第4話
華の女子大生な私のファーストキスは妹に奪われました。それどころかセカンドキスも奪われたしサードキスも今まさに奪われています。私は何もできずにただされるがままだ。悔しい。抗議の声を上げようにも唇が塞がれているからどうしようもできない。悔しい! 私は女子大生なんだぞ! そういやこいつも女子大生だった!
「ぷはっ……っ……」
「っ……」
何度も呼吸を止めてキスを繰り返したからか、私よりも体力の多いこの子も息が荒くなってきた。熱い吐息が何度も私の顔にかかる。やめてよ。心臓が跳ねるじゃんか。
好きって言いながら何度もキスをしてくる妹の顔は真剣そのもので、恋をしている時の顔というよりも、何か大事な作業をしているかのような真面目さがあった。
「お姉ちゃん」
「なに……」
「好きだよ」
ここまで何度もキスしてからこの言葉、この子ってその、私に恋をしているってことなんだよね……? 全然信じられないけど。一応聞くだけ聞いてみよう
「それは……姉妹として、だよね? 別に恋とかっっっ……!」
また唇を塞がれた。
「もう分かるでしょ? 恋人として好きなのっ」
「私、あんたの恋人になったつもりはないんだけど……それ以前に女同士だし、姉妹だし。色々とおかしいよ」
「まあお姉ちゃんならそういうよね。予想してたよ」
「そんな難しい問題を正解したみたいな顔するなよ。誰だって私と同じことを言うって。私は特別な人間じゃないんだ。ノービスなんだ!」
「ふふふっ」
妹は、いっぱいいっぱいの私を余裕の目で見つめながら笑った。そのまま私の首筋をゆっくりと指でなぞって、耳元にもキスをして、最後に寝ころんだまま私を抱きしめた。うぅ。どこでこんなテクニック身に着けてきたんだよぉ……だんだんとお前の顔を見れなくなってきたじゃんか。
「返事は今すぐじゃなくても良いよ」
「えっ……」
妹は、私の胸に顔を埋めながらそう言った。そうだった。謎テクニックで忘れかけてたけど私告白されてたんだ! 良かったね、青春女子大生だよ! うるせぇ相手は妹だし女同士なんだぞ。
「そう言っているけど、本当はすぐに返事が欲しいんじゃないの?」
「もちろんっ」
「こういう素直なところは変わってないなっ」
「えへへっ」
妹の頭を撫でてやると、嬉しそうに笑ってくれた。せめてもの反撃だ。これで少しは姉の威厳は保てたかな
「そんなのすぐに欲しいに決まってるよ? でも良いの。いきなり告白されたからお姉ちゃんも困ってるだろうし。私は気遣いができる女なんだよ」
「姉を布団に押し倒して色々した後に言っても説得力ないって」
「あははっ言えてる。そのね? 返事は今すぐじゃなくても良いんだっ。だってその内お姉ちゃんは私と恋人になりたいって言うって知ってるから」
「本人ですら知らないことをなんでそう言い切れるのさ……」
「そう言わせるから」
まっすぐな目で言われた。まるで難関校の受験に挑戦する学生みたいな目で。それなら良かったものの。残念ながらこいつの目は私を落とすって目だ。どうしよう今からでも逃げた方が良いかな
「絶対に、言わせてみせるから。私と付き合った後は体に私のキスマークをつけたままでも隠さずに私と一緒に街まで出歩くくらい私のことが大好きな人にしてみせるからね」
「それ羞恥心も捨ててるじゃんか……せめて隠しなよぉ」
「そんなの良いじゃん。私の恋人なんだから」
「良い訳ないぃ!」
そんなことになったら私はきっと凄まじい調教を受けた後だろう。そんなの絶対防いでやるからな……でも、大学生になってからこの子と一緒に遊ぶことはなくなったから、この子と一緒に遊びに行きたいってのはある。今まではいつも一緒に遊んでいたのにね
「お姉ちゃん。大好きだよ」
「知ってるよ。私の知っている大好きとはなんか違うけど、もう知ってるよ」
この子は未だに私に抱き着いたまま、唇と唇がくっつくくらい近づいている。顔も良いし匂いもなんか良い……
「お母さんたちはまだ帰ってこないんでしょ? だからこのままね、お互いの大学生活とか色々話そうよ」
「こっこのまま!?」
「うんっ」
私の片足を両足で挟みながらそう言った。柔らかい……じゃなくて逃げ場を塞がれた! そして腕を伸ばして私のスマホを掴んで電源を切った。やばい、こいつ本気だ
「それじゃあどこかに座ってお茶でも飲みながら」
「だめ。このままがいい」
「うぅぅ……分かったよ……」
がっちりと妹に自分の身体を固められているせいで、私たちはお互いの今の生活について(キスや色んなスキンシップを交えながら)話し合った。私の隠しきれなかった自堕落な大学生活とか、妹の一人暮らしもね。そりゃあこの子がどう過ごしているか直接聞きたいって思ってはいたよ? でもこんな風に話すとは思わなかったよ。何でこの子はこんなに変わってしまったんだろう……。
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