第26話 お昼寝日和
キャンピングカーの進化がすごすぎて、もう山奥に引きこもっても快適な暮らしができちゃいそうだなと思う。
でも一番は、おはぎにいい暮らしをさせてあげられるのが嬉しい。
「居住スペースの確認はできたから、あとは洗濯物が乾くのを待つだけか」
その間に何をしようかなと考えていると、おはぎが『にゃっにゃっ』と何かを主張しているではないか。
見ると二本足で立ちあがって上へ手を伸ばしている。
「くう、なぜ私はカメラを持っていないのか……」
もしや構って欲しいのかと思い手を伸ばすも、どうやら違うらしい。靴箱の上に飛び乗って、上に向かって『にゃ!』と声をあげた。
……あ、もしかして。
「ポップアップルーフにいきたいのかな?」
屋根の上に空間を作る設備なのだが、おはぎがすごく気に入っていたことを思い出す。私は急いで屋根を開けて、上に登れるようにした。
『にゃっ』
「当たりだった~」
おはぎは軽やかにルーフへ行くと、すぐにこてんとお腹を上にして寝転んだ。そしてゴロゴロ喉を鳴らしながら眠ってしまった。
「わあ、安心しきっている……」
私はクスッと笑って、おはぎの隣に寝転んだ。
温泉に入って、ご飯を食べて、洗濯もして……とくれば、お昼寝タイムだろう。ルーフからは外の景色も見えて、お日様の光も入ってきて、心地よい。
私は襲ってくる睡魔に抗えず、そのまま意識を手放した。
『にゃっにゃっ』
ふいに腕を何かに押されている気がして、私の意識が浮上する。まどろみのなかで聞こえてきたのは、おはぎの声だ。
「ん……」
あと五分、寝たい……。
しかしそう思ったのも束の間で、うっすら開けた目からおはぎが私の腕をふみふみしているのが見えて一瞬で意識が覚醒した。
「おおおおお、おはぎ……!」
『んにゃ』
私が起きたことに気づいたおはぎが、ふみふみ職人を止めて私の横にころんと寝転んだ。どうやら添い寝をしてくれるらしい。
「っっっ、かっわ!!」
可愛い~~!
私は可愛いおはぎにメロメロだ!
「よーし、このまま一緒に二度寝――って、外暗ッ!!」
見ると、山の向こうに夕日が沈むところだった。
ちょっとの昼寝のつもりだったけれど、予想以上に爆睡していたみたいだ。
「あ! 洗濯物取り込まなきゃ! ごめんね、おはぎ。ちょっと下に行ってくる!」
『にゃう』
おはぎをルーフに残したまま、私は急いで外へ出て洗濯物を回収する。冷たくなってしまっているが、仕方がない。
街で買ったカゴに取り込んでキャンピングカーに運んで、テーブルで畳めば完了だ。後ろのトランクスペースに収納があるので、そこにしまう。
その後は、木の枝に結んだ麻縄やタープを回収して、片づけを終わらせる。まだまだ大きいタープに弄ばれている感はあるけれど、ちょっとずつ慣れてきたように思う。
「これでよし、っと」
『にゃ』
「あ、おはぎ。もうルーフは大丈夫? そろそろ出発するから、閉めちゃうね」
私は屋根を閉じてルーフを収納し、再びキャンピングカーで走り出した。
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