第23話 カ〇リーメイト
今尚テンションがバグり散らかしている最中でございますが、この魔物との連続戦闘はいつになったら終わるんでしょうか。いや、割と本気で知りたいんですけど。
戦闘音が他の魔物を呼んでいるのか、人の匂いに寄せられてやってきたのか、それとも純粋に魔物の数が多すぎるだけなのか。例の狼と闘い始めてから、今やもう五匹目だ。
相変わらず体の大きさは、この
エネルギー不足が過ぎて、最早テンションだけで乗り切っているような気がしてくる。ただし人間、気合を入れれば案外動き続けられるものらしく、戦闘を始めてからというものふら付いていた足元が安定してきたような気さえした。
ちなみに前進の速度は絶望的だ。数分合間を開けて魔物と遭遇しているとはいえ絶え間なく魔物と闘っており、一匹の魔物との戦闘所要時間は凡そ十分程度。それが五匹で約一時間経つことになるのだが、この五匹の間に進める距離は高が五百メートル程度。
ほぼ停滞状態。マジで進まん。
熊のような魔物の振り下ろされた右腕を避けつつ、壁際へと転がる。追撃として飛んで来た左手をしゃがんで避けた。轟音と共に、
その腕に向かってパイプを叩き付け、その直後に身を翻して本体の方へと跳ぶ。蹴り飛ばそうと右前脚を更に突き出してくるが、流石な巨体だけあって、動きは遅い。武器でそれを払うと、素早くパイプを振るって熊の頭へと叩き付けた。肉が弾ける音と、それに伴って飛び散る血液。
当然、この程度では魔物は倒れない。
怪我で視界が狭まったのか、熊が後ろへと下がりつつがむしゃらに両腕を振り回し始める。後ろ足で立って交代するその姿は、不安定で危なっかしい。左足に鈍器を叩き込めば、熊は簡単にバランスを崩した。
倒れた熊の腹部に一撃を入れ、痛みに呻き立ち上がるのが少し遅れた所へ追撃。更に頭の方へと跳び、先程と同じ場所にパイプを殴打、殴打、殴打。
頭が半分程削れ、熊はついぞ動かなくなった。
束の間の休息。時計を見て、時間を確認する。時刻は朝の五時過ぎだった。
周囲に何もいないことを確認して、荷物入れの中から食事を取り出す。急ぎ口の中に含むと、疲労で既に乾いていた口の中が、更に
気合で二本のバーを食べ切り、更にもう一つの袋を開けて、口の中に詰め込む。あまりにもひもじく、涙が出てきそうだが、残念ながらそんな無駄なことに使う水分はない。勢いで無理やりに噛み砕き、呑み込む。口の中に少しスポドリを含んで、喉の渇きを誤魔化した。
食事内容が完全に失敗だった。次は絶対にやめた方が良い。何なら喉が潤うぐらいの物を持ってきた方が良い。ドライフルーツなんかも疲労回復に良いと聞くし、今度は持って来ようと思う。唾液誘発剤で梅干しを持ってくるでも良いか。
少なくとも、二度と
忌々しい黄色のパッケージをリュックの中に押し込んだタイミングで、丁度良く次の魔物が飛び出してきた。此方を見て、一瞬瞠目した後、直ぐに表情を豹変させて駆けて来る。
が、今までと比べて明らかにサイズが小さい。
今まで相対していた魔物と比べると、お粗末としか言いようがないほどの体付きだった。近寄って来る姿もどこか見窄らしい。
直前までの魔物とのギャップのせいか、嫌に居心地が悪かった。
警戒と共にパイプを前へと構える。無策で直線的に飛び込んできた魔物に向かって得物を振りかぶるも、ソレは避ける様子もなく、表情を変える気配もない。
衝突の直前、身体を右にずらして突進を避ける。
空中にいる魔物を横薙ぎに金属パイプで殴り付けた。
肉片と血
数秒待つも、動き出す気配はない。
更に数十秒待っても、魔物は死体のままだった。頭の中に疑問符が浮かぶのを感じつつ、死体の方向への注意を緩めないまま、前へと進む。ソレが見えない位置になってから、一旦警戒を解いた。
頭を捻りつつも、前に進む。考えるのは帰ってからでも良い。今は前進が優先だ。何せ、魔物に異変が起こり始めたのが五百メートル前辺り。コア付近と称される範囲は、大抵コアを中心として数百メートルから一キロだと言われている。
となれば、後少しでコアに辿り着くはず。楽観的観測では。
いや、良い。やはり考えるのは考えるのはよそう。先ずは前に。
そこで、傍と気が付く。
先程の魔物が飛び出して来た方向は、今まで
考えられる可能性としては二つ。一つは、純粋な討ちもらし。あの小さな魔物であれば、他との戦闘中に横を通られても、分からない可能性はある。
もう一つの可能性は、後方で魔物が新たに発生したということ。
────コア付近での異常事態。魔物の大量発生。
目的地は、確実に近づいている。
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