車列は進む

雪中走る機関車 車列は

ありきたりな過去を溶解し

バリの鋭い逆鱗となる

太陽よりも明度を秘めて

月より風雅を叫んだ汽笛と共に

煙突から未開の黒煤を吐き

道すがら隣人の皮膚をまだらに染める


鼻腔喉肺は僻地の戦場

雪積もる道の粘膜を

這いつくばってわれ先にと進む

閃光の巾布で目が眩む

車列のしんがりを務めたのは

話をぶちまける講談師が

広げた真っ赤な風呂敷の道

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る