあるほど。死して尚人の役に立つとは…………。感動で涙がちょちょ切れそうだね。
食事に満足したらしい柚餅子が、下半身と上半身の骨だけを壁際の方に足で追いやって、立ち上がる。
そう実はこの行動、これのお陰で
さて、
いや、流石に野生の魔物が勝手に人工物の首輪をつけ始めるとは誰も思わんだろう。だったらアピール用の目立つ何か─────例えば全身ハーネスも良いので、犬が付けそうな首輪みたいなものを付けていれば、見かけた瞬間に問答無用に叫んで通報されることはなくなる。……………と信じたい。
まぁ、物は試しというやつである。面白そうだし、一旦やってみようかなと。
……………いや、なんか、ペットっぽいじゃん。首輪。ほぼ代名詞だろ。ちょっとは動物飼ってる感楽しませてよ。
──────────
ちなみに英文法的には「食物連鎖的something」よりは「something食物連鎖的」の方が正しい。
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