周忌

スクランブル交差点の中心に

大きな桜の木が成った

春には桃色の花を咲かせ

夏には青々とした葉を生やし

秋にはその葉を少し燃やして

冬には人間と共に辛きを耐えた

その年最後の丑三つ時に

飲酒運転にへし折られ

残った切り株も掘り起こされて

今や幾何学の舗装跡

その上を数多の人々が

千差万別に願い

歩く

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る