第3回転
私、
カラカラカラ。
どれだけ回してもキミに伝えるべき言葉の一つすら見つからない。くだらない考えばかりがあふれては消えてゆく、この繰り返し。
そして今日も回り始める。
今日の私は掃除当番、キミも一緒。
せっかくの話す機会なのに、話すネタがさっぱり見つかりません。あまりに思い浮かばないので、なんか話のネタになるもの転がり出てこい!って願ってたら、でてきちゃったんです。
すごいやつが。
掃除していた体育倉庫のマットの合間からぽろりと出てきたのは、世に言う家族計画、ゴムの避妊具、しかも使用済み。
ぬあああぁぁぁ!!
つまりはここでそういうことが行われていたわけで、そう思った途端、体育倉庫のすえた匂いさえ、なんだかえっちな匂いのような気がしてくるワンダーランド、私の頭もショート寸前ですよ!?
私もなんか出てこいと願いはしましたが、これはやり過ぎだと思います! いえ、やり過ぎって、そういう意味ではなく! オーバーキルの方です! 話しかけることもできない女の子にこんなネタをお出ししてどうしようっていうんですか!?
「ねぇ、私達もそういうことしてみない……?」
くたばれ! エロ漫画脳の私!
言えるわけがないでしょうが!!
こんなこと言えるなら今まで百や二百は好きと言えてます! それにいきなりそんなことする女の子だなんて思われたくないし! 逆にキミにそんなことを言われたって、ホイホイ誘いにのるほど安い女じゃありません!
……キミという会員一名様限定大セール?
ちがうの、ちがうの、言葉が頭をよぎっただけなの、血迷わないで私。それにしてもなんなの! 私達恋に恋する年頃で若い衝動が暴走することもあるかもしれないけど! ちょ、ちょっと早すぎません? 私が遅いだけ?
それなら私、大人の世界に電撃参戦!
追いつき! 追い越せ!
追い越したら母になってしまうんですよ私!?
それはさすがに生き急ぎすぎですから!
えっちな私を押さえ込んで、問題に向き合います。
と同時に心の中で叫びます。
私、どんな風にリアクションすればいいんですかぁ~!?
キミも思考停止で固まってるじゃないですか。
今更見なかったことにももできませんし……
それなら、知らないことにします?
「え~、なにコレ~、私、わからない~、水風船かなぁ~?」
これはさすがにカマトトすぎないでしょうか、私?
見つけて固まっているところはすでにキミに見られてしまってるんです。誤魔化すにしても限度があります。
「あー、あはは……、困っちゃいますよね。こういうの」
と言いながらさっさと片付けちゃいます?
妥当ですけど、あっさりし過ぎると手慣れてるように見えませんか? 間違っても遊んでるなんてキミには思われたくないし……もう少し恥ずかしがってるのを表に出した方がいいんでしょうか?
「うぅ……ごめんなさい。こういうのダメなんです。目をつぶってるからキミが片付けてくれませんか……?」
乙女のはじらい的にはアリですけど、やりすぎると男の子自体が苦手と思われないでしょうか? キミとの間に壁をつくりたいわけじゃないですし、ギクシャクしたくありませんし、むしろ仲良くなりたいと思ってるぐらいですし……
「その、私、こういうのダメなんです……でもキミとだったら……キミとの間を隔てる壁になるものなんて、なくてもいいから……お願い……」
壁は壁でも、0.01mmのうすうすな壁ですか私!?
下ネタにもほどがあるでしょ!!
えっちな私はそろそろ反省しなさい!
学生出産がそんなにしたいの!?
あぁ、もう!
考えてる間にキミも我に返っちゃったみたいです。
ゴムを片付けようとしています。
その様子を眺めて、自分で対応しなくていいことに安心している自分がいます。
けれど同時に、誰ともしれない女性の体液がついたものにキミが触れる。そう思った瞬間、私の体は動いていました。
「汚物は消毒よ」
(
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