―弐― 岩の音
1
見た目が一番だよな
と誰かが言った
それが僕には、当たり前に正しく思えて
でも反論したい気持ちもあって
はがゆく にがにがしく わずらわしい
分かっている筈の事が紐解けない
と言う風な感じ
あ、岩のように
ゴツゴツとして
それでいて苔むして
涼しげ
そんな風がいい
誰にも理解されない
風が吹き抜ける時の涼しい音色
日差しと影の織り成すハーモニー
それがいい
そんな風な人がいい
2
見た目がどうとか、
あまり関係なくて
大事なのは内面なのでは
ないかなと誰かが言った
それが正しいのか、僕には分からなくて
でも、間違ってるとも言えなくて
もどかしく かゆがゆしく 忌々しい
手の届き そうで届かない
そんな感じ
えっと、あの岩のように
強固として
それでいてひび割れているのに
永い時に在り
そんな風がいい
誰にも理解されない
雨が跳ねる時の心地よい音色
岩陰と織り成す癒しのハーモニー
それがいい
そんな風な人がいい
3
見た目とか内面とか
では無くて
大事なのはやはり肩書きであると
誰かが言った
それは僕には正しいように思えて
でも間違っているとも思えなくて
じれったく くるぐるしく 腹立たしい
頭では解かっていても身体が追いつかない
と言った感じ
あぁ、岩のように
ドッシリとして
それでいて削れている儚さの
不均衡
そんな風がいい
誰にも理解されない
それでもいい
そんな風な人がいい
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