【第一章 異世界入門編】-13話- 飛竜討伐②

 山岳地帯を出てくる魔物を倒しながら進んでいると周囲の魔物の気配もしなくなってくる。

 

 上泉「……魔物が減ってきた……か?」

 アリシア「ええ、間違いないわ、多分飛竜の餌になったんだと思う……それにしても亮司の身体強化はとんでもないわね、どんな魔物でもその鉄棍で一撃じゃない、まあ魔力を節約できて助かってるんだけど。」

 上泉「まあね、それよりも飛竜がここら辺の魔物を食い荒らしてるならそろそろだろ、きを付けて進もう。」

 アリシア「えぇ、そうね。」


 そう言って、2人は周囲の警戒を強めながら進んでいくのだった。





 上泉「………………いた。」

 

 そこは山岳地帯のひらけた場所、湧水なのか大きな水たまりが出来ている場所、その上空に旋回している大きな翼をもった蜥蜴がいた、大きさは例えるなら大型トラック倍ぐらいはあるか?上空だからわかりずらいが……。


 上泉「……何をやってるんだ?」

 アリシア「多分獲物を探してるんだと思う、私たちが遭遇したのはもっと奥だったから結構出てきているんだけど……」

 上泉「もう少し森の方に下りていけばまだ魔物はいたにも関わらずここら辺で旋回しているのは……」

 アリシア「多分、私を探してるんだと思う、まだ何処かに隠れているんじゃないかと思ってるんじゃないかしら。」

 上泉「だとするととっととどうにかしたほうがいいか……いないとわかったらギルマスの懸念通り人里に下りてくるだろうし。」

 アリシア「ええ、そうね、それじゃあ中級魔法あたりでこちらに注意を引くわ」

 上泉「気づいてない今なら最上位魔法を先手で撃てるんじゃないか?」

 アリシア「無理よ、竜種はマナに敏感なの、魔法構築を開始したらすぐに気付かれるわ、幸い、竜種はプライドが高いから逃げることはまず無い、それなら真正面から叩き潰した方がいいわ。」

 上泉「了解……それじゃあ、行きますか。」

 アリシア「ええ。」


 そう言って2人は飛び出し、アリシアは魔法の構築に入るのだった。



 アリシア「サンダージャベリン!」

 

 アリシアの魔法が放たれるタイミングで戦闘が始まった。

 先程アリシアが言ったように、魔法構築げ始まった瞬間こちらに飛竜が気づいたからだ。

 飛竜がこちらに気づきこちらに向かう前に魔法は放たれたがその魔法は飛竜にひらりと躱された。


 アリシア「!亮司!!」

 上泉「分かってるよ!」


 かわした飛竜はそのままこちらに突っ込んできたが俺が前に出て飛竜から振り下ろされた爪を鉄棍で弾いた。

 そのまま飛竜に鉄棍を叩きつけようとしたが飛竜は慎重なのか弾いた時の反動でそのまま上空に戻っていき魔法を放ってきた。


 上泉、アリシア「「!!!」」


 飛竜より放たれたエアバレットを2人して回避する。

 その後、飛竜は空中に止まり魔法を連続で放ってきた、

 今度はサイクロンバレットだ、小さい竜巻の様なひとのあたまくらいの大きさの台風の魔法弾が飛んでくる。

 エアバレットよりも速度もあり、俺はともかくアリシアは回避がキツそうだな、それにこんなに連続で魔法を撃ってくるならずっと回避していると反撃の魔法も打てないし、となると。


 俺は体表を魔力で覆い、その延長線上で鉄棍も魔力で覆った。


 上泉「ふっ!!」


 魔力で覆った鉄棍で飛んできた魔法を連続叩く、叩かれた魔法は弾け飛んで魔法が霧散した。


 アリシア「ちょっ!何今の!!魔法を叩き落とした!?」

 上泉「マジックスキンっていう技だよ、魔力で、身体の表面を覆って魔法耐久、物理耐久両方あげる技術、これも身体強化に近い技術だから俺でも出来るだろ?」

 アリシア「いや、そうだろうけどマジックスキンは身体強化より高等技術だし、そもそも中級魔術をこちらの被害ないレベルで叩き割るほどの魔法耐性を高めるほど高性能じゃ無いわよ!だから魔法でそういったバフなんかがあるんだし!」


