第3話 執念

 たまたま通りかかったトラック三台に連続して踏まれてしまった古田。

 この凄まじい事故で大きなダメージを受けた古田。しかし彼は良くない方向に曲がった腕をありえない根性で真直ぐに直して拳銃を握り、路上駐車の車めがけて実弾を何の遠慮もなく連続発射。全部はずれて余計な被害がいい感じに拡大した。


「せせせ先輩! 何やってんすか!」


 突然の古田ダイブに驚きつつも、冷静に車を路肩に止めた佐藤が血だらけの古田に駆け寄った。


「奴は……鋼……俺の銃を……弾を……弾き返す……鋼……残された手は……零距離射撃……」

「いや先輩! 手が変な方向に曲がってるっすよ! 今救急車呼びましたから動かないでくださいっす!」


 だが古田の目は路上駐車の車から離れない。


「今こそ……復讐の時……援護を……」

「先輩! 足も妙な方向に曲がってるっすよ!」


 佐藤の声を無視して、古田は曲がる所が増えて駆動領域が無闇に拡大した足で立ち上がり、路上駐車の車めがけて渾身のダッシュ。


「先輩! ヤバイっすよ先輩ー!!」


 佐藤の声を背後に聞きながら、獲物に向かって走る古田。手に握られた銃が狩りへの期待で、まるで火のように熱い。

 後少しで路上駐車の車にたどり着くというところで、古田の足が当然のことながら限界を迎えた。

 無理がたたって倒れた古田。その上を佐藤の通報により駆けつけた救急車がナチュラルに通過してミラクル古田。

 絶体絶命。

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