第4話 筋トレと池
一か月後。
意外にも、体力作りは続いていた。と言っても、日に数キロ走るだけではあるのだが。そして最近では体力作りと言うよりも、有り余るエネルギーを消費する方が主目的になってきた。何せ授業中にうずうずしてくるのでね。いや子供か。
確かに高校生はまだ子供だけどもが。
しかし最近になって気が付いたことがある。
長距離走っててもムキムキにはならん。
いやね、知ってたよ? 確かに陸上部の長距離走してる奴とかあんまり筋肉付いてないし、どっちかっていうとスラっとした体型の人が多いもんね?
にしてももっと早く気が付こうよ。一ヶ月の努力が水の泡じゃん。
ということで始めた筋トレ。これマジで効果あるんだろうか。いまいち何をすれば良いのか分からないので腹筋と腕立て位しかやってないけど。
まぁ、始めたのは二日前とかそこら。食べる量増やさなきゃ体は大きくならないとかいう噂も聞くし、直ぐに結果が出るわけではないだろう。疲労感をあまり感じないというだけで随分と筋トレへのハードルは下がるから、続けることはあまり苦ではないと信じたい。
勉学についても、想像以上に調子が良い。集中力が上がったというのは前述の通りだが、本当に一日が一瞬で過ぎて行く。特に、集中して物事を考えている時には。
最初は授業が段々詰まらなくなってくるかとも思っていたのだが、案外そういうものでもなかった。暇だったら違うことでも考えていればいいだけ。いや、ほとんどの場合は聞いてますけどね? 嫌いな先生とかいるじゃないですか、そのときに別の考え事をしてるだけっすよ。
テストの成績も悪くなかった。最近習ったことに関してはかなり高得点だったし、過去の既習部分で自分が授業を聞いてなかった部分でも、数学とかの理科系だったら何となく解けるやつもあったし、かなり良い。
ってことで、色々と調子が良いんですが。まさにこの世の春って感じなんですが。調子が良いことばかりではないのは確かでして。
最近の困り事は、異常な筋肉痛。
ただ、筋肉痛に似ているだけで、実際に筋肉痛であるかどうかは分からない。力が強くなったりしているわけだし、もしかしたら成長痛のようなものなのかもしれないし。
この痛みは随分前から定期的に起こってる奴だから、一昨日始めた筋トレとは関係ないってのは分かってるんですけど。
そして「異常な」という形容詞を付けたのには、それだけの理由がある。
筋肉痛と言うのは普通、前日に過ぎたる運動をすることにより筋肉が損傷、そしてをそれを直す際に炎症が生じて痛みを生じさせるというものである。さっきググった。ずっと乳酸のせいだと思ってたけど、今は乳酸は疲労物質じゃないってのが通説らしい。いや知らんけど。
まぁとにかく言いたいのは、筋肉痛は予測出来るよねっていう話だ。ただ、今自分が苦しんでいるものは予測ができない。日中でも就寝中でも時間帯関係なく襲ってくるし、続くのはたかが数十分程度であるにしろかなり痛い。それも痛みを持つ部分と言うのが一定ではなく、足やら手やらその時々により色々と部位が違う。この前授業中にシャーペン持ってる右手が震えはじめた時には危うく中二病になる所だった。本当にやめてほしい。
幸いにも、耐えられないほどの痛みではない。疲労感がないお陰で精神的な余裕というのが随分と出て来たらしく、何をするにしてもかなり気持ちを楽に持てる。それもあって、この筋肉痛擬きに対してもあまり大きな嫌悪感は抱いていなかった。
更に言えば、この筋肉痛擬きの後を追うように体が強壮になっていくことが何となく判明したため、何となくその痛みを乗り越えると強くなれるような気がして、邪険にするような気にもなれないでいる。筋肉痛擬きと呼んでいるのはこれが主な理由だ。
やっぱり男子だからね。強さには心惹かれるものなのですよ。ずっと言ってるけど。
…………って訳でもなくてでしてね。
「………いや、ほんとにどうするんよこれ」
目の前に広がるのは、池。めっちゃ池。
澄んだ色の池は
…………んー、どゆこと?
最初は川の一部を引いて、それを少し
と、思っていたのですが。まぁ、私が計画性のある人間であるわけがなくてですね………。
誰ですか? 最初に無計画で川を堰き止め、しかも川の一部を引き込むという当初の目的を忘れて川の流れを百パーセント変えた挙句、自分の間違いを認めずに目を逸らし続けてる人は。
そりゃあ、ねぇ。そんな人いないじゃないんですかねぇ。
ということで、川の流れを戻して
しかも入り口の回りに池なんてできちゃったらより一層どうしようもないよね。
ちなみに、池から流れ出た川の流れ行く先が元の川であった位置と合流してるらしいことは確認した。取り敢えず一番下流の所を確認したら今まで通りだったから大丈夫なはず。…………はず。
いいやもう。知ーらね。
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