第15話 オシャカな鉄パイプ
さて。
いや、うん。
…………鉄パイプが弾け飛ぶとか、想像つかないじゃん。ねぇ。
てか俺悪くなくない? 魔物がいたから振り下ろしただけじゃんか。あ、出力の調整ができない奴が悪い………。その通りではあるんですけれどもがね………。
てか筋肉痛マジで痛すぎて泣きそうなんですけど。どうなってるんですか本当に。激痛とかそんなレベルの話じゃないんですが。
イレギュラーな事態が起こりすぎて、
しかして武器がなァい。なれば拳で戦うのみ。
ということで。もうちょっと戦っていきますね。
現在の場所は、
あの頃は
そして、素手で戦うにあたって、怪我とか大丈夫なのという話につきましては。まぁ、ぶっちゃけ多分大丈夫としか言いようがない。
なんとなく察してると思うけど、その場のノリと勢いで動いてますね。ハイ。
ただ実際、防御力的なのは上がってると思うんだよね。そんなゲームみたいな話が存在して堪るかという気持ちは俺も抱いているんですが。現実何かにぶつかっても痛くないみたいなことが増えて来たし、本当にそう表現するしかないという。体が硬いのかと言ったら、肌が直接硬くなった訳ではないのだが。
硬いというよりも堅いと表現した方が良いのかもしれない。表皮の柔らかさは変わらないが、怪我を負わない程度には肌と肌の間に働く力が強い、とか。知らんけど。
ともかく、一旦拳で戦ってみて無理そうだったら帰ろうかなと。そうなったら帰って武器持ってまた
一先ず最初は安全マージンを取らないとね。ということで、一旦壁際を忍び足で進んで行く。最初期よりは魔物の数が減ったという話は先程の通りだが、現在の魔物との遭遇の頻度は数十メートルに一匹程度。先ほど
────発見。体のサイズはあまり大きくはなく、シルエットは野良犬というか何というか。向こうさんも岩陰で休んでいる。
こういう場合は先制攻撃に限る。魔物が此方に気が付く前に、一息に駆け寄ってそのまま右拳を叩き落とした。
普段は長さのある得物を扱っているばかりに、急に徒手空拳に変えると距離感覚に違和感が凄い。加えて、普段であれば付けられる弾みも、腕だけのリーチだと厳しかった。
手慣れているものから離れてみると色々と発見があるとは良く言うが、今回は本当に学ぶことが多そうだ。
戦い辛さもあるし、攻撃を受ける物がないと思うとあまり軽快には動き回れない。こればかりは仕方ないことだろうが、無理はしないで居た方が良いだろう。
それに、武器越しに感じる感触よりも、こうして実際に手で殴る方が気持ちが良い。
しかし、だ。
やっぱ殴ったら爆散するのね。
いや、何となく分かってたけどね。金属引き千切ってる時点で人には見せられない感じになってるのは分かってたけどね。
それでも、こうも目の当たりにさせられると悲しいっていうのが、一般男子高校生としての感想ではありまして…………。
ていうかグロ注意が過ぎやしませんかね。本当に。
返り血とかそういう次元じゃないですからね。スプラッタの権化ですよこれじゃ。
漫画だとさ、ぶん殴って吹き飛ばしてハイ終わりー、とかじゃん。
殴り付けるとその部分の周りの肉が剥がれて弾け飛ぶとか、体の一部が抉れた状態で相手が崩れ落ちるとか、違くない? 俺の知ってる戦闘ってもっとカッコいい感じなんですけど。こんな血みどろドロドロって感じじゃないんですけど。
まぁ取り敢えず、手の痛みはそこまで大きくもない。普通に人間同士の殴り合いの喧嘩をした時の痛み程度。ただ、ちゃんとした殴り方を学ばないと手を痛めそうではある。
こういう時はインターネットちゃんにお聞きした方がよろしいのでしょうが…………。「喧嘩の方法」とか調べるのはちょっと中二病っぽくて恥ずかしいじゃないですか…………。そんな適当な理由で手を痛めるっていうのも馬鹿らしいので確りと調べますけどね、そりゃね。恥ずかしいけど。
ということで。大丈夫そうってことが分かったので前に進みましょう。
しかし、
一つ息を深く吸い込む。生温かい血の蒸気が肺を満たして、幸福感に身を包まれるのを感じた。拳を柔く握り、開く。
じわり、と血が巡る感触が快感だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます