第17話 将来の話
あれから一ヶ月ほどが経った。もう既に冬も盛りで、昨日に降った雪が窓の外では薄い白色に姿を主張している。乾燥しきった空気では、暖房を付けている筈の部屋の中であっても、息を深く吸い込むたびに喉が渇いた。
あの日は、時間を把握できていなかったせいで、結局夜中まで
以来、
平日の体力作り、筋トレは相変わらず続けている。どうせ役には立たないとは分かっているのだが、ただただそれを思い知らされるのも悔しいような気がして、出来る限りのことは試してみていた。筋トレの道具を買ってみたり、長距離を走る際には速度を上げて見たり。後者に関しては、深夜に街中を孤独で爆走する変態になる訳にも行かないので、人目のつかないような農道や山道を走っているのだが。
努力の結果か、
そして例の衝動に関しては、今尚苦労しているとしか言いようがない。何となく、何か別のことに集中して意識を逸らしたり、瞑想なり何なりをして紛らわす程度のことはしているが、具体的、抜本的な対策が見つかった訳ではない。
身体能力や例の衝動に関して、日に日に増加傾向が激しくなってきているような気がするのも、危機感の一因だった。出力の調整に関しては最優先で取り組んだため、それなりにはなってきているらしく、不慮の事故を起こす回数は格段に減った。ここ二週間では一度も問題を起こしていない。この筋力の向上が続くのであればまた難しくなってくるのかもしれないが。
そんなこんなが現状である訳なのだが、一つ上の先輩方が受験期であるが故に、どうしても将来に関して考える機会が増えた。自分自身は先輩と繋がりがなくとも、大変そうにしている様子を見ることはあるのでね。
先輩の様子を引き合いに出して、先生に圧をかけられることも少なくはない。私立学校であるが故に進学率や就学率は学校の評価に繋がるため、進路に関しては割とシビアに指導が入る。そのため、二年の内からそれとなく将来の行く先を決めるよう促されるのだった。
今考えているのは、やはり
しかし、一括りに
まず一つとして、前述の通り名の知れた団体に所属して、行政関連の大口の仕事を片付ける者達。
次に、あまり規模の大きくない団体に所属して、行政関連の内軽めの依頼を熟す者達。
更には、数はあまり多くはないが、個人で
さて、ここで考えて欲しいのは、
しかし、そう、仕事の主な内容は魔物数の調整だ。基本的には市街地付近の
しかし、実はそれ以外にも魔物の被害を減らす、そして安全地帯を確保する方法がある。それは、
それは裏山の
そしてこの
とまぁ、こんな制度がある訳だが、
ただ、もし個人で
不安に思っていた就職活動も必要ではない。今も習慣的に行っている魔物との戦闘が仕事になるだけ。同僚やら上司やらとのコミュニケーションも必要ない。
これだけの好条件の職場は、他に存在しない。何より、憧れていた、魔物との戦闘を生業とする者になれる。
これは、やるしかなくない?
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