第10話 慢心故の怪我
ということで、二か月ほど
ていってもあれよ、裏山の池の下にある可哀そうな
破壊衝動と言いますか、戦闘本能と言いますか、取り敢えず例のアレも、最近はあまり困らされていない。まぁ、そりゃね。戦い続けている訳ですから。
休日に武器持って家から飛び出すのも大分慣れて来た。父親にはバレてるっぽいけどなんも口出してこないし、取り敢えず放置。
日常会話は別の話ではあるにしろ、家で暮らしてるのが男二人だけだと必然的に会話は殆どなくなる。だからこそ普段何を考えているのかを推し量る機会は全くない。
仲は悪くないんだけどね。こればかりはしゃーなし。
てな感じで、色々と手慣れて来たと思っていたのだが。
「やーらかしたぁ………」
怪我しました。結構ヤバめの。
いやね、気を付けようとは思ってたよ? そりゃ元一般人────それも殆どヒキニートだった自分が急に戦闘行為なんて言う高度な運動を
ただ、ねぇ。ちょっと調子乗っちゃってたよねぇ。…………え、でも、ここまで急に運動ができるようになったこと今までなかったんですけど。初めての経験ですよ。仕方なくないですか? あ、仕方なくない………。自己責任………。いや、仰る通りではあるんですが………。
ということで、絶賛ピンチです。いろんな意味で。
まず一つとして、ここ
そして次に、父親にどんな言い訳しましょうね、という話でして。まぁこちらに関してはあまり問題視してない。そりゃ今切迫しているこの状況の方が重要度高いですし。父親のことだからあんまり気にしないような気もするし。
こんな感じで、ここから逃げ出す方法を考えなきゃいけない訳なのですが。
取り敢えず怪我の現状を説明しておくと、右足が使い物にならない。元は違う魔物と闘ってたんだけどね。不意打ちされて怪我しちゃったよね。
狼らしき魔物に足を噛まれた状態で無理に逃げようとしたので、そのせいで足を捻って、体重をかけると有り得ない程に痛い。噛まれた部分の足首は、一応止血らしきことはしてみたのだが、鬱血して青紫色になっている。関節か何かが傷んでいるらしい膝も同じように内出血しているようで、ドス黒い色で腫れていた。
こんなピンチの状況で片足を引き摺りながら逃げるというのも何となく締りが悪いような気もする。そのような状況でないことは重々承知しているのだが。
まず第一として考えなくてはならないことは暗くなる前にこの
普段であれば正確になった体内時計のお陰であまり時間を見誤ることはないのだが、怪我でテンパったせいで今の時間が詳しく把握できなかった。出血のせいで頭が朦朧としているのもあるのだろう。
結局、今が夜中でないことを祈ることしかできない。………現在時刻がまだ早かったとして、自分がそんな迅速に
いや、弱気になっちゃだめだね。
流石に調子乗ってたって突きつけられるのは
あー。本当にだめですね、これは。
まぁ、なるようになるって。どうせ死なないから、俺。今までそうやって生きてきたじゃんね。こんな適当な場面で死ぬわけないでしょっていう話ですから。
「んじゃ、行きますか」
と、気合を入れて動き出してみれば、案外片足でも走れるもんで。自分の体が改善されたせいで調子に乗った訳だが、そのお陰で帰れるというのも何とも皮肉な話だ。
魔物からしたら怖いだろうけどね。自分の住処だった場所を片足で不格好に全力疾走する人間がいるんだから。めちゃくちゃ必死に足音消してるんですけど。
結局、
魔物見かけたら絶対に殺すマンしてたからね。本当に少しも魔物を見かけなかったよね。まぁでも、一日位じゃ魔物が
日常生活では絶対にしない使い方をしたせいか、
取り敢えず、無事
まぁ、
────低い唸り声。
そんな訳で魔物さんはちょっとお引き取り願いたいかなぁ。諸事情であんまりウェルカムじゃないのでね。
ということでね。唐突にデスマッチです。
いや、なんでや。今の流れ完全に家帰って一安心の流れじゃんか。
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