第二話「予知夢……?」
「だな……。順を追ってみよう。まず、理由は分からないが、教皇に呼び出された俺は
エトナが紅茶にどぼどぼと砂糖と蜂蜜を入れてよくかき回しフラッドに渡す。
「ありがとう。うん、甘くて美味い!」
【毎度毎度見てるだけで胸やけしそうだ……】
ディーが顔をしかめる。
「それで、教皇暗殺事件が起きて、何故か俺が犯人にされて、命からがらベルクラントからここまで逃げかえって……あの結末か……」
思い返して気が沈むフラッド。
「流石に今回はフラッド様に落ち度はないんですけど、やり直しますか?」
「誰がやり直すかーーーー!!」
フラッドが叫んだ。
【言うと思ったぞ】
「いやいやいや、だって今回は俺完全に悪くないだろ!?」
「最初に言ったじゃないですか、悪くないですよ」
「なのに何をやり直す必要があるというんだ!?」
「え、だってあんな結末嫌じゃないですか」
「イヤだよ!? 絶対に嫌!! というか前と違って、ベルクラントの招聘に応じなかったらそれで終わりじゃない!? それだけで一発回避だろ!?」
【確かに、ベルクラントに行かなければ、教皇が暗殺されたとしても犯人にされることはないな】
「だろ!」
「うーん……そうなんですけど……。そう上手くいきますかね……?」
エトナは顎に指を当てて考えるそぶりを見せる。
「どういうことだエトナ?」
「単純な話なんですけど、もしフラッド様がベルクラントに行かなくても、結局サク=シャ軍の討伐対象にされる可能性もあるのかな。と」
「……え?」
【……どういうことだ?】
「いえ、断れるならそれに越したことはないんですけど、前回死に戻ったとき、フラッド様は前世での死因を全て解決して乗り越えましたよね?」
「ああ、そうだな」
「ディーを仲間にして、サラさんたちを救い出して、クランツを裁き、カインさんを引き取り、飢饉対策をして、帝国の侵攻に勝利して」
【うむうむ】
「けど、今回ベルクラントへ行かないということは、なにも問題を解決させない。ということじゃないですか? 予知夢どおりなら多分教皇は暗殺されますし、そうなると、結局何かしらの困難がフラッド様に降りかかるのかな。と」
エトナの言葉にフラッドは顔を青くさせる。
「え……? じゃぁ、ベルクラントまで行くのは既定路線で、俺が生き残るためには教皇暗殺とかを防がなきゃいけない。ということか……?」
「断言はしませんけどね」
【ううむ……私は反対だな。わざわざ危険をおかして教皇を助ける義理も理由もないだろう。そもそもエトナの予想どおりになるとも限らんワケだしな】
「むむむ……。確かにあんな幼女が殺されるのはかわいそうだし、助けられるのなら助けてやりたくもあるが……。それとエトナと俺とディーやカインにサラに兵に領民……。俺を慕ってくれる皆の命は天秤にかけられんぞ……」
頭を押さえて唸るフラッド。
「まぁ、そう難しく考えず、断れそうなら断って、無理なら無理で対策を考えるようにしましょう」
【うむ、それが一番だろう】
「あ、ああ。そうだな。それにしても……死に戻りといい、この予知夢? といい、いったいなんなんだ……?」
カップを置いたエトナが首ゆっくりを横に振った。
「私は前の死に戻りと同じく、この予知夢もなぜ、どうして? なんて考えるだけ無駄だと思っています。答えなんて絶対出ないでしょうし、サク=シャでもなければ分からないでしょうから」
サク=シャとはこの
「確かにそうだな」
【うむ、とりあえず寝るとするか】
「ですね。明日の使者への対応は私たちで考えるよりも、カインさんに相談したほうがいいでしょう」
「確かにな。少し落ち着いたら眠くなってきた……」
フラッドは明日のことを考えながらベッドへ戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます