【第一章 異世界入門編】-12話- 飛竜討伐①

上泉「……はぁ、街で待っててって言いませんでしたっけ?」

 アリシア「言われたけどそれを聞くとは言ってないわよ。」

 上泉「まあそうなんですけどね。」


 はぁ、なんでついてくるかな、まあ気持ちはわからんでもないけどさぁ。


 アリシア「それに亮司は魔弾と身体強化しか使えないじゃない、いくら魔力量が多くて燃料切れしないからってそれだけであれの討伐は無理よ。」

 上泉「ん?あぁ、アリシアはその認識なんだな、ハリィさんから聞いてなかったのか?」

 アリシア「何のこと?」

 

 なるほどね、まあ説明するより手っ取り早いし……

 

 上泉「俺が身体強化して走った方が早いからかかえさせてもらうよ。」

 アリシア「な!ちょっと‼︎」

 

 そう言って身体強化を使い瞬時にアリシアを抱えた、いわゆるお姫様抱っこという方法で。

 

 上泉「それじゃあ舌噛むなよ。」

 アリシア「待ちなさいよー!」

 

 そう言った瞬間一気に加速して走りだしたのだった。




 


 受付嬢ルビィ「ギルドマスター、上泉さんにお願いしたんですか?大丈夫なんですか?」

 ギルドマスター「ルビィか、受付はどうした?」

 受付嬢ルビィ「他の子がいるんで大丈夫です!そんなことより大丈夫なんですか!?」

 

 他の子がいるから大丈夫って……はぁ、一応義理の兄だからってルビィはギルドマスターである俺に向かって気安いのは問題か?

 ルビィには歳の離れた姉がいてその姉は俺の嫁さんになる、だからか昔からの知り合いということもありごくたまにギルドマスターの俺に対して我儘のような行動をとる、普段は真面目に仕事をして仕事自体も他の子よりも何倍も出来るんだがなぁ。

 

 ギルドマスター「まあ大丈夫だろう、異世界人がどうやってこの世界で大成したか知っているようだしその方法もすでに出来るようになっているようだしな。」

 

 先程のやりとりでの受け答えを鑑みるにそうゆう事だろう。

 となれば、上泉が言ったように最低限逃げることは問題なく出来るのだろう。


 受付嬢ルビィ「それってつまり、上泉さんはランク8冒険者クラスの実力がすでにあるって事ですか?」

 ギルドマスター「戦闘の技術的なレベルの部分はまだなんだろう、元の世界がそんなこととは無縁だったらしいからな、だが使う技術は既に同じものを持っているということだろうな」

 受付嬢ルビィ「それじゃあ本当にどうにかしてくれるかもしれませんね。」

 ギルドマスター「一応、救援も出しているし、実際他の冒険者で対応出来るものがいないからな、我々は何とか上手くやってくれることを祈るしかないな……」


 そうだ、結局そうなるしかない……上泉、頼むぞ。






 おおよそ2時間かそこらの時間をかけて飛竜がいる山岳地帯までやってきた。


 上泉「さて、到着だな……」

 アリシア「死ぬかと思ったわよ……」


 アリシアはおろしてあげたら腰から崩れ落ちた……まあ普通怖いよな、俺は慣れたけどとんでもないスピードで走ったし最初自分で走ってたにも関わらず怖かったしな。


 上泉「さて、落ち着いたら奥に進むぞ、それで飛竜がでたら俺が戦うからアリシアは後ろに下がれよ。」

 アリシア「嫌よ、私も戦うわ、何のために一緒に来たと思ってるのよ、亮司の身体強化が尋常じゃないのは分かったわ、でもね、飛竜は飛んでるのよ、届かないんじゃあ意味ないじゃない。」

 上泉「ん、まあそうなんだけどさぁ……一応魔弾あるし。」

 アリシア「あんなバカみたいな身体強化してたらいくら規格外の魔力があるからって魔弾なんかに魔力は回せないでしょう、後方からの攻撃は私がやるから亮司は前衛張ってくれればいいわ、飛竜は私が倒す……」


 そう言ってアリシアは立ち上がり歩き出した……

 ……見た感じじゃあいつもと変わらないように見えるけど、まあそうじゃないんだろうな。

 婚約者と同じ里の仲間が自分の為に死んでしまった、そんな時、どんな気持ちなのか……

 俺は何ともいえない気持ちになりながらもその後をついて行くのだった。




 

 上泉「……あー、今から飛竜と戦う上で行動パターンとかわかれば共有しときたいんだけど……大丈夫か?」

 アリシア「……気を遣ってくれなくても大丈夫よ、ありがとう。」


 アリシアはそう言い、飛竜の行動パターンを教えてくれた。

 飛竜の行動パターンを考えるってことはその時のことを思い出すってことだ、それでも必要な情報だろうと話してくれた。

 基本は上空から風系統の魔法を撃ってくるって話だ、ウインドカッター、エアバレット、サイクロンバレット、ディザスターファングなどを使用したって話だ。

 あとは急降下からの鉤爪での攻撃をおこなったりという話だ、この中でも特にディザスターファングは強力で、魔法のランクでは上級魔法にあたる、イメージではウインドカッターの超強化版ってところの立ち位置の魔法だったかな、確か。


 アリシア「あとは曲がりなりにも竜種なだけあって皮膚が硬いわ、耐魔性にも優れているから魔法の通りも通常の飛竜の比じゃない……上級魔法でさえほとんど傷を与えれなかった……」


 ……使う魔法なんかよりその耐久性が問題だな、通常飛竜は亜竜なだけあってそこまで耐久性に優れているわけではない、上級魔法さえ使えれば空を飛んでたとしても魔法で撃ち落とせるって話だしな、だからこそそこまで脅威ではないんだが、今回の進化した飛竜は桁違いって話だと上級魔法では撃ち落とせず向こうは空から魔法を打ち放題ときたもんだ、それじゃあさすがもハーベストツリーても遅れはとるだろうな……


 上泉「分かった、となると急降下した時にうまく叩き落とせればなんとかなるかもな……」

 アリシア「……ええ、そうね、あとは最上位魔法って手もあるわ、この前の時は魔法構築する時間を作れなくて打てなかったけど……」

 上泉「アリシアは最上位魔法使えるのか、それならそれにかけるのもありだな。」


 最上位魔法を使えるならそれで何とかするのもありだな、俺の魔力圧縮しまくった魔弾で何とかするのも手かと思ったけど、アリシアが飛竜をどうにかする手があるならやってもらったほうがいいだろうし。

 実際アリシアは後方に下がってくれそうもないし、それに仇の飛龍に対してアリシア自身の手で討伐出来れば今後に対して、上手く気持ちの整理もできるだろうしな……。

 そう考えながら、俺とアリシアは飛竜がいるであろう山岳の奥に向かって歩いて行くのだった。

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