 まあそうなんだけど俺の場合、バカみたいに大い魔力を注げばその支援魔法以上の耐性を得られるんだけどな……ほんととんでもないわ。

 それはともかく……。


 上泉「その話は置いといて飛んでくる魔法は俺が全部叩き落とすからお前は魔法での攻撃に専念しろ、いいな?」

 アリシア「……そうねわかったわ!」


 そしてそこからは飛んでいる飛竜が魔法を放ってきてそれを俺が叩き潰し、アリシアが魔法で攻撃するといったパターンで戦闘を進めるのだった。




 アリシア「サンダーボルト!」


 アリシアが広範囲に広がる雷属性中級魔法、サンダーボルトを放つも飛竜にはほぼ効かず、反撃の魔法が飛んできた。


 上泉「は!!」


 飛んできたディザスターファングを俺は目一杯マジックスキンで強化した鉄棍で叩き潰した。


 アリシア「上級魔法も叩き潰すとか異世界人ってホントとんでもないわね……」

 上泉「まあ、ね、そんなことよりも例の最上位魔法のタイミングは。」

 アリシア「普通に撃ったんじゃ絶対に当たらないから向こうのとっておきを撃つタイミングに合わせて使うわ、私たちの戦闘でも使った竜固有の能力。」

 上泉「ブレス、か、固有能力だから魔法よりも出は早いけど撃っている間は動きが止まる、だったか。」

 アリシア「えぇ、先日の戦いでも最初は様子見で魔法を連続で撃ってきただけでその後に一気にブレスを使った攻撃もしてきたの」

 上泉「最初は様子見、か」

 アリシア「えぇ、そろそろ準備するわ、魔法で反撃しない分、向こうからの魔法による攻撃は激しくなると思うからよろしくね。」

 上泉「了解。」


 今まで撃ってきた魔法程度なら問題なく全部弾けるからな。


 そこからは飛んでくる魔法を全て叩き潰していった。



 上泉「流石に多いな、それで、魔法は?」

 アリシア「準備できたわ!」

 

 そう言ったアリシアの手元には構築した魔法の呪文束が球状になって存在していた。

 魔法構築したらそうなるのか……初めて見た。

 そう思いながら一瞬後ろをみた瞬間、飛竜はチャンスと見たのかブレスを放つ体勢をとった。


 上泉「!ブレスか!?」

 アリシア「なんとか数秒だけでも耐えて!ブレスを放った瞬間にこちらも魔法を撃つわ!!」

 

 ブレスを打つ前だと中断して避けられ離可能性があるからか!

 

 上泉「了解!」

 ブレスってことは放射状だろう!なら元の世界のアニメなんかでみた方法でどうだ⁉︎

 そう思い、手に持った棍を回して盾のように使用する、その瞬間飛竜はブレスを吐き出したのだった。


 アリシア「凄い……。」

 

 アリシアは目の前の光景に驚愕していた、自分達のパーティが壊滅した決定打、どんな魔法障壁も鎧も溶かし尽くした進化態飛竜のブレスが上泉亮司の回している鉄棍に弾かれて完璧に防御を行えている。

 ……もしあの時に亮司がいれば、そんなもしもが頭をよぎり、しかしそんなことは無意味だとわかっているため直ぐにそんな考えを捨てる。

 そして今がチャンスとばかりに構築していた魔法を放つのだった。


 アリシア「グランライトニング!!」


 飛竜に有効な雷属性の魔法、そのなかでもアリシアの使える最上位魔法が飛竜目掛けて放たれ、見事命中するのだった。


 

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